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鳩山元首相、共和党結党へ…「韓国・徴用工問題で日本は解決済みと主張できない」
https://biz-journal.jp/2019/10/post_125450.html
2019.10.28 構成=長井雄一朗/ライター Business Journal
「第1回共和党結党準備会」を開く鳩山由紀夫元首相
鳩山由紀夫元首相は10月25日、「第1回共和党結党準備会」を東京都内で開いた。9月に上梓した『次の日本へ 共和主義宣言』(詩想社)の共著者である首藤信彦元衆議院議員と新たな政治運動を始め、新党結成も視野に入れることを発表した。
一方で、鳩山氏は「まだ党ができているわけでもなく、私が政界復帰を決めたわけではない。しかし、共和主義の考えに基づき、周辺諸国と仲良くし、国民の幸せを追求する政治システムをつくることは言い続けたい」「共和党ができるかはみなさん次第」と語った。また、首藤氏は新党の目標として、2030年までに30人の国会議員を誕生させ、40年までに単独あるいは連立政権を樹立するプランを披露した。
元衆議院議員の首藤信彦氏
鳩山氏は、新党が結成されれば次の衆議院議員選挙で戦うことも示唆している。しかし、準備会には現役国会議員の参加はなく、新党が結成されるかどうかは今後の政治情勢によるのが実情だ。12年に政界を引退後、シンクタンク「東アジア共同体研究所」を設立し、現在は同所の理事長を務めている鳩山氏。7年間の沈黙を破り、この準備会で共和党構想について講演を行った。以下、その様子をお伝えする。
■7年間の沈黙を破った理由
みなさんから、「今の日本の政治は鳩山自身に責任があるのではないか。そんな人間が新たな政治勢力をつくろうというのか。けしからん」というご批判もあろうかと思いますが、それはある意味その通りで、私は7年前に政治家を引退した人間です。当時、「政治主導」や「官から民」をスローガンにし、民主党政権のもと首相に就任しました。
しかし、官から表裏さまざまな妨害を受けました。私がやりたかった、アメリカに依存しすぎている日本を本当の意味での独立国に生まれ変わる努力をしたつもりです。普天間基地問題についても、最低でも県外、できれば国外に移設しようと努力をしましたが、その思いは届かずに、みなさん方に大変な迷惑をかけ、その責任を取って首相を辞めた人間です。
この7年間、日本が国際的に名誉ある地位を占めているのであれば、私は退いているほうがいいのでしょう。国会の中で多数を占めている安倍政権ですが、国民のための政治になっているかといえば、クエスチョンマークがつくのではないでしょうか。そこで、私どもは、共和主義という考えに基づく政治が重要であると思い至りました。
■安倍政権では解決できない日本の諸課題
日本の課題はさまざまあります。まず、急激に劣化する地球環境への日本の対応は極めて遅く、不足しています。このままでは、21世紀の世界の人々は9割が生き残れないという識者の判断もあります。地球変動や温暖化に歯止めがかけられていません。大企業におんぶにだっこの政治では、なかなか大胆なことを決められないのではないでしょうか。
私は2009年に国連で首相として演説し、1990年比で2020年までに温室効果ガス25%削減の公約を発表しました。それが、残念ながら2011年の東日本大震災で福島第1原発が事故に遭い、日の目を見なくなりました。パリ協定を強化していくために日本が大きな役割を果たすべきで、日中韓の3国が先頭を切るべきではないかと考えています。このままでは、太平洋の島しょのいくつかが消滅する危機が迫っています。
次に、激変する東アジアに対応できておりません。ようやく日中関係はよくなったと言われますが、習近平国家主席が安倍首相に信頼を置いているかといえば、そうではありません。安倍首相は、経済については握手をしようと言いつつも、沖縄の与那国島に自衛隊を増派し、ミサイル基地を設置しようという発想になっています。一方で握手をし、一方でげんこつを握ることで、果たして中国の多くの方々の共感を得られる日本になるのかと心配しています。
それ以上に、日韓関係がひどい状況になっています。戦後最悪な状況になった日韓関係の背景には、徴用工の問題を指摘せざるを得ません。この元徴用工の問題は、日韓基本条約、日韓請求権協定により、国と国との間で問題は解決したことについては間違いではありません。しかし、国際人権規約があり、1979年に日本も批准をしており、日本も国際人権規約に沿わなければなりません。ですから、解決済みと主張することはできないのです。
国同士が結論を出したとしても、個人の請求権が奪われることはありません。外務省はそのことを知っているのに、おくびにも出しておりません。そこで、安倍首相も「国際法を守っていないのは韓国だ」と言わんばかりに主張していることは、正しい姿勢ではありません。厳しい状態の日韓関係をこのまま続けていいと思う方々は、多くありません。やはり、隣国とは親善関係を築いていくべきです。そういうなかで、日本の対応のあり方が今、問われています。
