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『ワイドナ』特番に森喜朗出演で、松本人志、東野幸治、ロンブー淳が露骨すぎるヨイショ!「命削って東京五輪、国立競技場完成」
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2020.01.12 『ワイドナ』特番で松本、東野、ロンブー淳が森喜朗を露骨ヨイショ! リテラ
『ワイドナショー』に出演する森喜朗
大晦日の『NHK紅白歌合戦』はじめ、昨年末あたりからテレビではやたらオリンピック盛り上げ企画が目立ちはじめた。報道番組やワイドショーでも「いよいよオリンピックイヤー」というセリフが連呼され、オリンピック礼賛一色。東京五輪をめぐっては、誘致から開催準備まであれだけさまざまな問題、批判が噴出していたのに、誰もそのことは口にしなくなった。
日本のメディアの翼賛体質には改めて辟易させられるが、なかでもひどかったのが、2019年12月28日に放送された『ワイドナショー 年末スペシャル2019』(フジテレビ)だ。なんと、東京五輪組織委員会会長で、一連の五輪不正、トラブルの元凶といわれてきた森喜朗元首相をゲスト出演させ、大ヨイショ番組を展開したのだ。
登場からしてすごかった。コーナーが始まる前、東野幸治が「本日はすごい方が来て下さいました。森喜朗さんでございます」とうやうやしく紹介すると、出演者がわざわざ起立し、森をお出迎え。松本人志にいたっては、森から「あなたが誘ってくれて」と声をかけられ手を差し出されると、森と両手で握手する始末だった。松本といえば、以前、安倍首相が登場した時も普段の態度からは考えられない媚びへつらいを見せて失笑を買ったが、今回もそのときとそっくり。とにかくこの芸人、権力者にはめっきり弱いらしい。
この気持ちの悪い媚びへつらいはトークが始まるとさらに露骨になった。森のことをラグビーW杯を成功させた立役者と持ち上げ、森に自慢話を語らせるための質問を連発しはじめたのだ。
たとえば、東野が「日本で開催されたワールドカップここまで盛り上がると思いましたか?」と質問したときのこと。森が自信満々に「思いましたよ」と答えると、東野が自分たちは盛り上がると思ってなかったと反省のコメント、松本も「もうしわけない」と大げさに謝罪して、森の「先見の明」を讃える空気をつくりだ。
ゲストのロンブー淳もこの流れに乗っかって森のことを持ち上げまくっていた。番組ロケで自民党総裁室に入ったときの話を持ち出し、「歴代の総裁の方が写真飾ってあるでしょう。スーツで皆さんビシッと写真にうつられてるんですけど、森さんだけラグビーのユニフォームで」「本当にラグビー好きなんだなと思って。総裁になったときに、自分の好きなスポーツのユニフォームでうつります?」などとみえみえのご機嫌とり。
そして、こうした質問を受けて、森がラグビー自慢話を語り始めるのだが、意味が不明瞭だったり、話題がずれたりで、面白くもなんともない。しかし、一同はなんのつっこみもせずひたすら感心して見せ、サムい冗談におおげさに爆笑し続けた。
そんななか、空気を読まない古市憲寿だけは話を振られても「僕は(ラグビー)見てないんで」と冷ややかだったが(ちなみに古市だけは森が登場した時も起立していなかった)、このときも、松本は古市を指さして、森に「こんなやつがいるんですよ!」とご注進するなど、必死で笑いにかえてフォローしていた。
まあ、それでもラグビーW杯の成功を自慢させただけならご愛嬌ですませられるが、信じられないのはそのあと。今度は森のオリンピック・パラリンピックへの“貢献”を礼賛し始めたのだ。
東野が「本当に命削りながら、来年2020年、いよいよ東京オリンピックパラリンピックで、国立競技場も完成して」などと話を振れば、ロンブー淳にいたっては、こんな露骨なヨイショ質問を繰り出していた。
