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‘Great Replacement Theory’ isn’t about voting. It’s about whiteness.
Washington Post, May 24, 2022
2022年5月24日付 ワシントンポスト
2018年、ピッツバーグのシナゴーグ内で、反ユダヤ主義的なインターネットへの書き込み歴のある白人の男が、移民の「侵略者」を米国に入れたのはユダヤ人のせいだと非難し、礼拝者11人を銃殺した。
翌年には、「テキサスのヒスパニック系侵略」と言われることに怒った別の白人の男が、エルパソのウォルマートで買い物客に発砲し、23人が死亡した。後に彼は、メキシコ人を殺そうとしたのだと警察に供述した。
さらに、今年5月14日にバッファローで起こった別の大量殺戮事件では、重武装した白人の男が、黒人の多い、近所のスーパーマーケットを標的にして10人を殺害した。彼はネットに投稿した長文の中で、そこにいた買い物客は「自分の仲間を民族的に取り替えようとする文化圏の人間だ」と書いている。
3つの事件を結びつけるもの
これらの銃乱射事件は、いずれも単独のガンマンの仕業だが、孤立したイデオロギーの産物ではない。3人の白人の男による、3つの銃乱射事件、3つの異なる標的。これらは、すべてreplacement theory(置き換え論)として知られる「信念」によって結びついている。 西洋のエリートは、時にはユダヤ人にmanipulated by(操られて)、アメリカ白人に「取って代わり」、力を失わせようとしている――というこの考え方は、人種差別テロのエンジンとなって、近年の大量殺戮の波を刺激している。この考え方は、一見するとlaughable(ばかばかしい)が、笑ってはいけない。
置き換え論によると、エリートは、非白人集団で圧倒し、白人が存在しなくなるまでinterbreeding(交配して)、間引くことによって、白人を滅ぼそうとしている。これは移民に限った話ではない。銃乱射者が「代替者」について書くとき、彼らは、アメリカにルーツがあろうとなかろうと、あらゆる有色人種を意味しているのだろうから。
何十年もの間、white-power(白人至上主義)の活動家たちは、自分たちが多数派であり続けられるかどうかを懸念してきた。彼らは、looming(迫り来る)人口危機を見て、自分たちのコミュニティ、町、あるいは米国で、いつ白人が大多数でなくなるかを予測している。人口動態の変化が緩やかになっても、この恐怖心はnot abated(衰えることはない)。
「扇動者」の存在
ワシントンポスト紙のコラムニストで黒人のユージン・ワシントンは、バッファローの大虐殺についてのコラムの中で、「これらの黒人犠牲者は白人至上主義によって殺されたのだ」。さらに、「告発されたバッファローの殺人犯は、犠牲者が有色人種になる場所をtook pains to(苦心して)選んだ。彼がしたことは非難されるべきだ。しかし、彼をegged on(扇動させた)著名な右翼の声も責めるべきだ」
かつて置き換え論が盛んだったのは、インターネット掲示板やsemi-obscure(半ば無名)の白人民族主義者のサイトといったデジタルのるつぼに限られていた。だが、白人がもはや多数派ではなくなる未来のアメリカという、この理論が結晶化した恐怖は、時には控えめな形で、保守的なメディアや政治において強力な力となった。そこではこの理論が、聴衆やリツイート、小額の寄付を集めるために借用され、リミックスされてきた。
バッファローの容疑者は、ヒスパニック系移民と同様に黒人を白人の「代替者」として扱う置き換え論や、インターネット・フォーラムで簡単に見られる人種差別的、反ユダヤ的な内容に没頭し、過激化への道を孤独に進んできたと述べている。しかし、ここ数カ月、同じような考え方が共和党ではcommonplace(通常)になっている。議会の公聴会で声高に語られ、共和党の選挙広告で反響を呼び、右派の候補者やメディア関係者がこぞって受け入れているのである。
これらは、トランプの時代にスタートしたという考え方がある。恐怖と不満をstoking(煽る)のは、トランプの台頭の特徴であった。トランプは2016年の大統領選の冒頭、メキシコ系移民を強姦魔と呼び、その直後にイスラム教徒の入国禁止を推進した。当時、多くの党幹部が憤慨して反応した。今は、共和党の多くと保守系メディア機構が、同じようにナショナリズムの声を上げている。
