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アジア太平洋地域でおびただしい犠牲者を出した戦争に敗れてから、きょうで74年を迎えた。
日本は戦後これまで、戦争の当事者になることなく、平和な時代を享受してきた。ただ、内外の現状をみると、築き上げてきた平和が揺らいでいるように感じる。
国際社会に対する不戦の誓いを堅持し、恒久平和を確固たるものとするにはどうすればいいのか。考える日にしたい。
韓国との関係はかつてないほど悪化している。歴史問題が決着せず、非難の応酬を繰り広げる現状は目を覆うばかりだ。
軍備の拡大を図る中国や北朝鮮が地域の安全保障に与える悪影響も座視できない。
国内に目を向ければ、安倍晋三首相が7月の参院選で改選過半数を獲得し、9条をはじめとした憲法の改定に意欲を見せている。
日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する。それが9条の理念だ。ゆるがせにはできない。
平和憲法を持つ日本だからこそ対立を避け、安心と寛容に満ちた世界の構築に積極的に関わっていくことが大事だ。
そのためには相手を知り、理解することが欠かせない。
終戦の日に、対話の大切さを心に刻みたい。
■報復の連鎖に危うさ
政府間で解決済みとしてきた元徴用工への賠償問題が再び浮上したのをきっかけに、日韓両政府が貿易手続きを巡る対抗措置を打ち出し合う泥仕合を展開している。
安倍首相も文在寅(ムンジェイン)大統領も互いに批判を繰り返すだけでは、報復の連鎖は断ち切れない。
従軍慰安婦問題でも溝は深い。対話を密にし、互いに相手の立場を理解して、歩み寄りを模索しながら、解決を図るべきである。
中国との関係改善は経済面での協力が軸で、安全保障を巡る緊張緩和は進んでいない。
日本固有の領土である沖縄県・尖閣諸島周辺では中国船の領海侵入が続く。ロシアとの軍事協力も進め、最近、日本海などでの合同パトロールも実施した。
A級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社への政府要人の参拝には中国の反発が根強い。懸案を解決しないままでは真の友好は望めない。
北朝鮮は7月下旬から連日のように短距離ミサイルを発射した。
拉致問題は一向に進展せず、このままでは国交正常化のめどは立たない。
■改憲の時期ではない
戦後日本の国是である「専守防衛」をないがしろにするような動きも強まっている。
憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を可能とした安全保障関連法の成立が大きな要因だ。違憲の疑いが強く、廃止するのが筋だ。
これを受けて日米の軍事一体化が加速する中で、トランプ米大統領が日米安全保障条約について、日本の米軍への防衛義務がないとして「不公平」を口にした。
ホルムズ海峡を航行する船舶の安全確保を名目にした有志連合への参加も要請した。
憲法は海外での武力行使を禁じている。このまま米国の意向に沿って歯止めなき追従を続ければ危うい。
先の参院選で安倍首相は、9条に自衛隊を明記する自民党案に言及して、憲法改定を積極的に争点に据えた。
だが、参院選後の世論調査では安倍政権下での改憲に過半数が反対した。国民の理解が進まず、国会での合意形成も不十分なまま、改憲ありきで取り組む姿勢に強い違和感を覚える。
■多様な見方を重ねて
戦後70年以上が経過しても消えない歴史問題は、東アジアの安定を損ねる火種と言える。
ただ、その対処について一つのヒントがある。
米コロンビア大のキャロル・グラック教授(歴史学)は歴史問題での対立を、「(過去の戦争に関する)国民の物語同士の衝突」と分析する。
戦争の歴史をどう見るかは立ち位置によって変わる。国民の物語は自国側からの視点だけで、記憶は単純化されやすいため、相通ずることはなかなか難しいという。
対立を和らげるには、相手の記憶を尊重しつつ、自らの記憶に多様な見方を加えていくことが重要になると教授は指摘する。
そのために必要なのは、市民や学生も含めたさまざまなレベルでの対話や交流だ。
日韓の対立が深まる中、両国の市民が友好のメッセージを交わす動きが見られた。政治的利害を超えて、相互理解を図る試みとして注目したい。
まずは冷静になり、話す環境をつくり、胸襟を開く。それが平和を継続的に紡いでいくことにつながるに違いない。
北海道新聞社説 2019/8/15
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/334901?rct=c_editorial
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