http://www.asyura2.com/19/senkyo264/msg/148.html
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既に多くの人に知れ渡ってるが、「時間かせぎ」とはアベの政治手法―手を変え品を変え、目先を変えて、常に「何かやってる」感を醸し出し、政権の「現前化」を図ることによって、途切れること無く「風」を送り込み、「空気」※を醸成する。
※「空気」を差配し操作するのがTVのプロデューサーやデレクター等のメディア官僚であり、霞が関官僚にも増して警戒し、厳しい眼を向けるべきはこのメディア官僚である。
社会の木鐸だったはずのジャーナリズムが殆ど機能していないこともそうした状況に棹差す結果となっている。 産経、読売を筆頭に、政府広報、大政翼賛を臆面も無く勤める新聞も酷いが、これに輪を掛けて酷く、最早犯罪的と言っていいのがテレビを中心とする視聴覚メディアなのである。
理性的に物事を捉えるよりも、元来が「空気」に流され易い国民多数の性向に加えて、新自由主義による社会的連帯の破壊やIT化などによる社会の希薄化に乗じる形で、メディアによる<像>(イメージ)の現前化、<像>が支配し、君臨する事態を招いているのである。 ―現実よりも<像>の方が現実感(リアリティ)を持つという倒錯した状態―若者ほどこの傾向は酷くなっており、アベ支持が多いのも斯かるメディア現象と捉えるべきなのだ。
この事と密接に繋がってるが、これ程メディアへの干渉と露出度の高い政権は過去に無かったし、アベは突出している。 何かにつけてシャシャり出て来て、全てを仕切ってるが如く振る舞う、一方で途切れることなく芸能・スポーツ界等のタレント・有名人との交歓を頻りにアピール―それも、ジャニーズやヨシモトなど、メディアの人気度の高いのを選んで、会食に誘い、時にはそういった番組に出たりする。
「世論調査」(内閣支持率)の動向が政権維持更には浮揚に重要なモメントになってる事をみれば、これは、単なる好感度アップに止まらず、純然たる政治活動と見做されるべきであろう。 タレント・芸人の人気や好感度はメディアへの露出度と相関関係にあるのは知られていようが、政権への支持もこの「好感度」と似通って来ているからである。
ジャニーズやヨシモトのタレント・芸人が「報道番組」※に数多く進出しているのも底流で繋がっているのだろう。 ジャーナリステックなセンスがあるとはとても思えない彼らが何故重用又多用されるのか、我々は事態をもう少し深刻にみるべきであろう。
※これまでの純然たる報道番組は数少なくなり、多くが「情報バラエティ番組」になっている。 つまり、報道するという事よりも、情報を「ワカリ易く、オモシロく)差配する方にシフトして行ってるのである。 従って、従来にも増して、メディア官僚のちょっとした匙加減で受け取る印象がガラリと変わる。 何故芸人が多用されるのかもこの事に関わってる。 メディア官僚の醸し出す暗黙のナビゲートに阿吽の呼吸で応えるのがタレント・芸人であり、他の誰よりもその場の「空気」を読むのに長けてるのがタレント・芸人なのである。
他方、政治を遠く感じてる(政治は分らない)多くの層(特に若者)にはこういったことはアピールするのであり、意識下に、彼等タレント・芸人のイメージにダブって、政権への肯定的な空気感が植え付けられる、という訳だ。 政権の「現前化」―「何かやってる」感―と並んで、斯かる「空気」によってこの国の政治は支配されてるのである。 もちろん、だから、中身の無い、風船の様な「支持」なのだが、彼等にすれば、それでいいのである。 実際、そのような風船の様な「支持」で、「安保法制」始め、この国の進路を左右する政策決定がなされて来たのだから。
下記スレ参照
ファシズム考5 今日のボナパルティズムの様相 ー今日版の「大政翼賛会」ーメディアクラシーへ
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/321.html
それにしても、どうしてそうなったのか?
