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シリアで米軍が占領している地域からダーイッシュが出撃しているとの情報
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202101310000/
2021.01.31 櫻井ジャーナル
アメリカのバラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行、香港でイギリスと手を組んで反中国政府運動を展開した2014年にWTI原油の相場は110ドルを超す水準まで上昇したが、その後、値下がりしていく。2014年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王は紅海の近くで会談、それから加速度的に下げ足を速めたことから原油相場を引き下げる謀議があったと推測する人も少なくない。年明け直後には50ドルを切り、2016年1月には40ドルを割り込んだ。
エネルギー資源を収入源とするロシアを揺さぶる目的でアメリカとサウジアラビアは原油相場を下落させたと見られているが、ロシア以上にアメリカやサウジアラビアがダメージを受けた。2014年にサウジアラビアは約390億ドルの財政赤字になり、15年には約980億ドルに膨らんだと伝えられている。
2020年にはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で世界の経済が急減速、4月に相場は12ドル台にまで落ち込んだ。その後、回復したものの、現在は52ドルだ。サウジアラビアの財政は危機的な状態になっているだろう。
COVID-19騒動はWHO(世界保健機関)が3月11日にパンデミックを宣言してから始まるが、その前にサウジアラビアは苦境から脱するため、イランとの関係を修復しようとしていた。その仲介役はイラク政府だった。
イラン側のメッセンジャーはイスラム革命防衛隊の特殊部隊と言われているコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニー。昨年1月3日にソレイマーニーは返書を携えてバグダッド国際空港に降りた。そこでアメリカはイスラエルの協力を得て、ソレイマーニーとPMU(人民動員軍)のアブ・マフディ・ムハンディ副司令官を暗殺した。その直前、12月29日にアメリカ軍はPM空爆、25名以上の戦闘員を殺したと伝えられている。
サウジアラビアで大きな力を持っているモハメド・ビン・サルマン皇太子にとってアメリカ大統領がドナルド・トランプからジョー・バイデンへ交代したことは問題だろう。皇太子は2017年6月にホハメド・ビン・ナイェフからビン・サルマンへ交代になった。
ビン・ナイェフはヒラリー・クリントンに近く、彼が皇太子になった2015年4月当時、アメリカの次期大統領はヒラリーに内定していた。ところが2016年にトランプが選挙で勝利し、皇太子はトランプに近いビン・サルマンへ交代になった。トランプがホワイトハウスから去ることはビン・サルマンにとって良くない。
サウジアラビアの情勢は中東における不安定要因だが、トランプやビン・サルマンとつながっているベンヤミン・ネタニヤフが首相を務めるイスラエルはシリアに対する攻撃を強め、ネタニヤフはバイデン政権に何らかのメッセージを伝えるため、2月にモサドのヨッシ・コーエン長官をワシントンへ派遣すると言われている。
2019年9月にサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設がUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と巡航ミサイルで破壊された。石油施設の周辺には88基のMIM-104 ペトリオット・システムが配備されていて、ペルシャ湾にはアメリカ海軍に所属する3隻の駆逐艦(イージス艦)がいたのだが、機能しなかった。サウジアラビアがアメリカに不信感を持つのは当然だろう。
今年1月26日にはサウジアラビアの首都リヤドの上空で大きな爆発があったと報道された。その3日前には発射物をサウジアラビアが迎撃したとされている。イランを巻き込むような戦争が始まった場合、サウジアラビアも無事では済まず、世界のエネルギー資源供給量は大きく減少することになる。COVID-19騒動で需要が減少していても、供給不足になるだろう。
ドナルド・トランプは大統領時代にアメリカ軍をシリアから撤退させるかのような発言をしてきたが、実行が伴わなかったのは事実。ただ新たな戦争は始まっていないが、バイデンの登場で軍事的な緊張が高まっている。
例えばイドリブでアル・カイダ系武装勢力が統合されてファスバトゥなる組織が編成され、資金や武器/兵器はNATOから提供されると言われている。またクルド勢力の統合を進めるため、PYNKなる組織が作られた。
