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被災者を手厚く援助せよ
https://www.chosyu-journal.jp/column/13664
2019年10月17日 コラム狙撃兵 長周新聞
東日本を襲った台風19号による被害の規模は、その影響が余りにも広範囲に及び甚大であることから、死者数や行方不明者数は膨らみ続けている。決壊した河川や床上浸水に見舞われた住宅の規模、被害地域の範囲など全容の把握は困難を極めている。道路が崩れて孤立している地域があり、停電に見舞われている地域やタワーマンション等があり、千曲川の決壊に見られるように、河川の決壊によって濁流にのまれた地域がいくつも存在している。ニュースでとりあげられていないまでも困難に直面し、助けを必要とする地域や住民が相当数いるのである。
凄まじい雨量が東日本の各地を襲い、先人たちの築いてきた治水事業がいかに大切で有り難いものか、身に染みて感じるものでもあった。それこそ東京を流れる多摩川もギリギリのラインでかつがつ大規模な決壊は免れたものの、あわや首都圏大パニックにもなりかねない恐怖の増水量であり、自然の猛威に対して慢心などできるものではない。そして、耐えきれなかった長野県の千曲川、茨城県の那珂川、福島県の阿武隈川をはじめとした52河川が決壊し、おびただしい数の住宅が泥水に浸かることとなった。
地震や津波、火山噴火、あるいは台風や集中豪雨など自然災害は避けがたいものとしてどこでも起こり得る。東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨災害等等、この何年かを振り返っただけでも経験したことがないような自然災害に遭遇してきた。
問題は、その度にこの国では仮設住宅暮らしを強いられる国民が増え続けていることだ。災害でどん底に叩きつけられると、個個人の努力如何だけでは這い上がろうにも這い上がれないのに、いつも棄民政策によって国民の生命や暮らしは二の次で隅へと追いやられる。泥に突っ伏して、気力もなく起き上がれなくなっている住民たちを温かく抱え上げて背中を押す力、展望をもって生きていけるよう後押しする力が機能しないのである。ボランティア、すなわち社会の善意にいつも丸投げしてしまい、それだけでは限界性もあってどうしようもないのに、国を挙げて国民の生命を守り、その暮らしを再建して日常をとり戻せるよう援助する力が機能しないのである。
そうして、いつしか社会から被災地や被災者は忘れ去られ、あろうことか“復興五輪”のダシにされ、東北でも熊本でも、広島や西日本の豪雨災害被災地でも、いつ抜け出せるとも分からぬ仮設住宅に被災者は押し込められて、とりわけ高齢者たちが難民のようにプレハブ暮らしを強いられる。
傷ついた国土、傷ついた国民生活を守るのが為政者なり統治機構に委ねられた最大の責務なはずだ。税金をこれでもかと徴収して、いざとなったら自己責任に委ねるというのは詐欺みたいなものである。決壊した河川を修復し、治水事業をより強化するだけでなく、住宅再建をはじめ不慮の災害によって困っている国民の暮らしを守るために、被災地や被災者に対して大胆に金銭的援助を実施することが求められている。台風15号で屋根が吹き飛んだ千葉県の住民たちとて同じである。雨露がしのげない青ビニール生活を国民に強いるのは「先進国」ではなく、後進国といわなければならない。
安倍晋三がバラマキ外交で配り回してきた数十兆円を国民生活のために回すなら十分にできることだ。誰のために国家財政を使うのかが根本問題なのだ。
吉田充春
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