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米軍がシリア北東部で小麦の耕作地を焼き払う作戦を実行
アメリカ軍のアパッチ・ヘリコプターが5月17日にシリア北東部にある小麦生産地、ハサカで小麦畑に相当数の「熱気球」を投下して焼き払う作戦を実行、その際に低空で飛行して住民を脅したという。小麦をシリア政府へ売るなというアメリカ側のメッセージだと見られ、兵糧攻めしているとも言えるだろう。
アメリカ軍のラルフ・ピータース中佐は2006年に中東の新たな分割図を作成しているが、その中にイラク、シリア、トルコ、イランをまたぐ地域に「自由クルディスタン」というクルドの国を想定している。かつて日本は中国で「満州国」をでっち上げたが、似た計画だ。
バラク・オバマ政権がそうした国を作ろうとしていることはアメリカ軍の情報機関DIAが遅くとも2012年の段階で気づいている。その年の8月にDIAはオバマ政権に対し、シリアで政府軍と戦っている武装勢力はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だと指摘、戦闘集団のアル・ヌスラはAQI、つまりイラクのアル・カイダと実態は同じだともしている。オバマ大統領が言うところの「穏健派」は事実上、存在しないということだ。
2001年9月11日にジョージ・W・ブッシュ政権はテロリストの象徴として「アル・カイダ」を宣伝しはじめたが、そうした戦闘組織が存在しないことは早い段階から指摘されていた。2001年6月から04年6月までイギリスの外務大臣を務めたロビン・クックは05年7月、「アル・カイダ」とはCIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リスト、つまりジハード傭兵の名簿だと書いている。
オバマの政策がハサカやデリゾールを含むシリア東部にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるともDIAは警告、それは2014年に入ってダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。そうした中、2014年8月にフリンは解任されている。オバマ政権の中枢は自分たちの嘘を明らかにしていたフリンが目障りになったということだろう。
ダーイッシュが主張した「イスラム国」はピータース中佐が「自由クルディスタン」と名づけた地域と重なる。2015年9月末にロシアがシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュの戦闘集団を敗走させた直後からアメリカがクルドと手を組み、クルドの支配地域にしたのは必然だと言える。その地域にアメリカ軍は軍事基地を建設してきたが、シリア政府との戦争の一環として農地を破壊しはじめたのだろう。
最終更新日 2020.05.21 18:24:30
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