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倉重篤郎のニュース最前線:れいわ新選組・山本太郎も掲げるMMT(現代貨幣理論)はアベノミクスと同じだ! - 毎日新聞 https://t.co/C7sCoSSykP
— UEU-BI (@6211west) 2019年11月7日
倉重篤郎のニュース最前線
れいわ新選組・山本太郎も掲げるMMT(現代貨幣理論)はアベノミクスと同じだ!
https://mainichi.jp/sunday/articles/20191104/org/00m/070/006000d
2019年11月7日 05時00分(最終更新 11月7日 05時00分) サンデー毎日 2,019年11月17日号
国の借金、返す必要がない――無責任学説の欺瞞を暴く
山本謙三(元日銀理事)金子勝(立教大大学院特任教授)野口悠紀雄(一橋大名誉教授)
永田町を妖怪が徘徊している。赤字財政を財源とみなすMMT(現代貨幣理論)という新奇な経済理論だ。れいわ新選組の山本太郎氏が貧困対策のよりどころとしたことで知られるようになったのだが、果たしてその実態は? 無責任性においてアベノミクスと重なると看破する倉重篤郎が迫る――。
不祥事報道による相次ぐ閣僚辞任である。問題閣僚が多いとはされていたものの、絵に描いたような展開ではないか。権力の過信か、おごりか。長期政権の行く末に陰りが出てきた。政局の節目になるかもしれない。ただ、この稿では現代貨幣理論(MMT=モダン・マネタリー・セオリー)という経済理論を取り上げ、吟味したい。現在永田町を急速に侵食中であり、場合によっては今後の政局を動かす政策軸の一つになりかねないからである。
それは自国通貨建てで政府が借金して財源を調達しても、インフレにならない限りは財政赤字は問題ではない、という理論である。
ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が提唱、米国民主党や欧州の左派を中心に支持が増えている。日本では、れいわ新選組の山本太郎氏が唱え、一部にとどまっていた議論が広がりを見せ始めた。衆院の予算委では、自民党議員から同理論に賛成する立場からの質疑が行われ、野党内にも同調者が増えている。小沢一郎氏もこの欄の先のインタビュー(10月27日号)で、この理論に注目していた。
永田町の気持ちはよくわかる。従来の財政規律論に囚(とら)われる限り、新たな財政需要に応えられないからだ。
財政規律とは、増税や歳出カットによって歳入と歳出のバランスを保つこと。当たり前のことである。
だが、言うは易(やす)し、行うは難し。すでに1000兆円超の累積赤字を抱え、毎年の予算編成でも60兆円台の税収で100兆円を歳出する日本財政の現状からすると、規律の道はあまりにも遠く、茨(いばら)の道である。一方で、まだ財政ニーズはゴマンとある。目の前の貧困者救済、将来世代のための教育費の無償化、出生率を上げる関連予算、イノベーションのための科学研究費、抑止力強化のための防衛費……と左陣営の要望から右陣営まで枚挙にいとまがない。
この二律背反、財政袋小路的状況を背景に台頭してきたのがMMT理論だ。
確かにありがたい理論ではある。「自国通貨建て」と「インフレにならない限り」という二つの条件をクリアできれば、いくら借金してもよろしい、つまり財政規律は気にするな、というものだからである。
ただし、美味(おい)しい話には裏がある。私は、二つの意味で怪しい議論だと思う。
第一に、いくら借金してもいいなら税金なんていらない。国家財政は全部借金で調達すればいい。極論だが、そう言いたくなる。
第二に、安倍晋三政権が展開中のアベノミクス(=異次元金融緩和政策)との微妙な因果関係である。なぜ安倍政権が異次元政策を採用したか。財政、金融という二つのマクロ政策のうち、膨大な借金を抱える中、これ以上財政に頼ることができない、という判断から、金融に異次元の役割(日銀の事実上の国債引き受け)を求めたものであった。劇薬的政策という認識もあり、2年での撤収予定が7年目の今でも続き、なお2%の物価目標を達成できていないというのが現状だ。
つまりMMT理論の怪しさの二つ目は、安倍政権のマクロ政策を金融から再び財政にシフトするきっかけを与えそうなことである。もちろん、安倍政権自体は、財政健全化の努力は継続している、ということを理由にMMTに与(くみ)せず、という姿勢だが、MMT議論の高まりを背景に、今後財政支出にまた軸足を移していく可能性があると私は見ている。異次元緩和とMMTの合体ともいえる事態だが、あまりにもご都合主義ではなかろうか。財政には迷惑をかけないからと金融を異次元化したものの、目標を達成できず数々の副作用(財政規律低下、日銀財務悪化)まで生み出した果て、その失敗の総括、反省もないまま、今度は財政をも異次元化しようというのだ。
そもそもMMT理論の論拠には、この異次元緩和政策によるかくまでの借金財政でもなおインフレにならないという日本モデルがある、とされている。その意味では、アベノミクスがMMTの育ての親でもあり、そこにまたこの理論の危うさを感じるのである。
戦費も財政赤字で賄うという危険性
野口悠紀雄(ゆきお)・一橋大名誉教授は、MMTが三つの経済理論の合体型であると指摘する。
「一つは、ドイツの経済学者ゲオルク・クナップが20世紀初頭に唱えた貨幣理論で、貨幣は素材の価値があるから通用するのではなく、国が価値があると宣言するから通用するという考えだ。二つ目に、アメリカの経済学者アバ・ラーナーの20世紀中ごろの主張だ。内国債(ないこくさい)は、国から見れば債務だが、民間の国債保有者から見れば資産だ。両者は帳消しになり、外国に支払うために国が使える資源が減る、という意味での『国債の負担』は発生しない。三つ目は、経済が不完全雇用で遊休資源があるなら、財政赤字によって財政支出を増やすべきだとするケインズ経済学だ」
新しい理論ではない?