2011年3月に始まったシリアへの軍事侵略はジハード傭兵が使われているが、その雇い主はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟、フランスとイギリスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、オスマントルコの復活を目論んでいたと言われるトルコだった。トルコとカタールは途中で離反したが、トルコは再び侵略勢力へ戻りつつあるようだ。
ジハード傭兵を使った侵略はバラク・オバマ大統領が2010年8月に出したPSD-11。ムスリム同胞団を軸にすることを決めたのだが、それだけでなくサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)も加わる。これはオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代にアフガニスタンで行った秘密工作の構図だ。
PSD-11を決定したチームにはバイデン政権でUSAID(米国国際開発庁)長官に指名されたのはサマンサ・パワー、2015年から17年までUSAIDの長官を務めたゲイル・スミス、12年から14年までロシア駐在大使を務めたマイケル・マクフォールも含まれている。
シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでもジハード傭兵が使われたが、そこにNATOの空爆が加わってムアンマル・アル・カダフィ体制を倒し、カダフィ自身を虐殺している。同じことをシリアでも行おうとしたのだが、できなかった。2012年5月からロシア大統領を務めているウラジミル・プーチンが立ちはだかったのだ。プーチンは前任者のドミトリー・メドベージェフと違った。
それでもオバマ大統領は2015年に好戦的な陣容に変更する。2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。ヘイゲルは戦争に慎重で、デンプシーはサラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていた。
統合参謀本部議長が交代になった直後の9月30日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)などの武装勢力の支配地域は急速に縮小していく。アメリカ主導軍と違い、ロシア軍は本当にダーイッシュやアル・カイダ系武装勢力を攻撃したのだ。現在、シリア西部のイドリブで活動している戦闘員はこの残党である。
ジハード傭兵の敗走を受け、アメリカ、イギリス、フランスなどはクルドを新たな手先にすると同時に自国の地上部隊を侵入させ、オバマ政権はシリアのユーフラテス川より北側に約20の軍事基地を建設した。軍事侵略以外の何ものでもない。
リビアでの戦闘でNATO軍がアル・カイダ系武装集団と手を組んでいることが明確になり、その武装集団がシリアへ運ばれたことを西側の有力メディアも伝えている。そうした状況の中、オバマ政権はシリアの反政府軍を支援、その戦闘集団は穏健派だと主張していた。
しかし、これを否定する報告が軍の情報機関DIAからホワイトハウスへ2012年8月に提出されている。オバマ政権が支援している武装勢力はサラフィ主義者やムスリム同胞団が主力で、アル・カイダ系のアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)と名乗っているとしている。ったタグをつけているとする報告を2012年8月にホワイトハウスへ提出したのだ。2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将だ。
この警告は2014年にダーイッシュという形で現実なった。この武装勢力は同年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧する。その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになった。
本ブログでも繰り返し書いてきたが、偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などでアメリカの軍や情報機関は武装集団の動きを知っていたはず。つまりパレードは格好の攻撃対象だったはずなのだが、そうした展開にはなっていない。ダーイッシュが売り出された後、フリンDIA局長は退役に追い込まれた。
売り出し直後にダーイッシュは残虐性をアピールした。西側では報復の雰囲気が作られ、アメリカ主導軍がシリアで勝手に空爆を始める。その空爆でシリアのインフラは破壊され、市民が殺され、その一方で武装勢力へは「誤投下」で物資を提供することになった。その後にNATO、あるいはアメリカ主導軍を軍事介入させるつもりだったのだろうが、それをロシアの軍事介入が阻止したのである。
アメリカはイギリスやフランスと共同でユーフラテス川の南側へも侵略している。最も大きな占領地はアル・タンフ。アメリカ、イギリス、フランスの3カ国は特殊部隊を入れ、反シリア政府軍を訓練してきたのだが、ここは現在、ダーイッシュの出撃拠点として使われているとも伝えられている。
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