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社会保障の構想ない増税だけ食い逃げの政権に対抗するには 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/266775
2019/12/26 日刊ゲンダイ
消費税10%の増税は強行、かたや税金の無駄遣いは1002億円(会計検査院の決算検査報告書を持つ安倍首相=右)/(C)共同通信社
立憲民主党の国会議員から「れいわ新選組の消費税5%論をどう思うか」と問われたので、私は「消費税増税には賛成だ」と返答した。
当然、これには順を追った議論の積み重ねが必要で、それを全部飛ばして「消費税をゼロに」「取りあえず5%に」というのはポピュリズム的短絡である。
まず第1に、日本はどんな福祉社会を目指すのかという構想がなければならない。それによってフランスや北欧のような高負担・高福祉なのか、英独などの「中負担の高めあたり」なのか。それによって、まず「国民負担率」が決まる。
第2に、その負担を豪州やデンマークのように全額、もしくはほとんどを税で賄うのか、社会保障支払いとどう分け合うのかを決める。第3に、その税の部分を何税(の増税)からひねり出すのかの決断が必要となり、そこで出てくるのが「直間比率」、すなわち税全体の中での直接税・間接税の割合をどうするかの問題である。
私は、税体系は産業構造とマッチしていなければならないと思う。日本が戦後、復興から高度成長へと爆走した産業社会の時代は、製造業の大企業が経済の推進力であり、所得税・法人税など直接税中心の税体系がふさわしかった。しかし、ポスト産業社会=情報社会の時代となり第3次産業の比率が6〜7割にも達した成熟国になると、主役は中小・ベンチャー企業やサービス企業となり、間接税が一定の割合を占めるような税体系にしないと徴税が難しくなる。
その上で、欧州でいろいろな事例があるように、食料品など基礎生活物資については消費税の減免を徹底して、いわゆる逆累進性に対処する。そこをはっきりしておけば、高額品やぜいたく品については消費税はある意味で累進性を持っていて、金持ちは1000万円のベンツを買って100万円の消費税を払うが、私のような田舎暮らしの者は100万円の軽四輪のバンしか必要としていないので、車を買っても10万円しか消費税を払わないということになる。
以上のようなことを議論して、安心して暮らせる21世紀のこの国の姿を実現していこうというのが、野田政権が言い出した「税と社会保障の一体的改革」ではなかったのか。ところが、年金をはじめ社会保障の立て直しの話はいつの間にか吹き飛び、安倍政権は消費税の増税のところだけを食い逃げしている。消費税がいけないのではなく、社会保障の構想抜きの増税がダメなのだ。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2019年12月25日
社会保障の構想もなく増税だけ食い逃げの安倍政権に対抗するには
— KK (@Trapelus) 2019年12月25日
年金をはじめ社会保障の立て直しの話はいつの間にか吹き飛び、安倍政権は消費税の増税のところだけを食い逃げしている。消費税がいけないのではなく、社会保障の構想抜きの増税がダメなのだ
永田町の裏を読む 高野孟(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/m9ASfwkGRM
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