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日本を歪める権力癒着マスメディアの罪
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2019年9月15日 植草一秀の『知られざる真実』
メディアの毒が目に余る。 私たちが得る情報の大半がマスメディア経由である。 日々、さまざまな出来事がある。 しかし、それぞれの個人がその出来事を自分の力で把握することはできない。 メディアが提供する情報によって出来事の存在を知る。 メディアが伝えなければ存在する出来事もなかったことと同じになる。 他方で、メディアがある出来事を巨大に、そして繰り返し伝えると、その出来事が巨大であるとの印象が植え付けられることになる。 内閣改造が行われたが、そのタイミングは、千葉県の主権者が生命の危機に直面しているさなかだった。 電気が途絶え、水道、ガソリン、通信が遮断されたところに酷暑が襲った。 酷暑を避ける方法がなく、複数の主権者が命を失った。 政府の対応が遅れ、いまなお10万単位での停電が続いている。 内閣改造を延期して、内閣が指揮を執り、主権者の生命を守るべき局面だった。 メディアがこの指摘を繰り返し報道したなら、主権者全体に安倍内閣に対する厳正な視線が形成される。 これが事態を改善させる原動力になる。 ところが、メディアは千葉県の深刻な事態を伝えず、内閣改造のお祭り騒ぎに加担した。 小泉進次郎氏が入閣した情報を誇大に宣伝し続けている。 小泉進次郎氏が偉大だから小泉進次郎氏に対する主権者の認識が広がったのではない。 メディアが10年間にわたって小泉進次郎氏の誇大宣伝を続けてきたから小泉氏に対する認識が拡大してきただけだ。 まったく同じことが橋下徹氏にあてはまる。 橋下氏が誇大な存在感を得た唯一の理由は、メディアが橋下氏を誇大宣伝し続けてきたことにある。 つまり、メディアは無から巨大を創作できるし、巨大を無に帰すこともできる。 常磐道であおり運転を行った人物が誇大に取り扱われた一方で、4歳男児が横断歩道を青信号で歩行しているときに警視庁新宿署のパトカーに跳ね飛ばされて殺害された事件の報道は断片的なものしか存在しない。 どちらの事件がより重大であるかは一目瞭然だ。 あおり運転を肯定する考えは毛頭ないが、横断歩道を青信号で歩行していた男児を跳ね飛ばして殺害する事案が重大であることは明白だ。 パトカーは道路交通法第41条に違反している。 また、道路交通法72条にも抵触した可能性がある。 しかも、横断歩道を青信号で歩行していた男児が死亡した。 当然のことながら、刑事事件として立件する必要がある。 しかし、その情報が一切伝えられていない。 新宿署のパトカーは薬物検査の尿検査の検体を運送していたとのことだが、赤信号を直進する際の安全確認を行えないような緊急事態にはなかったと考えられる。 小泉進次郎氏の業績を精査するなら報道にも意味があるのかも知れない。 しかし、そのような姿勢は垣間見られず、小泉氏を大きく報道する事由は存在しない。 むしろ、安倍首相が側用人とも言える人物を多数閣僚として、あるいは、自民党役員として起用した点に吟味するべき点が山積している。 甘利明氏、下村博文氏は政治資金の不正疑惑を十分に晴らしていない。 韓国の法務大臣就任について朝から晩まで報道し続けている日本のマスメディアが、自民党役員や安倍内閣閣僚に登用された人物の政治資金疑惑を朝から晩まで報道し続けないことがはるかに不自然である。 市民の思考、判断が、メディア報道によって完全に歪められてしまっている。 インターネット上には優れた正しい情報が存在するが、その情報にアクセスできる主権者の数が限られている。 大多数の主権者はマスメディアの不正な情報操作の餌食にされてしまっている。 日本政治が歪んでしまっている重大な背景の一つが、メディアの歪みである。 テレビの視聴率1%は瞬時に100万人に情報を届ける意味を持つ。 100万人への情報伝達は、1000人の集会を1000回実行して達成できる成果である。 テレビの影響力は圧倒的に強い。 このテレビが全国放送5社とNHKの6社に独占されてしまっている。 この問題を深刻に受け止めなければならない。 |
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