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山田洋次監督の映画「小さいおうち」は、1935年以降の東京の戦中の暮らしを丹念に描く。
治安維持法ができて10年たった時期だ。満州事変の後で既に国際連盟を日本は脱退している。
庶民は戦争の気配を感じていたはずだが、暗い雰囲気は街中にそれほどない。郊外に次々と家が建ち、店は大売り出しを行う。暮らし向きがいい家にはお手伝いさんもいた。
37年に盧溝橋事件が起きて日中戦争が始まると、戦争の空気が色濃くなる。全ての政党が解散して大政翼賛会をつくり、議会は戦時体制の追認機関に。新聞など報道機関も誤った情報を流し…。
太平洋戦争の敗戦から74年。
戦死した軍人らは約240万人。各地の空襲や広島、長崎の原爆、沖縄戦で亡くなった市民らを加えると約310万人が命を失った。戦没者を慰霊するとともに、平和の誓いを新たにする日としたい。
歳月を重ねるごとに戦争を知る戦前戦中の世代は少なくなっている。同じ道を歩まないためにも、戦争へ至った歴史を若い世代に詳しく伝え続けなければならない。
同時に、今の日本の状況の検証も欠かせないが、もと来た道を進んでいる危うさを感じざるを得ない。
安倍政権は2013年に特定秘密保護法を制定し、14年に武器輸出三原則を緩和した。15年には安全保障法制も成立させている。国民の十分な納得はいずれも得られていない。
安保法制により自衛隊の米軍支援エリアは「地球規模」に広がった。米国への攻撃に武力で共に対処できるようになったほか、他国軍への「駆け付け警護」も可能となった。
戦争放棄など、憲法9条は戦争への反省を基に打ち出された。それを空文化する怖さ、憤りを感じる。
安倍首相は、参院選で「議論すべきだという国民の審判が下った」とし、自衛隊を9条に明記するような改憲を急ぐ考えを繰り返し示している。しかし、選挙後の世論調査では安倍首相の下での改憲に「反対」とした国民が半数以上を占めた。国民の思いとずれがある。
安保法制の成立時は、財政難の米国が軍事的貢献や役割分担をさらに求めてくるとの懸念があった。それが現実になった。
高額防衛装備品の調達をトランプ米大統領から半ば押し付けられているのではないか。ステルス戦闘機や地上配備型迎撃システムの費用などで防衛費は膨らみ続けている。
中東・ホルムズ海峡を巡る有志連合への参加も米側は求めている。日本はイランとの関係もある。安易な結論は禍根を残す。
米朝首脳会談が3回開かれたが、朝鮮半島非核化への道筋は見えていない。東アジア地域の緊張緩和のためには、軍備増強路線より外交や対話に重点を置くべきだ。
戦中、弾圧を受けた渡辺白泉の句〈戦争が廊下の奥に立つてゐた〉。しばしば引用されるが、決して過去の警句ではない。
高知新聞社説 2019.08.15
http://www.kochinews.co.jp/article/300763/
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