「新しい部分は、財政赤字を長期的な施策の継続的財源としているところだけだ。ただ、ケインズ経済学で言う赤字財政支出は、短期的需要を調整するための一時的な支出で、経済が完全雇用になればすぐやめることが想定されているが、米国では地球温暖化対策や国民皆保険など継続的財源として提唱されている。政策をすぐにやめられない以上、インフレになる可能性がある」
「一番恐ろしいのは長期金利が上昇してしまうことだ。数年で一般会計の国債費利払いができなくなり、保有国債の値下がりで日銀が債務超過になってしまう」
借金財政でも「インフレにならない限り」というところがミソだ。
「借金財政の行き過ぎがインフレをもたらしたケースは過去いくらでもある。第一次大戦後のドイツ、ロシア革命後、ソ連崩壊後のロシア、今のベネズエラ、アルゼンチン。インフレになったらどうするのかという当然の問いに答えなければならないということだ」
「インフレが生じない場合でも問題がある。無駄な歳出が行われる可能性が高い。増税を財源にすると言えば反対が強く実行できない政策が、財政赤字で賄うと言えば通ってしまう。戦費も増税ではなく財政赤字で賄うとなれば負担が意識されず財源が調達できてしまい、実際に戦争が起きる」
安倍政権の全世代型社会保障論議にも影響が出る。
「財源の裏打ちがない社会保障の拡大につながる。年金も医療保険も制度を支える財政基盤が確立されないままに将来の給付が約束されている。消費税率を10%からさらに引き上げる必要があると考えられるが、そういう議論は全く行われていない。異端の学説だからといってMMTの影響力を軽視するのは危険だ」
異端≠ェいつの間にか正統≠ノ化けることもある。異次元緩和政策も私にはそう見える。金子勝・立教大大学院特任教授にはこの二つの政策がどこで重なり合うか、その接点を炙(あぶ)り出してもらう。
「問題は、異次元緩和を正当化した人たちと、MMT推進派の論客が人脈的に一部重なることだ。異次元緩和政策は、いまだに2%の物価目標を達成できずにいる。本来はその失敗が厳しく問われるべきなのに、今になって実は金融ではなく財政支出が重要だった、と言っているようなものだ。議論のすり替え、MMTへの乗り換えともいえる」
産業衰退と賃金低下が一番の問題
失敗の原因については、異次元緩和策にはなく、2014年の消費税8%上げにある、という理屈だ。
「それは違う。大型間接税というのは、景気がいい時には増税を吸収してくれ、景気が悪い時には経済を必要以上に悪化させる。日本の場合、1989年に消費税3%を入れた時に景気に悪影響はなかった。それどころかバブル経済になった。それに対して97年に5%に引き上げた時はバブル崩壊後だったので悪く響いた。海外を見ても、同じ付加価値税率引き上げでは2011年のイタリアはギリシア危機の余波があり経済が収縮したが、07年のドイツ、11年の英では経済に悪影響を残さなかった。16年は安倍政権で唯一実質賃金がプラスだったのに『リーマン・ショック並み』と言って消費増税を延期する一方で、今回は米中貿易戦争などで景気が悪化する中で増税する。いかにもチグハグだ」
「消費増税のせいで経済政策が失敗した、というのであれば、付加価値税の税率が20%前後のEU各国はどうなるのか。失敗の連続ではないか。順番が逆だ。異次元緩和を軸としたアベノミクスという経済政策が失敗したから消費増税がきいてしまった、と言うべきだ。特に産業衰退と実質賃金の継続的低下が一番の問題だ。自分たちの失敗を消費増税にすり替え、自己正当化しようとしている」
異次元緩和策の今後は?
