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あまりの厚かましさにあぜんとさせられる。
東京電力が、新潟県の柏崎刈羽原発の7基について「6、7号機の再稼働後、5年以内に1〜5号機の廃炉も想定したステップを踏む」との方針を表明した。
地元・柏崎市の桜井雅浩市長は、原子力規制委員会の審査に合格した6、7号機の再稼働を認める条件として、残る5基の廃炉計画を提出するよう求めていた。
その回答がこれだ。廃炉に渋々言及したものの、実行の言質は与えずに「まず再稼働を」と地元に迫る内容である。
福島の悲惨な事故への反省はあるのか。地元の要望に真正面から向き合おうとしない東電の姿勢は姑息(こそく)で、不信感を禁じ得ない。
柏崎刈羽原発は2007年の中越沖地震の際、放射性物質が原発の外に漏れ出すなど大小50件のトラブルが発生した上、東電から行政への報告が遅れ、地元住民を不安に陥れた。
福島事故後の新規制基準の下で6、7号機の審査が行われていた17年には、東電が免震重要棟の耐震性不足を規制委に報告していなかったことも発覚している。
こうした中で2基の審査に合格を出した規制委に対し、住民から「拙速だ」との批判の声が上がったことを忘れてはならない。
そもそも福島の過酷事故を起こした東電が再び原発を動かすことが許されるのだろうか。桜井氏が示した7基中5基の廃炉という条件でも甘すぎるぐらいだ。
なのに東電は「1〜5号機は現時点で必要な電源」と回答し、青森県の東通原発や千葉県の洋上風力発電など非化石燃料の代替電源を確保する、といった廃炉検討の条件を逆に突き付けた。
これでは、なるべく廃炉はしないと言っているのも同然である。
福島の事故後に実質国有化された東電は、2年前に国とともにまとめた経営再建計画に、柏崎刈羽1〜5号機を段階的に再稼働させる方針を盛り込んでいる。
政府のお墨付きを得たと受け止め、「再稼働するのが当然」と勘違いしていないか。
東電は福島第1原発の廃炉や賠償を進めるために毎年5千億円の営業利益が必要だとする。
福島の復興を遅らせてはならないが、そのために他の原発を動かすという理屈は、国民の感覚とずれている。
国と東電は本年度中に見直す予定の再建計画で、再稼働に頼らぬ経営の在り方を打ち出すべきだ。
北海道新聞社説 2019年9月17日
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/345250?rct=c_editorial
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