「森さんって、いろいろ矢面になってやられているから、辛いことばかり言われてると思うんですけど、ここを見てよっていうか、みんなあんまり、ここ伝えてくれないんだけど、俺、オリンピックのためにここ頑張ったんだよ、ということを知りたいんですよね」
■森喜朗が東京五輪で引き起こしたトラブルと、私物化疑惑を一切追及せず
彼らは森がこの東京五輪をめぐって何をやったか知らないのか。東日本大震災の復興を妨害する五輪誘致を強行した中心人物だったのはもちろん、誘致決定後に起きた開催準備や会場建設のトラブルの多くは、森会長の独裁が大きな原因になっているのだ。
たとえば、2015年に発表された五輪エンブレムのパクリ問題もそうだ。組織委の発表によれば、問題になったエンブレムのデザインは2回修正されていたという。1回目の修正は商標登録上の問題だったが、2回目の修正の理由は「デザインに躍動感がない」というもので、この2回目の修正指示により、ベルギーの劇場のロゴに似てしまった。この2回目の修正指示が、デザインになんの見識もない森喜朗会長によるものだったことが、NHK『クローズアップ現代』の報道により明らかになっている。
新国立競技場のザハ氏設計案をめぐるゴタゴタも同様だ。予算が膨大にかかるザハ案を選定した事実上の責任者が森会長だったのはもちろん、このプランは国民からの強い批判を受け2014年5月の段階で1625億円まで圧縮することになっていた。ところが、森会長が中心となって、ザハ案のまま進めることをゴリ押し。「価格についてはここまで圧縮され、私は妥当だと思う」などとでたらめな論理を駆使して、総工費を2520億円に増額してしまった。その結果、さらに巨額の建設費がかかることが明らかになり、土壇場で設計者を変更するというドタバタ劇が起きたのである。最終的には1569億円で完成したというが、それでも当初予算の1300億円や北京五輪の430億円、ロンドン五輪の650億円を大きく超えている。
ほかの競技会場建設でも、森会長は予算を無視して、新規会場建設や大幅改修をゴリ推し。五輪の開催費用は最終的に、当初予算の約7000億円の4倍以上の3兆円を超えるのは確実といわれている。
しかも、こうした森喜朗の会場建設ゴリ推しの裏には、大手ゼネコンや不動産会社との癒着があるとも指摘されている。もともと森会長は、新国立競技場などの建設を受注した大成建設とのつながりが深く、後援会の会報にも同社の広告が掲載されているほどの関係だが、新国立競技場や森会長が建設見直しに反対しゴリ押しした「海の森水上競技場」は、99.99%という異例の価格で大成建設のJVが落札していた。東京五輪関連の工事では、99.99%の落札率や1者入札が相次ぎ問題になっている。
また、新国立競技場については、新規建設にあわせて周辺の神宮外苑再開発プロジェクトが持ち上がり、高さ規制の緩和がされているのだが、神宮外苑再開発プロジェクトをもともと仕掛けた不動産フィクサーは森の大学時代からの親友といわれる人物。この人物からの協力依頼で、森が電通や大手ゼネコンを巻き込んだ一大プロジェクトして発展させたといわれている。
他の五輪ビジネスでも、森喜朗会長が仕切っているとか、森会長のOKがでないと参入できないという声は聞こえてきており、予算が4倍超になった裏で、森会長が五輪を利権化している疑いはいまも否定できない。
ところが、この日の『ワイドナショー 年末スペシャル』では、こうした疑惑はもちろん、五輪のトラブルをめぐる森会長の責任論すら誰もツッコまなかった。
■森喜朗が新国立競技場問題で「悪いのは高くなると騒いだメディア」と逆ギレも東野幸治は…
いや、ツッコまなかっただけではない。五輪開催時の交通対策についての話のなかで、森会長は逆に建設費の高騰を自らこう正当化していた。