北朝鮮問題でも、安倍首相は金正恩委員長と無条件で会談したいとの意向を示していますが、北朝鮮側は「無条件というのであれば、なぜ経済制裁を科したままでいるのか」という意見です。もし本気で北朝鮮問題を解決したいのであれば、制裁を解いて1対1で会談しようというのが金正恩委員長の意見です。
一方で、アメリカの武器を大量に購入することを決め、アメリカに依存する政治が続いています。畜産業界も、今後厳しい状況になるのではないでしょうか。自動車の関税も、今後も楽観できない状態が続いています。アメリカは日本に対して保護者として守ってあげる姿勢でしたが、ここに来て、むしろ収奪者に変貌しています。このままアメリカに追従した外交でいいのでしょうか。
また、行政も政治も嘘、隠蔽、捏造がまかり通っています。私自身も、かつて外務省がつくったペーパーによって辺野古移設に戻らされた経験がありますが、外務省はそのペーパーの存在すら認めていない隠蔽工作が堂々と行われています。日本は本来、三権分立していなければならないのですが、司法、立法、行政の三権のすべてが官邸を向いています。
こうした状況を見て、政治から離れ7年間、東アジアに共同体をつくりたいと活動してきましたが、日本の政治に対して一言二言、申さなければならないと思っています。
日本はこれまで、経済成長至上主義に行き過ぎたのではないか。これからは少子高齢化になっていくなかで、成長からいったん目を離して、人間の幸せに視点を移していくべきではないでしょうか。経済が少数のお金持ちとそうでない多くの人々をつくっていくのであれば、それを見過ごすことはできません。国家や経済はあくまで手段であり、人間が目的であり、人間の幸福を追求することが大切です。
■在日米軍の常駐は異常事態
今後の日本は、「正義」「美徳」「卓越」「友愛」の4公準で政策の意思決定を定めていくべきではないでしょうか。私どもが『次の日本へ』で披露した政策が完璧であると申し上げるつもりはありません。むしろ、徳を持ったみなさん方が議論をし、それを進め、より良い政策へと高めていくことが共和主義の真髄です。
まず、具体的な政策を考えれば、これまで数年間行動してきたのが友愛外交の実現です。すなわち、アメリカからも自立し、アジアの諸国との協力関係を深めることです。その先に、日本、中国、韓国が軸になり、さらには、ASEANも参加する東アジア共同体をつくりあげたいです。習近平国家主席も東アジア共同体という言葉を使っており、韓国でも賛同される方が大変増えております。むしろ、東アジア共同体に前向きではないのは日本ではないかと思うのです。日韓関係が厳しい折、東アジア共同体創設は難しいという意見もありますが、だからこそ、共同体をつくりあげることで不必要ないさかいをなくすことができます。
次に、地域のことは地域に任せるという地域主権です。身近なことは身近で解決しようとすることがコミュニティの重視につながります。国家が大事で国家の権限を強めようとする憲法ではなくて、地域主権の憲法であれば十分に改正も検討すべきです。その憲法でいえば、憲法裁判所は日本にはありません。これも憲法改正しなければできませんが、そのための憲法改正であれば、こちらも議論する余地はあります。
外交でも、中国や北朝鮮との信頼関係が深まれば日本の安全性は格段に上がります。そうしていくためには、辺野古移設阻止、在日米軍基地は縮小、撤退していくべきだと考えております。朝鮮戦争以来、在日米軍はい続けていますが、これは異常事態です。
また、原発は日本にはふさわしくありません。津波や地震により福島第1原発が事故を起こし、悲劇を生みました。津波だけのせいにして今再稼働が進められていますが、地震の部分をもっと慎重に考えるべきです。原発は核兵器に転用できる技術であり、これは自民党の念願であり、核を保有する日本であってはなりません。共和主義は、忖度をする政治をなくしていくことが大前提です。
■安倍政権を終焉させるために
共和党ができるかは、みなさん次第です。そのためには、もっと準備運動を行わなければなりません。今日は、まさにその一歩を踏み出したのです。これから共和主義を政党化していくところまで議論を深めていくことが大事です。共和主義は“みながともに和して同ぜず”です。
安倍政権を終焉させていく上で、野党がどのように結集していくか。自分たちが先鞭をつけて政党をつくっていくのが正しいのか。それとも、みんながより集まる舞台を提供していくことが大事なのか。これからは、その議論もあります。
(構成=長井雄一朗/ライター)
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