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入水自殺・三宅雪子 「助けて! 追われてるんです」ある晩、文春記者にかかってきた電話 あの“不死身”の女性がなぜ――
https://bunshun.jp/articles/-/24273
1/6(月) 21:30配信 文春オンライン 和田 泰明(週刊文春記者) 週刊文春
「三宅雪子さんが自殺した」
元衆院議員・三宅雪子氏(享年54)の元政策秘書からラインが来たのは、メディアが速報を打つ2時間ほど前のことだった。
私は「ええええ!」と返すしかなかった。あの“不死身”の女性がなぜ――。
クローズアップされた松葉杖での国会登庁
1月2日、三宅氏は東京都内の海岸で遺体で見つかった。海に飛び込んでの入水自殺と見られる。メディアに報じられたのは6日になってからだ。
元フジテレビ社員の三宅氏は、官房長官や労働大臣を歴任した石田博英氏の孫で、小沢一郎衆院議員とは長い付き合いがあった。その縁で、2009年衆院選に福田康夫・元首相の群馬4区から出馬。比例復活ながら当選を果たし、「小沢ガールズ」と呼ばれた。
2009年9月16日、初登院し、議員バッジを着けてもらう民主党(当時)の三宅雪子氏 ©時事通信社
三宅氏がクローズアップされたのは2010年5月、衆院内閣委員会の採決で与野党議員がもみ合う中、不自然なまでに派手に転倒。松葉杖で国会に登庁し「パフォーマンスでは?」と疑われた一件だ。
私が初めて三宅氏に接したのは、その騒動から1ヵ月後。小沢氏の民主党幹事長辞任を受け、小沢ガールズがどう思うのか聞く取材のためだった。
自宅マンションの4階から転落した前夜……
以降、私は頻繁に三宅事務所に出入りするようになった。当時、小沢氏の一挙手一投足がニュースになっていた頃で、三宅氏がズケズケと小沢氏に電話をしたり、小沢事務所に顔を出すものだから、ネタには事欠かなかった。
そんな三宅氏が同年11月、事故に見舞われる。自宅マンションの4階から転落し、腰椎を複雑骨折する大けがをしたのだ。
速報を耳にした時、私はゾッとした。事故の前夜、酔っぱらった三宅氏から「今週、私の記事載りますか?」といった電話を受けていたためだ。三宅氏から暇つぶしのような電話をもらうことは珍しくなかったので、その時も私は適当な受け答えをした。それが引き金となって自殺を図ったのではと恐れたのだ。
真相は、廊下の外に落ちた携帯電話を拾おうとし、中庭に落ちたとのことだったが、4階から落ちてよく命を落とさなかったものだと感心した。
病院に見舞いに行くと、三宅氏は7時間にわたる大手術だったにも関わらず、ケロッとした様子で、資料を読んでいた。早く国会に戻りたいのだという。私は呆れたようにこう声をかけた。
「三宅さんは不死身ですね。長生きしますよ」
「ひどいじゃないですか! もう絶交です!」
やがて小沢氏は民主党を離党、「国民の生活が第一」などを結党していき、三宅氏は当然のように行動をともにした。2012年衆院選で、三宅氏はいわば小沢氏の“鉄砲玉”となり、野田佳彦首相(当時)の千葉4区へ国替えする。週刊誌なのでスクープとはならなかったが、いち早くその情報も教えてくれた。
2012年7月、衆院予算委員会で、野田首相に質問する「国民の生活が第一」の三宅氏 ©事実いうこと
ただ苦戦を強いられ、『週刊文春』恒例の選挙予測では、三宅氏は劣勢を示す「無印」。
それを読んだ三宅氏は激怒。私に電話でこうまくしたてた。
「ひどいじゃないですか! 情勢調査では結構いい線行ってるんですよ。もう絶交です!」
結果は、比例復活もできない惨敗だった。
議員バッジを外した三宅氏は、その後も何食わぬ様子で電話をしてきて、「絶交」とはならなかった。
三宅氏はいわゆるバブル世代。豪勢な食事が好きだろうと、慰労をかねてレストランに招待しようとすると、「安いところにしてください」と店に頓着しなかった。大けがの経験からか、酒も呑まなかった。
一方で議員時代から内包していた「面倒くささ」は加速していった。
暇を持て余しているのだろう。電話が長い。こちらが電話をしていい状況か聞くこともなく、突然本題に入る。「いいネタがあるんですけど」と切り出すので、話は聞くが、たいていネット情報だ。30分ほど、一方的に話されたこともある。
朝8時ごろに電話がかかってくることもあった。「朝5時には起きてるから、これでも待ってから掛けてるんですよ」と悪びれる様子はない。
2013年7月、生活の党から比例代表で立候補し、街頭演説する三宅氏 ©文藝春秋
国政復帰への並々ならぬ執念を感じた
とりわけ2015年4月、小沢氏率いる「生活の党」から離党する時は、私に延々と“被害”を訴えた。
「小沢さんは悪くないが、周りの秘書が悪い。私はブロックされている。小沢さんは騙されているんですよ」
「小沢さんの支持者からツイッターで脅されている。殺人予告もされています。これ記事にして、止めてもらえませんか」
その頃から「被害者妄想」の傾向が出てきたように感じる。
「ストーカーに遭っているんです。これ、いずれ大事件になるから文春さんは取材すべきですよ」
あげくに夜、泣きそうな声で「助けて! 追われてるんです」と電話をしてきたことがあった。「警察に言った方がいいですよ」と応じると、「そうですか……」と悲しそうに切るのだった。
昨年夏の参院選では立憲民主党からの出馬を模索していたようだ。それはかなわなかったが、その反動からか、ある公認候補の悪口を言ってくるようになった。
「〇〇さんはとんでもない詐欺師。よく枝野(幸男・立憲代表)さんが許しましたね。あの人は取り入るのがうまいから、どうせ汚い手を使って公認とったんでしょう。なんで記事にしないんですか」
私が最後に三宅氏を見かけたのは、昨年7月の参院選最終日、立憲民主党の塩村文夏氏の演説会場でのこと。三宅氏は応援団を買って出たようで、スマホで演説の様子を撮りまくっていた。国政復帰への並々ならぬ執念を感じた。その悲壮感漂う姿に、私は声をかけることができなかった。
2018年1月に亡くなったアナウンサーの有賀さつきとはフジテレビの同期で、若い頃はよく連れ立って、ゴルフなどに興じていたという。今頃、有賀氏と再会しているだろうか。
入水自殺・三宅雪子 「助けて! 追われてるんです」ある晩、文春記者にかかってきた電話
— 文春オンライン (@bunshun_online) 2020年1月6日
あの“不死身”の女性がなぜ―― #週刊文春 #スクープ速報 #文春オンラインhttps://t.co/dwPapUMiIp
「不当な攻撃や侵害が原因なら」ですが、ご本人の性格によるものだとしたら、悲劇でしかないと思います。
— 碑文 (@Granada_Blue) 2020年1月6日
とはいえ、「何事も無し」ではなく、やはり1人の命が消えた背景は重いと思います。https://t.co/WqTBFWGy2s
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