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自衛隊が米、豪、印3軍とアラビア海で軍事演習する理由
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202011180000/
2020.11.18 櫻井ジャーナル
アメリカ、オーストラリア、インド、そして日本の4カ国の海軍が北アラビア海で艦隊演習を11月17日から始めた。演習の中心はアメリカ海軍の空母ニミッツとインド海軍の空母ヴィクラマーディティヤだ。この4カ国は11月3日から6日にかけてベンガル湾でも軍事演習を実施している。自衛隊はアメリカの戦争マシーンにしっかり組み込まれた。
アメリカ軍は2018年5月に太平洋軍をインド・太平洋軍へ変更、太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱うことを明確にした。日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点にし、インドネシアが領海域をつなぐという構想だ。
ユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部を締め上げるという長期戦略戦略がイギリスやアメリカにはある。この戦略をハルフォード・マッキンダーは1904年に発表したが、実際は19世紀から始まっているように思える。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もその理論に基づいている。
締め上げるターゲットは中国やロシア/ソ連。制圧して略奪しようということだが、ロシア/ソ連を支配できればアングロ・サクソンが世界の覇者になると考えていた。
1991年12月にソ連が消滅した際、アメリカは唯一の超大国になったとネオコンなどが喜んだのはそのためであり、21世紀にロシアを曲がりなりにも再独立させたウラジミル・プーチンを彼らが憎むのもそのためだ。
ネオコンはロシアを屈服させるためにロシアとEUを分断しようと考え、2014年にウクライナでネオ・ナチを利用してクーデターを成功させた。同じ年の9月から12月にかけてはイギリスと手を組み、香港で佔領行動(雨傘運動)を仕掛けて中国を揺さぶろうとした。
しかし、この強硬策は裏目に出る。ロシアと中国が接近して戦略的同盟関係に入り、それまでアメリカと友好的な関係にあった中国はアメリカから離れていく。カネ儲けさせておけば中国人はアメリカに従属すると思い込んでいた人も少なくないようだが、それは間違いだった。
その後、中国は一帯一路(BRI/帯路構想)を推進。そのうち「海のシルクロード」は東シナ海からインド洋、アラビア海を経由してアフリカやヨーロッパへつながる。その海路を断ち切ることがインド・太平洋軍の役割であり、今回の艦隊演習はその意思を誇示することにあるのだろう。
ユーラシア大陸を囲む三日月帯は西端のイギリスからイスラエル、サウジアラビア、インドを通り、東端が日本。アヘン戦争で勝利しても中国を占領できなかったイギリスの傭兵的な役割を果たすことになるのが日本にほかならない。
明治維新後、日本は琉球を併合し、台湾に派兵して侵略の拠点を整備し、1875年には朝鮮の要衝、江華島へ軍艦を派遣して挑発、大陸に橋頭堡を築くことに成功した。
現在、似たようなことをアメリカは行っている。自衛隊は与那国、石垣、宮古、奄美へ活動範囲を広げ、アメリカは台湾での軍事演習に参加させるためだとして海兵隊の部隊を派遣。そして韓国に対する締め付けを厳しくしている。
安倍晋三は首相だった2015年6月、赤坂にある赤坂飯店で開かれた懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと伝えられているが、安倍は日本の立場を理解していた。そうした日米の動きを中国が理解していることは言うまでもない。
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