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ロ事件の真相<本澤二郎の「日本の風景」(3526)
https://ameblo.jp/honji-789/entry-12560154946.html
2019-12-16 15:31:49 honji-789のブログ
<軍用機P3C(対潜哨戒機)国産阻止の中曽根康弘事件>
戦後最大の疑獄事件となったロッキード事件は、結論を先に言うと、それは確定したような田中角栄事件というよりも、金額的犯罪的に見て、それは中曽根康弘事件そのものだった。岸信介内閣以降、軍事利権を独占してきた右翼のドン・児玉誉士夫と、自民党きっての防衛族議員に対する、ロ社の秘密工作資金だった。中曽根の死を機会に改めて指摘する史的使命を帯びている。
対潜哨戒機P3C国産派の第一人者の中曽根を封じ込めるためのもので、ロ社は20余億円を児玉経由で、中曽根工作資金として投入したものだ。いまもP3Cは、日本の空を飛んでいる。
この事件の表向きの功労者は、東京地検特捜部の堀田という検事である。実際は、事件の真相を捻じ曲げて点数を稼いだもので、日本の法務検察の不公正な犯罪的捜査を露呈したものでもあった。
<ロッキード社20余億円の児玉誉士夫を眠らせた主治医と愛人>
戦争中の中曽根は、海軍主計中尉という立場で、侵略地で現地の女性を捕獲して、日本兵の性的処理のための慰安所を作った。「このことで感謝された」と戦後の著書でとくとくと記述しているように、侵略戦争に対する反省の意識が低すぎたことで知られている。
国会議員になってからの彼は、改憲軍拡と原発推進に執念をたぎらせた。防衛族議員になるや、武器弾薬の国産に三菱など財閥と協力して奔走するのだが、その一つがP3Cの国産化だった。
ロ社が驚いて中曽根懐柔に走った。中曽根と連携していた児玉に工作資金を流し込んで見事成功させている。
当時の中曽根危機は、児玉への国会喚問だった。国士を自認する児玉が口を開けば、中曽根は一巻の終わりと思われた。彼は病気を理由に逃げようとしたが、国会は児玉邸への出張尋問で切り抜ける計画を立てた。
この児玉邸に一歩早く足を運んで、児玉に怪しげな注射を打ったのが、主治医だった。児玉の口封じは、見事に成功して、中曽根は危機を免れた。
この大学教授の主治医には、意外な一面があった。飲み屋の女性に手を付けて、やくざに追われていた。救ったのが児玉だった。この児玉を「先生」と呼んでいた中曽根が、間に入っていたのかどうか?
危機一髪、児玉邸に主治医を行かせた人物は誰だったのか?
<ナベツネはすべてを知っている!>
誰か中曽根と児玉双方の盟友という読売新聞のナベツネの口を開かせれば、この当時のいきさつも明らかとなろう。
筆者は、ナベツネが政治部長になる前の政治部長だった多田実と親しかったことから、ごく自然にナベツネの様子を聞く機会があった。むろん、ナベツネを読売に入社させた宇都宮徳馬や、読売OBの元衆院議長の伊藤宗一郎から、ナベツネの活躍を聞かされていたが、一番の驚きは、自己の出世に児玉の右翼暴力団を利用していた、という話である。
これは政治屋が暴力団を使うという話よりも強烈だった。
中曽根・児玉・ナベツネがグルになって、危ない橋を渡っていたことは、すでに本などでも明らかにされている。
ロ事件の全容を知るのは、読売のナベツネなのである。
<民間機5億円の角栄事件にすり替えた東京地検の堀田検事の不正>
東京地検特捜部の当時の堀田検事は、いまどうしているだろうか。一時は福祉方面で活躍していたようだが、彼は法務検察の不公正な捜査を、事情通に暴露したことになろう。
ワシントンの議会でのロ社幹部の証言が発端となっての飛行機売り込み工作の最大のものは、軍用機のP3C工作に対するものだった。児玉ー中曽根ルートである。この最大の軍用機汚職事件に手をつけなかった罪は、計り知れないものがある。
堀田・東京地検特捜部は、民間機の5億円工作事件にのみ的を絞った。自民党運輸族と当時の首相・田中角栄に集中したことである。肝心の本丸を回避した。右翼暴力団と改憲派の戦前派にかすろうとしなかった。その罪は万死に値しよう。
元法務大臣の中村正三郎は、筆者の問いかけに対して「何を捜査するか、しないかは、すべて検察が判断している。検察が生殺与奪の権限を独占している」と打ち明けたものだ。
日本の法務検察に正義は存在しない。堀田の見解を聞きたい。法務検察の大改革が急務といえる。
<三木武夫首相と稲葉修法相の大芝居だった>
三木武夫について、ジャーナリストの評判は悪くない。彼の平和主義ゆえであるが、ロ事件の捜査に関する限り、彼は首相として稲葉法相に対して、公正な捜査をするよう指示することができた。稲葉は検事総長に「片手落ちの捜査は許されない」という訴訟指揮ができた。
この点で、三木も稲葉も致命的な政治判断をしたことになる。
当時の自民党幹事長は中曽根である。稲葉の親分である。中曽根逮捕となれば、総裁である三木の責任は避けられない。三木も稲葉も自己保身に徹したものだと、あえて断罪したい。
三木は最高の地位を利用して、自民党最大の軍用利権にメスを入れる好機を失ってしまった。
<ロ資金20億円など遺産相続の行く方に注目>
ロッキード事件は、戦後の保守政治の最大の汚点である。同時に、法務検察の、取り返しのつかない犯罪捜査の象徴となったものである。
最近の首相犯罪は、モリカケからTBS山口強姦魔救済事件、そして続く河井法相や菅原経済産業省の公選法違反事件など。そして「桜を見る会」における、公費を悪用した公選法・政治資金規正法の違反事件が、法務検察の捜査を待ち構えている。
ところが、検事総長以下の法務検察は、いまだに春の桜を夢枕にして休んでいる。国民に奉仕するという国家公務員法違反である。
新聞テレビも野党も、これに文句ひとつ言っていない。
他方で、中曽根康弘の遺産相続の行く方にも、国税庁の関心が移っている。岸信介や佐藤栄作、小泉純一郎ら長期政権内閣組織者、はたまた加えて、原発と武器利権が渦巻いている中曽根康弘である。どのように金を隠しているのか、いたのか。
秘密の口座は、どこなのか。国税庁は責任を果たす義務を負っている。
ロッキード事件は、まだ終わっていない。国民は、ロ社の20億円の行方を知りたい。
2019年12月12月16日記(東京タイムズ元政治部長・政治評論家・日本記者クラブ会員)
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