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米軍は、キエフで、いつ権力を奪取するのか?
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2020年5月16日 マスコミに載らない海外記事
2020年5月11日
ウラジミール・プラートフ
New Eastern Outlook
最近、筆者は、アメリカの新ベラルーシ大使ジュリー・フィッシャーという形の、ホワイトハウスの「国王の贈り物」について記事を書き、彼女の任命は、軍事的・戦略的分野や、クーデターを行う上で、かなり経験豊富な人物で、大使館の指導力を「強化する」というワシントンの最近の政策と一致していることを指摘した。
そして、とうとうウクライナの番が来た。結局、ウクライナは繰り返し、ドナルド・トランプ大統領とマイク・ポンペオ国務長官(二月のキエフ訪問の際も)に、結局、ウクライナよりも、ホワイトハウスに有益な「良い」大使を送るよう求めていた。
ワシントンにとって、ウクライナは、長い間「手に負えない子ども」であることを指摘する価値はあるまいが、その結果、ホワイトハウスのウクライナに対する扱いは、「いたずらな子供に対する父親」に似てきている。ワシントンは、ウクライナに対する関与について、これまで、オープンだった、2015年2月1日のCNNインタビューで、当時のアメリカ大統領バラク・オバマは「ロシアにもっと多くの圧力を加えて、ウクライナを強化する」といった。2014年12月2日、ウクライナ議会が、ウクライナ財務大臣として、ウクライナ系のアメリカ国民、ナタリー・ヤレシコを任命投票したことは読者に想起いただく価値がある。この決定は、今日に至るまで、ウクライナ財政に悪影響を与えている。当時、もし(IMFが承認した改革を実行し損ねて、ワシントンを失望させた)アルセニー・ヤツェニュークが彼のポストを去れば、ナタリー・ヤレシコが、ウクライナ首相として彼にとって変わりかねないことの、しつこいうわさがあった。
優先事項が、アメリカの「父としての関心事」に直接依存していたビクトル・ユシチェンコやペトロ・ポロシェンコのようなウクライナ大統領が続いたのを想起することも重要だ。結局、マイダン(市民反乱)後、ウクライナに「秩序をもたらす」ことを、ワシントンは引き受けたのだ。例えば、アメリカは様々な金融機関経由で、ウクライナ政府に金を与えてきた。本質的に、キエフ指導部が従うべき政策の設定や、適切な人々が職位につくのを確実にするためのロビー活動だ。ワシントンが、ほとんど全ての権限を掌握しているので、ウクライナ企業が、アメリカ人「顧問」に向かって示す過度に卑屈な態度は驚くべきではない。経済援助の提供、ウクライナ軍への命令から、諜報局のための人員雇用、防衛大臣、閣僚や大統領補佐官の任命に至るまで。
マスコミも、一度ならず、キエフでの意志決定過程に対するアメリカの影響について報じている。ウクライナ検察官総長を解任するようペトロ・ポロシェンコに強要したことについての、ジョー・バイデン元副大統領による高慢な声明についての記事を思い出しさえすれば十分だ。以前(欧州・ユーラシア担当)米国務省国務次官補ビクトリア・ヌーランドが、ウクライナで民主主義を促進するため、1991年以来、アメリカは50億ドル以上投資したと言った。アメリカ国際開発局(USAID)と全米民主主義基金(CIAとのつながりがあると疑われている組織)も最大投資者の一部だった。彼らはウクライナ政治家、非営利組織(NGO)やマスコミを「支援する」ことを目指す多数の構想に資金調達した。
その結果、アメリカに助言を頼る人々が、かなり長期間ウクライナにいる。最終的に、ウクライナへの新アメリカ大使を任命する時が来た。ドナルド・トランプによれば、米陸軍を退職したキース・デイトン中将が間もなく、この役割を引き受けることができる。彼は1949年3月7日に生まれた。1970年、バージニア州ウィリアムズバーグで、ウィリアム・アンド・メアリー大学を卒業した。キース・デイトンはケンブリッジ大学で歴史学士号を、南カリフォルニア大学で国際関係修士号を受けている。彼はロシア語と少しのドイツ語を話す。