「例えば国立競技場なんかも、冷暖房ちゃんとしてあったのに、高くなるとかなんとか騒いでさ、壊されちゃったんだ。やりやすいようにちゃんと屋根付きにしてやったのも、高いからって、それも外された。でこういうの高いとか、なんか色々、注文をつける国会議員はいます。ま、世論受けするから。一番悪いのは、それを一緒になって騒ぐメディアだよ。」
ところが、こんな我田引水な理屈に誰も反論せず、東野にいたってはここでも「我々も、ちょっと一緒になって、こんなな税金のムダ遣いやっていうか」などと反省の姿勢を見せる有様だった。
最後になって、古市がようやく、「やっぱり東京都知事といろいろ確執がやっぱりあるんですか?」とツッコミを見せたが、このときも、松本「そろそろお時間のほうが……」とフォローしてまたも笑いにスリカエ。
しかも、この流れで、最終的に森が「(オリンピック誘致が決まってから)知事がね、石原さんも入れて4人も変わってるんですよ。だけど、それは知事が変わっても、どういうことがあってもちゃんと動かしていく、そしてそれは組織委員会があるがあるからですよ。考えてみると、組織委員会の会長はしっかりしてるから崩れない」と、厚顔無恥な主張を展開するのだが、一同は反論することもなく大爆笑。東野が「最後は森さんの自慢で終わりました!」と締めてしまったのである。
『ワイドナショー』や、松本ら出演者の権力御用体質はわかっていたはずだったが、あれだけ国民から不評を買っている森会長にまでこんな露骨に尻尾をふるとは……。
ここで想起されるのが、森喜朗会長がスタジオに登場したとき、松本に「あなたが誘ってくれて」と言っていたことだ。ようするに、松本みずからがセッティングしたということではないか。
そう考えると、森出演の背景には、テレビ局や吉本興業の五輪対策というような意味合いもあったのかもしれない。五輪を牛耳る大物元政治家に番組を使って接待をしたのではないか。
実際、ここまで露骨でなくても、メディア、とくにテレビの東京五輪へのスタンスは冒頭でも説明した通り、似たり寄ったりだ。
五輪の話題は出場選手の動向以外では、「日本が一つになって成功させよう」だの「ラグビーW杯に続いて日本国民がONE TEAM で」などという、応援キャンペーンばかり。会場建設をめぐる疑惑はもちろん、五輪開催による被災地復興遅れの問題も、誘致をめぐる竹田恒和会長や電通の不正も、ボランティアをめぐる混乱も、マスコミでは完全になかったことになってしまっている。
■問題をなかったことにする五輪礼賛一色報道の背景に組織委からの圧力
これはマスコミ各社が東京五輪のスポンサー企業になっているうえ、批判をすることで取材や便宜提供から排除されることを恐れているためだ。実際、新聞各紙の中で唯一、東京五輪の不正や問題点を厳しく追及してきた東京新聞に対して、組織委の森会長が“圧力”をかけていたことが報道された。
「週刊新潮」(新潮社)2016年4月14日号では、東京新聞の親会社の「中日新聞関係者」のこんなコメントが紹介された。
「今年2月、そろそろ正式に契約を結ぶという段になって、森さんは電通を通じてこんなことを言ってきたのです。“中日新聞社のうち東京新聞は国立競技場問題などを批判的に書いてケシカラン。組織委としては、五輪に批判的な東京新聞は外して、中日新聞とだけ契約したい”と」
この一件以降、マスコミ各社は震え上がり、その批判報道はそれまで以上に一気にトーンダウンしたといわれたが、五輪が近づくにつれて、その忖度、自主規制がさらに強まっているということだろう。
東京五輪のあらゆる不正・問題点に目を瞑り、ひたすら「オリンピック万歳」を繰り返し、あげくは横暴と私物化をごり押ししてきた大物元政治家を英雄視する──。この状況はもはや“五輪ファシズム”であり、マスコミこそがその最大の共犯者というべきだろう。
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