「限界がきている。産業が衰退する中で、マイナス金利で銀行の収益構造が破壊されつつある。そこにバブル崩壊のリスク。財政基盤の弱い地銀がきつく、合併、提携で逃げ切ろうというところまで追い込まれている。最後の貸し手である日銀も、FRB(米連邦準備制度理事会)、欧州中銀に比べ、量的緩和を進め過ぎ、結果的に発行国債の半分を保有する異常事態だ。まるで出口のないネズミ講。もう抜けられない。どこまでも行っちゃいましょうという恐ろしい話になっている。福島原発事故と同じ。いつ起きるかはわからないが起きた時は終わりだ」
金子氏が警戒するのはMMT理論もさることながら、その悪用である。異次元緩和失敗のカムフラージュとして使われるのではないか、という政権に対する抜きがたい不信感だ。
それにつけても異次元緩和である。物価が2%になるまで日銀がほぼ無制限、異次元に国債を購入し続ける、という量的緩和策のことであるが、どうしても議論はその是非に立ち戻る。特に、政策遂行主体である日銀の本音がよく見えない。本当に失敗という意識はないのか。MMT理論は彼らにはどう見えるのか。
格好な人に出会うことができた。12年まで日銀理事をつとめた山本謙三氏(オフィス金融経済イニシアティブ代表)である。
インフレ対策を欠いた無責任性
今振り返って、異次元緩和は適切な政策だった?
「そうは思わない。12年以降景気が良くなっていたので必要はなかった。白川方明(まさあき)総裁であればむしろ(国債購入)量を減らしていったかもしれないし、石破茂首相であったなら異次元ではないオーソドックスな金融政策を続けていたかもしれない」
「日銀というのは物価だけを見ている存在ではない。日銀券発行機関として、通貨価値の安定のみならず、国内の決済システムや民間銀行の健全性を守ることも重要だ。ところが、インフレになるまでいくらでも資金をばら撒(ま)いて何が起きたか。結果的に銀行の収益が悪化、金融システムの脆弱(ぜいじゃく)化にまでことが及ばんとしている。しかも、依然として物価目標は達成できず、旗を降ろすこともできない。物価だけに絞って日銀はこうすべきだという議論の危うさがはっきりした」
日銀の国債購入の仕方はどうか。財政法で禁じられている事実上の財政ファイナンス(日銀の直接引き受け)との指摘もあるが、日銀はいったん市場を通した購入だからそれはあたらないと主張している。
「市場に出した後即購入、しかもこれだけ大量に買い続けると、財政ファイナンスでないという論拠にならない。水掛け論だ。そもそも論になるが、中央銀行が国債を直接引き受けると、いずれは悪性のインフレになり国民生活が危殆(きたい)に瀕(ひん)する、というのが歴史の経験則だ。第一次大戦後のドイツ、第二次大戦後の日本がそうだ。その教訓から中銀は国債を直接引き受け(財政ファイナンスし)てはいけない、と法律で歯止めをかけた。それが民主主義国家としての知恵だった。その意味では、今起きていること、これから起きることは、初めからわかっていたことでもある。MMT理論もこの歴史的経過をほぼ黙殺、インフレになったらどうするか、処理できるかについて言及していない」
日銀が事実上財政ファイナンスをしていた疑いが強いことを認めるとともに、過去の歴史体験からその結果は予測可能だ、と異次元緩和を批判した。また返す刀でMMT理論の弱点を突いた。歴史観、インフレ対応策の欠落、という点では野口氏と同意見だ。山本氏は異次元緩和とMMT理論の相関性についても語った。
「日銀もまたMMTに否定的だが、日銀が量的緩和で財政赤字を吸収、金利が上がらないゆえにまだ財政赤字を増やしていいという点からすると、異次元緩和の実態とMMT理論には親和性があるように見える」
ここは金子氏が述べた二つの政策の重なり合うところでもあろう。
さて、MMT理論を徹底批判したつもりである。もちろん、MMTに潜むポピュリズムが時代状況的に人気を博すことをわかったうえでの話である。異次元緩和政策の延長線上でMMTが論じられることが最も脅威となる。いずれも壮大なる無責任路線という点では同根であるからだ。
かねこ・まさる
1952年生まれ。立教大大学院特任教授。経済学者
やまもと・けんぞう
1954年生まれ。オフィス金融経済イニシアティブ代表。元日銀理事
のぐち・ゆきお
1940年生まれ。一橋大名誉教授。経済学者
倉重篤郎・本紙専門編集委員
くらしげ・あつろう
1953年、東京都生まれ。78年東京大教育学部卒、毎日新聞入社、水戸、青森支局、整理、政治、経済部。2004年政治部長、11年論説委員長、13年専門編集委員
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