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ダーイッシュに新たなリーダーが誕生したというが、大きな意味はない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202001200000/
2020.01.21 櫻井ジャーナル
アミル・モハメド・アブドゥル・ハーマン・アル-マウリ・アル-サリビなる人物がダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の新しいリーダーになったと伝えられている。この武装集団をその前に率いていたとされているアブ・バクル・アル・バグダディは2019年10月にアメリカの特殊部隊デルタ・フォースに襲撃された際に自爆したという。
ダーイッシュに限らないが、1970年代の終盤からイスラム武装勢力の大半はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする傭兵。つまりリーダーが誰になっても大きな問題ではない。司令部は別に存在しているからだ。
傭兵システムの始まりはズビグネフ・ブレジンスキーの秘密工作にある。1970年代の初めにイギリス外務省のジェームズ・クレイグがムスリム同胞団を使った工作を働きかけていたという。
1993年から96年にかけてパキスタンの首相を務めたベナジル・ブットの特別補佐官だったナシルラー・ババールによると、アメリカは1973年からアフガニスタンの反体制派へ資金援助しはじめている。イギリスの働きかけが影響しているのかもしれない。
その延長線上にブレジンスキーの秘密工作はあるのだが、その工作ではサウジアラビア政府が戦闘員と資金を提供、パキスタンの情報機関、イスラエル、王制時代のイランが協力している。集められた人びとをCIAなどが訓練、武器/兵器や情報を供給していたのだ。
イギリスの外務大臣を1997年から2001年まで務めたロビン・クックも指摘しているように、CIAの訓練を受けたムジャヒディンの登録リストがアル・カイダ(データベース)。つまりアル・カイダという武装組織は存在しない。
アフガニスタンに隣接するパキスタンの協力は絶対に必要なのだが、ズルフィカル・アリ・ブットを首相とする政権にそうしたことを期待することはできない。ズルフィカルはベナジル・ブットの父親だ。
そこでズルフィカル・ブット首相の政権を倒す必要があったのだが、1977年にムスリム同胞団のムハンマド・ジア・ウル・ハクを中心とする軍人がクーデターを成功させ、その目的を達する。ベナジル・ブットは1979年に処刑された。
ダーイッシュもそうしたジハード傭兵のひとつ。2004年にAQI(イラクのアル・カイダ)として組織され、06年にISI(イラクのイスラム首長国)が編成された際の中核になったと言われている。
2010年にISIのリーダーになったのがアブ・バクル・アル・バグダディ。2013年に活動範囲がシリアへ拡大、ダーイッシュと呼ばれるようになった。2014年に売り出された当時のダーイッシュは残虐性を演出、アメリカ軍のシリア空爆の口実に使われる。
リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が2011年10月に倒されると、侵略勢力は戦闘員と武器/兵器をシリアへ移動させるのだが、その際にNATO/アメリカがアル・カイダ系武装集団と連携していることが明確になってしまった。
そこでバラク・オバマ大統領は穏健派を支援しているのだと強弁するのだが、それをアメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月の段階で否定、その政策の危険性を指摘する報告書を政府へ提出した。
その報告書はシリアで政府軍と戦っている主力をサラフィ主義者やムスリム同胞団だとし、戦闘集団としてアル・カイダ系のアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)の名前を挙げていた。
オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していたのだが、オバマ政権は支援を継続した。
2014年に入るとその警告が現実になる。1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧する。
その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになるのだが、そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。
本ブログでも繰り返し書いてきたが、偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などでアメリカの軍や情報機関は武装集団の動きを知っていたはずだ。
2012年7月からDIA局長を務めていた軍人はマイケル・フリン中将。2014年にダーイッシュが出現した後にフリンへの攻撃が強まり、14年8月に退役させられている。
2016年の大統領選挙で勝利したドナルド・トランプはこのフリンを国家安全保障補佐官に据えると、民主党や有力メディアは総攻撃をかけて辞任に追い込んだ。その後、ロシアゲートに絡んで有罪を認めていたが、その主張をここにきて取り消している。無実でも検察と戦って勝つことが困難だという事情はアメリカでも同じだ。フリンが冤罪だということは本ブログでも指摘してきた。
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