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参院本会議で、共産党の田村智子氏の質問に答弁する安倍晋三首相。疑惑の核心部分には答えないままだ/12月2日 (c)朝日新聞社© AERA dot. 提供参院本会議で、共産党の田村智子氏の質問に答弁する安倍晋三首相。疑惑の核心部分には答えないままだ/12月2日 (c)朝日新聞社 モリカケ問題」の教訓が生きた? “二つの戦略”で「桜を見る会」問題から逃げる安倍政権
2019/12/10 08:00
http://www.msn.com/ja-jp/news/politics/%e3%80%8c%e3%83%a2%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%82%b1%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%80%8d%e3%81%ae%e6%95%99%e8%a8%93%e3%81%8c%e7%94%9f%e3%81%8d%e3%81%9f%ef%bc%9f-%e2%80%9c%e4%ba%8c%e3%81%a4%e3%81%ae%e6%88%a6%e7%95%a5%e2%80%9d%e3%81%a7%e3%80%8c%e6%a1%9c%e3%82%92%e8%a6%8b%e3%82%8b%e4%bc%9a%e3%80%8d%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%8b%e3%82%89%e9%80%83%e3%81%92%e3%82%8b%e5%ae%89%e5%80%8d%e6%94%bf%e6%a8%a9/ar-BBY0hrf?ocid=iehp
「桜を見る会」問題で、安倍政権は野党の追及をかわし逃げ切りを図る。柱となるのは二つの戦略。モリカケ問題で得た「教訓」が元になっているという。AERA 2019年12月16日号では、二つの戦略について政府関係者に取材した。
* * *
桜を見る会をめぐり、政府の支離滅裂が止まらない。5日には、菅義偉官房長官が記者会見で火だるまになった。発端は、野党議員が資料請求した直後に内閣府が破棄した出席者名簿。実際にはまだバックアップデータが残っていたのに、国会答弁ではそのことを明かさなかった。菅氏はその理由について、こう言い放ったのだ。
「バックアップデータは行政文書ではない」
「(国会議員からの資料請求は)対象が行政文書であることが前提だ」
記者側は猛反発した。
──公文書管理法のガイドライン改定に携わった専門家から、「組織が作成・管理に当たっている以上、行政文書である」との批判が出ている。指摘をどうとらえるのか。
「内閣府から、バックアップファイルは、一般職員が業務に使用できるものでないことから組織共用性を欠いており、行政文書には該当しないと説明を受けている」
──共産党議員の資料要求の際に、バックアップデータの存在を知らせなかったのはなぜか。
「繰り返しになってしまうが、招待者名簿はあらかじめ決められたルール等、手続きに従って廃棄している。かつ、バックアップファイルは一般職員が業務に使用できるものではないことから、組織共用性を欠いており、行政文書に該当しないという認識のもとに、適切に対応したものだったと思う」
菅氏はこの日、事務方が何度も差し入れるペーパーを読み上げ続けた。普段は余裕たっぷりで会見を仕切る菅氏の目が、終始泳いでいるようだったと出席した記者の一人は証言する。
このやり取りを見た、ある自民党関係者は言う。
「あの菅さんが、該当しないと断定せず、『該当しないと説明を受けている』と発言の責任を事務方に転嫁するような曖昧な発言をした。これは、よっぽど追い詰められているな」
安倍政権が重視するのは、「桜を見る会」の問題を第2の「モリカケ問題」にしないこと。そのための戦略は、大きく分けて二つあるという。
一つ目は、「安倍首相を矢面に立たせないこと」だ。今回、安倍首相は普段は行わないぶら下がり会見に応じ、国会の要請があれば、いつでも説明する用意があると印象づけた。しかし、実際には野党が首相出席の集中審議を求めても、与党がそれに応じることはなかった。政府関係者はこう証言する。
「モリカケが長期化したのは、疑惑の当事者である安倍首相が当初、国会で『私や妻がこの認可、あるいは国有地払い下げに関わっていたのであれば、私は総理大臣を辞める』などと発言してしまったことが原因だった。安倍首相は、とくに昭恵さんが関わる問題に関しては躍起になって自ら弁明しようとするが、すればするほど傷が深くなる。一番いいのは、首相出席の集中審議を開催しないことだ」
その半面、この戦略には安倍首相の代わりに、矢面に立つポジションが必要となる。それが菅官房長官だった。対メディアという意味でも、官房長官会見は、1日2回、毎日、開催されている。主催は「記者クラブ」とはいえ、会見を仕切るのは実質、官邸。しかも菅氏は日本最長の政権を支え続ける辣腕だ。
「あとは時間稼ぎですよ。連日、この問題をやっていれば、必ず、他にも重要な法案があるだろう、と、野党やマスコミの攻勢にうんざりする世論が広がる。その上で、野党が審議を欠席しようものなら好都合。逆にそれが野党にとって痛手になる」(前出の政府関係者)
二つ目の教訓は「内部文書の流出を防ぐこと」だ。モリカケの時、政権を揺るがしたのは野党の追及よりも、むしろ、その都度、政権の内部からメディアに流出した内部文書だった。いま、流出を防止することに、とくに首相周辺は躍起になっているという。ある自民党幹部はモリカケ問題をこう分析する。
「財務省の佐川宣寿理財局長が、ないと断言した森友学園と財務省とのやりとりを示す文書。そして、加計問題をめぐっては『総理のご意向』を書かれた内部文書がリークによって表沙汰になり、これは詰んだなと思った。ないと言い続けてきた文書が出てきたんだから。今回の件でも、破棄したとされている名簿が、何らかの形で出てきたら大変なことになる。官邸はそればかり気にしているはずです」
(編集部・中原一歩)
※AERA 2019年12月16日号より抜粋
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