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ところで、戦後74年経つ現在においても、「大東亜戦争」についての国家的総括も国民的結論も得られていないのは何故か?
大東亜戦争即ちアジア・太平洋戦争について、「太平洋戦争」と明らかな因果関係にある、肝心の対中戦争について思考停止したままだからだ。
東條政権の「自存・自衛」に始まって、「大東亜戦争肯定論」(林房雄)や一般に流布している「白人支配からの解放」等、その殆どが対米英戦争に関してであり、本丸の対中戦争に関するものはごく少なく、負け犬の遠吠えの様な「日本だけが侵略国家だったのか?」ぐらいが精々な有り様。
考えてみるまでも無く、これは実に奇妙なことではないだろうか?
”侵略戦争”という評価からして対中戦争を指しているのであって、日本が先の戦争で動員した軍隊(陸軍)の大半は中国戦線で、また断罪されたものの多くが日中戦争に関わったもの―即ちカイロ宣言で告発され、ポツダム宣言で懲罰を宣されて、実際に「東京裁判」で裁かれた「戦争犯罪」の主要なものが中国において―にも拘わらず、である。
実は彼我のこの「評価」の落差、懸隔こそが先の戦争の真実の姿を見えなくしているわけだが、それを明らかにするとなると、朝鮮戦争からベトナム戦争、そして今日の南西アジアに至る”対テロ戦争”まで含めて、大戦後の「アメリカの戦争」まで対象化して考える必要が出て来るのである。
即ち日本の対中国の「大陸政策」はアメリカの模倣とするH.ミアーズの視点『アメリカの鏡、日本』に従うなら、自ら「討匪戦」―匪賊※討伐戦―と呼んだ日中戦争は、日本にとって、「対インディアン戦争」に他ならず、また他方大戦後のアメリカの、中国をその真の標的とする対アジア政策―先ず朝鮮半島を北上し(朝鮮戦争)、膠着状態になると南進してインドシナ半島から入って泥沼に陥る(ベトナム戦争)―は日本軍(の行動)を上書きしたものだった、ということになる。
※匪賊とは悪党、ブッシュ流の言い回しでは”ならず者”という意味
つまりは、”タリバン政権相手にせず””フセイン政権相手にせず”で、”テロリスト”や”ならず者”退治に突っ込んでいった「対テロ戦争」は”国民政府相手にせず”で突っ込んでいった「討匪戦」の、またホーチミンよりもその背後の中ソの幻影に振り回されたベトナム戦争は、蒋介石よりもその背後の米英の影に振り回された日中戦争の正確な似絵だったということになり、朝鮮戦争、ベトナム戦争、そうして”コミュニスト”が”テロリスト”に変わった”対テロ戦争”は、アメリカにとって、その本質は、対日戦争の延長線上にある「対インディアン戦争」だった、ということである。
してみると、何故日本が日中戦争について、「侵略」という外からの評価のまま、日本に主体的な総括が出来ぬのか、分かろうというもの。
模倣したその相手から断罪され、しかもその相手は、今に至るまで、やり口を変えていないし、反省もしていないのである。
何が正しくて、何処が間違っていたのか、見当も付かない―精々真似する方としてはその態度を真似るしかない、といったところになるしかない。
挙句の果てに出て来るのは”日米は運命共同体”と、一蓮托生で、思考停止して仕舞う。
こんな場合、模倣する相手が、又は模倣すること自体が間違いだった、とはならないのである。
何故か? そこに近代日本が陥った宿痾と言うべきものが凝縮して現れ出ているのである。
脱亜入欧 ―意識が「脱亜」した日本は、欧から米へ模倣の対象が変わる事はあっても、アジアへの眼差しの脱落は変わる事はないのである。
視野を全体に拡げて見ていけば、先の戦争は明治以来の必然的な道行であり、明治の選択の破綻としか言いようのないものにもかかわらず。
更にもう一つ、
虚心坦懐に観ていくなら、ポツダム(カイロ)宣言で浮かび上がるのは、より露骨に言えば、日本は、太平洋を巡る覇権争いでアメリカに敗れ、アジアの”盟主”を巡る争いで中国に負けたということである。
そうして、世界、或いは国際政治的観点から言えば、大英帝国からアメリカへの覇権の交代で、日本は、双方からいい様に利用され、使い捨てられたという事実だけが残り、それは其の儘、これから先も使い捨てられる運命しか待ってない、ということを暗示する。
斯くして、アメリカは日本の死に至る病である
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