上でも言った様に、これまであれば、その間にジャーナリズムが在って、それなりに距離を保ち、そのような政権のやり口に対して批評or批判的な視点を示し、理性的に観る場を提供して来たのだが、コイズミ、特にアベ以降メディアが完全に変質したのである。
その背景には、世界的な傾向と日本固有の事情と、大きく分けて二つある。
一つはグローバリズムへの反発も含めた揺り戻しの中で、次第に顕在化しつつある「世界内戦」(笠井潔)への対応として、世界各国が国家権力の強化の方に大きく舵を切ってきている、ということ。
もう一つ、これは日本固有の事情になるが、3.11東日本大震災である。
丁度、関東大震災が「大正デモクラシー」を窒息させて行った様に、東日本大震災は空洞化しつつも続いていた戦後の民主主義的傾向の息の根を止めたのである。
別けても「原発事故」によって引き起こされた国民多数の漠とした不安の極大化を背景に、強いリーダーシップを求める潜在心理が働き、それに加えて、霞が関官僚の隠微かつ巧妙なサボタージュにより、民主党政権のモタモタ振りが際立ったことも、これに一層拍車を掛けることになったのであろう。
そして、国家権力の強化は、『民主主義の死に方』(レブツキー/ジブラット)指摘通り、先ずは官僚機構と情報メディアへの統制強化に向かうのである。
アベ一期目には無かったこれらの流れに乗って「長期政権」は続いてる訳だが、しかしながら、言うならば、これらは必要条件である。
では十分条件は何か? 権力の正統性(レジティマシー)である。
此れまでであれば、サル山(国会)とサル(国会議員)と見做して、自らの意のままに動かせると豪語していた霞が関官僚が、清和会、特にアベ政権になったら何故借りてきた猫の様におとなしく、縮まるのか? 民主党政権をあれ程愚弄した彼等官僚が、アベには下僕の如くなってしまうのは何故なのか?
これらはこの権力の正統性(レジティマシー)※といった視点を入れてみて初めて分かるのである。
※下記スレ参照
近代政治史とは<統治>官僚と<代表>政治家の対立史
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/103.html
官僚機構にとって、民主主義の制度上選挙によって選ばれた政権は受け入れざるを得ないが、その支配に服すかどうかは正統性があるかどうか?である。
戦後の歴代政権を自民党の二大潮流、<官僚派>と<党人派>に分けて見てみればいい。※
※なお<官僚派>と<党人派>については下記参照。
南部大統領と薩長政権 その4
http://www.asyura2.com/09/idletalk37/msg/190.html
南部大統領と薩長政権 その2
http://www.asyura2.com/09/idletalk37/msg/188.html
特捜部を中心に、検察は、日頃より<党人派>の有力政治家(首相になりそうな)の政治スキャンダルネタを集め、その対象の党人派政権が出来たら、タイミングを見計らって、国策メディアの「文春」や「新潮」にリークし、時には野党を使いながら、民心の離反を図るのである。 そこには、短命に終わらせる、言い方を変えれば長期政権にはしない(力を持たせない)という、霞が関の集合的無意識が働いているのが見て取れるのである。
長期政権は殆ど<官僚派>であり※、<党人派>政権は例外なく2年程度の短命政権なのはその結果、と考えるべきなのだ。
※唯一例外が中曽根政権だが、本人は元内務官僚で、内閣の要、官房長官に同じく元内務官僚・警察庁トップを置いて全省庁に睨みを利かす一方、「行革」を掲げ、その本当の狙いが「自社=55年体制」の解体であることを示し、それでも足らずと思ったのか、従来以上にアメリカを引き込んで、自らに足りない正統性を強化したのである。 独立後、アメリカの干渉、翻ってアメリカへの依存がこれ程強まった政権はないが、今日の”属国””隷従”状態にする引き金を引いたナカネネは、それだけで万死に値するものであり、コイズミやアベ同様、全面的に断罪されるべきであろう。
以上、”アベ一強”の背景を見て来たが、私が、殊更に「長州」或いは「薩長政権」を強調するのは更にもう一つ理由が在る。
アベ政権はここ何年も、歴代政権と比較相対して、「世論調査」で5割前後の、高位の支持を得て推移している。
無論、これはインチキ・マヤカシの類いの最たるものであり、そのどれも回収率(回答率)5割を切る中での5割、即ち実体は四分の一を切ったものである。
にしても、その中で相対的に支持が高い理由は、支持者の少なくない部分が、漠然と、アベ政権に、此れまでの政権とは異なるものを感じているから、だろう。
勿論、国民が感じてる此れまでの政権とは異なる何かがアベが志向するものと合致しているとは限らないが、「東京オリンピック」(20)から「大阪万博」(25)と、まさしく「高度成長期」を反復する様なマネをやるこの国の少なくない部分に、「夢よもう一度」の気分が忘れられない、というのもあるだろう。
そうして、この「夢よもう一度」の気分が強い国家を求める気分と結び付く時、アベが目指すものに限りなく接近して行くのである。
次スレで、それが何なのかを明らかにしたい。
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- アベは、右でも保守でもない、「明治」である 影の闇 2019/8/04 18:44:49
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