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これ以上任期が延びれば1強政治の弊害がさらに拡大し、独裁につながりかねない。
安倍晋三首相(自民党総裁)の総裁4選論が再び浮上している。11日の自民党人事で再任された二階俊博幹事長は、新役員の記者会見で、安倍氏の総裁4選について「総裁が決意を固めたときは、国民の意向に沿う形で党を挙げて支援したい」と述べた。4選を促すような発言に危機感を覚える。政権の長期化は腐敗や堕落の元凶になるからだ。
自民党は2017年に総裁任期を連続「2期6年まで」としていた党則を「3期9年まで」に改正し、安倍氏の総裁続投を可能にした。もしさらに改正し「4期12年まで」にし、安倍氏が続投すれば、24年9月まで任期が延びることになる。在職日数が戦後最長となった安倍首相は11月に歴代最長を更新するのはほぼ確実だ。あまりにも長すぎる。
「安倍1強」は既に「1強独裁」の様相を強めている。森友学園を巡る決裁文書改ざんや交渉記録廃棄の問題などはその表れだ。「忖度」が横行し、行政のあるべき姿がゆがめられているのは疑いない。今回の第4次安倍再改造内閣も意のままに動く「イエスマン」を起用し、閣内で異論を許さない姿勢が鮮明だ。
この人事に自民党内からも批判の声が上がっている。冷遇された石破派の石破茂元幹事長は「わがグループは政策に精通した人が多い。そういう人を使うのは国家、国民のためだと思う」と述べた。
そもそも安倍氏は国民目線を欠いている。内閣再改造後の記者会見で、党主導で憲法改正論議を進めるとした上で「困難でも必ず成し遂げる決意だ」と訴えた。しかし、共同通信による改造内閣発足後の世論調査では、安倍首相の下での憲法改正に反対は47・1%で、賛成の38・8%を上回っている。
世論調査では、同じような傾向が続いているが、こうした国民世論をくみ取る態度が見えない。同様に、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設でも、反対する沖縄の民意を無視し続けている。「辺野古が唯一」と繰り返すだけで政治が機能していない。そればかりか主権者をないがしろにする政治と言うほかない。
民意を無視して新基地建設を強行している安倍氏が4選に向かうなら、沖縄県民にとっても不幸な事態である。安倍氏は辺野古新基地建設を失策と認め、早期に退陣するべきであって、総裁4選などもってのほかだ。
法や党のルールで多選を制限するのは政治の私物化や汚職、組織の硬直化などを防ぐためだ。自民党も、それらにつながる権力の集中を回避しようと総裁任期を定めた。米国の大統領は2期8年、韓国は1期5年までと憲法で定められている。党のルールを変えてまで延命を図るのは暴走そのものだ。注意深く監視する必要がある。
琉球新報社説 2019年9月17日
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-990703.html
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