週刊朝日
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作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は安倍首相に対する辻元清美議員の質問について。
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
イラスト/田房永子
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10月11日の衆院予算委員会で辻元清美議員の質問が見事だった。例によって安倍晋三首相は「久々に辻元さんのご質問を受けて緊張しております」とニヤニヤと答え、その様子に自民党議員から野卑な笑い声があがった。
辻元さんは、なにかあれば「悪夢のような民主党政権」とか、民主党政権と比べてどれだけ経済発展したかということを喧伝(けんでん)する安倍さんに、原発を安全だと言い続け原発大国にした自民党政権の責任を問い、人類史上最悪の原発事故を味わった政権時代の経済状況を鬼の首を取ったように批判するなと釘を刺した。
また、憲法改正に意気込みを見せる安倍さんが、実は国会の憲法審査会(調査会)に、19年間でたった一度しか出席していないことを指摘した。それも代理として顔を出しただけで、自分が発言した後は他の人の意見を聞かずにすぐに帰ったことを、辻元さんは記憶していた。
憲法審査会で、現職の議員で最も発言しているのは笠井亮氏の358回で、辻元さん自身は239回だという。また安倍さんの盟友だった中川昭一議員は辻元さんとは全く憲法の考え方は違ったが、共にヨーロッパに憲法調査に行き議論を戦わせたというエピソードも披露した。その中川氏は憲法審査会で209回発言していたという。
数字を明確に述べた後、辻元さんは息をはくように重々しくこう言った。
「私たちはずっとやってきたんです」
それに対し安倍さんは「議論が大切だ」とは言うが、今までの憲法論議の積み重ね、ご理解なさってないのではないですか? ちなみに岸田文雄政調会長も一度も参加していないという。
辻元さんは、安倍さんの憲法改正についての「考え方、立場の異なるものが議論し、合意を形成するプロセスが政治」という発言を紹介した。それでも、そのような議論を避け、違う声を力と数で潰し、女性議員を鼻で笑うようにして逃げてきたのではないか。
この翌日、台風が来た。また多くの人が亡くなり、多くの人が生活を奪われ、多くの人が絶望の淵に立たされている。絶望の淵に立たされても、未来が見えればそこは本当の絶望ではない。でも、原発事故後の処理や、アメリカからの武器の大量輸入などで金のない日本が、もはや古い電柱をなおす余力すらなくなっていることを、自然災害の度に突きつけられている今、未来が見えない。
東日本大震災のとき、辻元さんは首相補佐官に就任し、ボランティア担当になられた。被災地のプライバシーが大切だと、すぐに4万枚のパーテーションを避難所にも送られている。残念ながら、多くの避難所がパーテーションを放置したままで、そしていまだに日本の避難所は、全く仕切りのない寒い体育館に人々が「放置」されている状況だ。
人の命が軽い。言葉が軽い。本当のことを言うのは誰か。ウソをついているのは誰か。本当に働いているのは誰か。
自然災害から逃れられないのであれば、せめて政治家を変えたい。
※週刊朝日 2019年11月1日号
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