キース・デイトンはドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンにある米軍ロシア研究所(USARI)でロシア/ソビエト研究を専攻した。彼は1991年に出版されたNATOの未来に関する本「The Future of NATO: Facing an Unreliable Enemy in an Uncertain Environment NATOの未来:不確実な環境で信用できない敵との対決」の共著者の一人でもある。
米軍での、ほぼ40年間の勤務の間、キース・デイトン大将は、ワシントンD.C.国防情報局のヒューマンインテリジェンス担当部長や、サダム・フセイン政権崩壊をもたらしたイラク自由作戦のイラク調査グループ部長をつとめた。彼は(国防省内の)陸軍部で戦略計画・政策部門を率いていた。
キース・デイトンは、ロシアでアメリカ駐在武官を勤めた。
2010年12月に、彼は引退した。
現在彼は(アメリカ国防省とドイツ連邦国防省研究所の二国間施設)ジョージ・C・ マーシャル安全保障ヨーロッパセンター所長だ。2018年11月、当時の国防長官ジェームズ・N・マティスが、キース・デイトンをウクライナで上級アメリカ顧問として勤めるよう指名した。
それ故、ホワイトハウスは、アメリカがその手法を続ける中、軍事・戦略上の分野での十分な経験を持っていて、この地域でワシントンにとって望ましい指導部を確保できるようなアメリカ大使をソビエト後の地域に任命すべく、キース・デイトンを候補者として選んだのだ。
現在、ウクライナは、アメリカにとって特に関心があるように思われ、それが、退職中将がなぜこの国へのアメリカ大使候補として選ばれたかを説明する。結局、ワシントンは元米軍人が、その「巧みな腕で」軍隊風秩序をウクライナにもたらせるよう願っているのだ。実際、短期間に、アメリカは、訓練センターを含め、ウクライナに、先進的軍事施設建設を計画している。デジタル・セキュリティー監視体制の配備。そこで、15のアメリカ提携パートナー諸国の生物学研究所実験室推進、この半島を未来の米軍基地に換えるためのクリミアのウクライナ返還。(キエフ州)ウズィーン市飛行場で、技術や装置やと専門家をウクライナに移すために使われる重要な軍輸送ハブの仕事を始める準備は、ほぼ完全だ。周囲をゲートとフェンスで囲った住宅地が首都周辺に作られている。だが、キエフでの住宅市場の全体的な下落を考えると、このようなプロジェクトは時宜に適ったものではないように思われる。それでも、住宅地域建設は驚くべきことではない。結局、アメリカ軍人は、現地人がいない、快適で安全な地域で暮らすのに慣れているのだ。民主主義の「促進」は簡単に済む過程ではないので、彼らは長期間ウクライナに住むことを計画している。例えば、ベトナムでは、それは何十年も続いたし、イラクやアフガニスタンで、その過程は、まだ進行中だ。
だが、マイダンで始まったウクライナ内政に対するアメリカによる干渉は、国民の一部の間で、益々否定的に見られている。アメリカが無料でウクライナに与えると申し出た二隻の「アイランド」級の艦船が、なぜまだ送付されないのか、ウクライナが、なぜかなり高価な石炭を購入する必要があるかに関する理解不足が、一部のウクライナ人の間で増大している。この国は不利な状況に置かれているように思われる。アメリカはウクライナ正教会、キエフ総主教庁に、積極的に独立するよう奨励しており、教会内での分裂をもたらしている。それでも総主教庁は、ウクライナ社会で、注目を得られずにいる。加えて、ワシントンに積極的に促進されたウクライナの反ロシア姿勢が、キエフに大いに必要とされるロシアとの経済的結びつきに弊害を与えないわけにはいかない。それ故、時折、ウクライナはアメリカ同盟国であるように思われず、むしろ、アメリカの地政学的関心のために利用される手段だ。
それでも、ワシントンは、軍事戦略分野での豊富な経験から、退職中将キース・デイトンを駐ウクライナ・アメリカ大使として任命して、近い将来これら全ての問題を終わらせたい望んでいるのだ。
時間と、奴隷化する試みにもかかわらず、これまで何世紀も決意が揺らがなかったウクライナ国民だけが、こうした計画が実際に成就にするかどうかを決めるだろう。
ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/05/11/when-will-us-military-take-over-power-in-kyiv/
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