番組エピソードで頻繁に
置き換え論はケーブルテレビ局フォックス・ニュースで強調され、同局の重要人物タッカー・カールソンがそれを全力で後押ししている。カールソンは2016年にフォックスのプライムタイムのラインナップに加わって以来、エリート主導の人口動態の変化を番組の中心テーマとしている。5月に発表されたニューヨーク・タイムズの調査によると、カールソンは番組の400回以上のエピソードで、民主党の政治家やその他大勢のエリートが移民を通じて人口動態の変化を強要しようとしているという考えをamplified(増幅)し、彼のプロデューサーは時に、バッファローの容疑者と同じように、インターネットの暗部から番組の原材料を探し出すこともあったという。
共和党の政治家たちは、中間選挙を前にして共和党支持層をfired up(焚きつける)反移民のレトリックの一部として、この置き換え論を繰り返してきた。彼らは繰り返し、国境のlax(緩い)取締りが何らかの形で長期的な民主党の戦略の一部であることを示唆してきた。
ミズーリ州では、上院候補の司法長官エリック・シュミットが最近、民主党は 「不法移民政策によってこの国を根本的に変えようとしている」と発言した。議員のスコット・ペリーは、昨年、中央アメリカからの移民を調査する小委員会の公聴会で、多くのアメリカ人が、「まさにこの国の政治状況を永久に変革するために、国民的に生まれたアメリカ人―生粋のアメリカ人―に取って代わろうとしている」と考えている、と発言した。
ウィスコンシン州では上院議員ロン・ジョンソンが昨年、バイデン政権は「自分たちが永遠に権力を維持できるように、アメリカの人口動態を作り変えようとしている」と推測している。アリゾナ州の上院候補者ブレイク・マスターズは4月、「明らかに民主党は、我が国の人口動態を変えることを望んでいる。彼らは全く新しい有権者を輸入することを望んでいるのです」。共和党の元下院議長ニュート・ギングリッチは、「反米左派は、伝統的で古典的なアメリカ人を溺れさせたいのだ……。左派ではない我々をなくするために」と述べた。
バッファローを含むニューヨーク州北部の選挙区を代表する下院議員のエリス・ステファニックは昨年秋、不法滞在者への「恩赦」がいかに「現在の選挙民を転覆させるか」についてオンライン広告を掲載した。
政治学者や歴史家によれば、人口動態の変化に対する恐怖をあおるような、より過酷な言葉が共和党有権者の間に浸透し、顕著になってきた。かつて移民に声高に賛成していた親ビジネス派の共和党員が減り、共和党指導者もより過激な政治用語に対する抵抗を断念したためである。
非難するが、決別しない
共和党の政治家たちは、バッファローで起きた殺人を素早く非難した。しかし、トランプに触発された右派有権者の忠誠心を維持するために、党が受け入れてきた帰化主義や恐怖政治とbreak with(決別)しようとする党首は少なかったようだ。
共和党の上院第2党であるサウスダコタ州の上院議員ジョン・チューンは5月16日、「こうした人々が行って、頭の中でおかしな考えを抱き、それを行動に移すサイトが存在するのは残念だ」と述べた。共和党の政治家からおそらく最も強い声明を出したと言える。置き換え論の要素を繰り返している同僚について尋ねられると、彼はこう付け加えた。「誰も、こうしたものをgive voice to(言葉に表したり)、何らかの形で支援したりするべきではない」
しかし、共和党支持者のかなりの割合が、すでにこうした考えを吸収している。新しい世論調査によると、トランプを支持する有権者の61%、共和党員の54%が、「この国のある集団は、生粋のアメリカ人を、自分たちと同じ政治的見解を持つ移民や有色人種と取り替えようとしている」という意見に賛成した。一方、アメリカ人全体では、その発言に同意する人は34%だった(それでもかなり高いと思うけど)。
白人至上主義運動の専門家が、ニューヨーク・タイムズのオピニオン記事で指摘しているように、タッカー・カールソンの番組であれ政治家の選挙広告であれ、置き換え論のmainstreaming(主流化)はdisastrous(悲惨な)結果を招き続けるだろう。非常に心配だ。
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