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不正が正されず、悪徳が栄えるこの国
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2019年12月 6日 植草一秀の『知られざる真実』
臨時国会も幕を閉じて2019年がまもなく終わる。 不正が正されず、悪徳が栄えるこの国の闇は深い。 「桜を見る会」の疑惑が拡大したが、安倍首相は逃げの一手である。 「疑惑を持たれた者は内閣にあるものもそうでない者も、与党であろうと野党であろうと説明責任をしっかり果たすことが必要」 と繰り返してきた安倍首相が、自分に対して疑惑を持たれた途端、説明責任を果たそうとせず、逃げの一手である。 国会の予算委員会で集中審議を行い、疑惑を追及することが最低条件だった。 安倍首相は政府行事である「桜を見る会」を完全に私物化していた。 その私物化の証拠となるのが招待者名簿である。 ところが、政府は国会で共産党の宮本徹衆議院議員が資料提出要求すると、その直後に名簿を破棄した。 しかし、この時点ではシステム上にバックアップデータが存在していた。 国会の資料提出要求に対してバックアップデータを活用して応じることができた。 ところが、菅義偉官房長官は、バックアップデータは「行政文書ではない」との詭弁を呈して政府の対応の誤りを認めない。 こんな馬鹿げた説明を粉砕しない日本の情報空間の歪みが際立っている。 安倍首相後援会が主催した「桜を見る会」前日夜開催の前夜祭では、通常、最低でも1人1万円以上はかかる費用に対して参加者から徴収した参加費は5000円だった。 会場入口で安倍首相後援会スタッフが参加費を徴収し、ホテルニューオータニの領収書を手交し、参加費をホテルニューオータニに渡し、安倍首相後援会は収支に一切かかわっていないと安倍首相は説明している。 安倍首相説明は虚偽である疑いが強い。 安倍首相説明が虚偽であることを示す証拠が提示されれば、安倍首相の嘘が立証される。 決定的な証拠を提示する当事者が名乗り出ることが待たれている。 「桜を見る会」招待者名簿のなかにマルチ商法で巨大な被害をもたらしたジャパンライフ元会長が含まれていた。 ジャパンライフ元会長は政府からの招待状のコピーを印刷して営業活動に利用。被害拡大の重大な原因になった。 ジャパンライフ元会長は安倍首相の推薦枠のなかで招待状が発送されたと見られている。 事実関係を明らかにして招待に至る経緯を明らかにしなければならない。 安倍首相および後援会、政治資金管理団体の行為は公職選挙法、政治資金規正法に抵触するおそれのある重大な問題である。 安倍首相が「説明責任」を強調するのであれば、衆参両院の予算委員会で集中審議を行うことは当然である。 しかし、安倍首相が指示して予算委員会での集中審議実行が阻止された。 本会議で一方的に自己の主張を朗読しただけで終わっている。 国会が国会としての機能を果たしていない。 これ以外にも、安倍内閣に関する刑事責任を問われる問題がことごとく無罪放免とされてきている。 甘利明氏、下村博文氏の問題も無罪放免にされてきた。 森友、加計疑惑では疑惑の中心に位置する安倍首相、安倍首相夫人、加計孝太郎氏の問題が不問とされ、財務省による国有地の不正廉売を実行した事案、公文書改ざんした事案、国会に虚偽の事実を報告した事案のすべてが無罪放免にされた。 その一方で、森友学園元理事長夫妻だけが逮捕され、長期勾留の末、長期懲役刑の求刑がなされている。 問題の本質は行政を私物化した罪、国有地を不正廉売した罪、公文書を改ざんした罪であるのに、この本丸がすべて無罪放免とされ、森友学園の補助金受領だけが犯罪として取り扱われている。 このような政治崩壊に対して、野党は毅然とした対応を示すべきだが、その野党中核に位置する立憲民主党と国民民主党の対応が生ぬるい。 野党が解散を恐れて与党に対して毅然とした姿勢を示せぬなら日本政治は完全崩壊する。 日本の崩壊が進行している主因は安倍政治の暴走にある。 三つの重大な要因がある。 第一は刑事司法が腐敗しきっていること、第二はマスメディアが腐敗しきっていること、そして第三は主権者である国民の対応がぬるいことだ。 第一と第二はあちら側、暴走する安倍政治の側の問題。 しかし、第三はこちら側の問題だ。 野党が生ぬるい対応を示すのも、野党に対する監視の責任を負う主権者の側の問題であると言ってもよいだろう。 この現状を放置するなら、日本は世界で最悪の国家の一つに凋落することになる。 |
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