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非正規溢れる殺伐社会 ニュースにならない日産リストラ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/259261
2019/07/27 日刊ゲンダイ 文字起こし 日産自動車の西川広人社長(C)日刊ゲンダイ
ゴーン事件でいまだ大揺れの日産自動車の業績が凄まじい勢いで悪化し、世界の従業員の約10%にあたる1万2500人以上を削減する大規模リストラを敢行する。国内では福岡県と栃木県の工場で計880人の期間工を採用抑制で減らす計画だという。日産の2019年4〜6月期決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比98.5%減の16億円となる大幅減益。売上高は同12.7%減の2兆3724億円、純利益も同94.5%減の63億円と大きく落ち込んだ。生産能力も年720万台から660万台に引き下げるという。カルロス・ゴーン前会長を完全追放した西川広人社長兼CEOは「やや我々の想定を下回っていた」とし、ひたすら販売台数を積み上げるゴーンの拡大路線がアダになったと言わんばかりだった。 日本を代表する大企業が大量の従業員をバッサリ切り捨てようとしているにもかかわらず、大手マスコミの報道は低調だ。1面トップで報じたのは朝日新聞、毎日新聞、日経新聞だけ。テレビはちょぼちょぼ。ビッグスポンサーへの配慮なのか、忖度なのか。西川日産の大量首切りが大したニュースにもならないのは、巷にもっと悲惨な非正規が溢れているからなのか。 労働法制に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は言う。 「ゴーン事件で明らかになったように、そもそも日産は経営のあり方や業績にクエスチョンマークがつけられていた。当然の結果だろうという冷静な見方がある一方で、働き方改革によって雇用の不安定化に拍車が掛かり、社会全体の職を守る意識が薄まっている印象があります。終身雇用の慣行が崩れて非正規雇用は増加し、労働環境の劣化が広がっている。皮肉なことですが、正規雇用で働く労働者が少なくなっていることから、リストラに対する抵抗感が薄まっているのではないでしょうか」 諸悪の根源は夏休みをエンジョイ(C)共同通信社 過去最高水準に達した非正規雇用37.9% 安倍首相は参院選で「この6年間、私たちの経済政策によって、働く人、雇用は380万人も増えた」と雇用拡大を繰り返し強調していたが、実態はメチャクチャだ。 総務省の労働力調査(年平均ベース)によると、企業や団体などに雇われている雇用者のうち役員を除いた働き手は、第2次安倍政権発足後の2018年までの6年間で383万人増えたが、そのうち55%はパートやアルバイトなどの非正規雇用だ。総務省が5年ごとに公表している就業構造基本調査によると、非正規雇用の75%が年収200万円未満。安倍は「この国から非正規という言葉を一掃する」と何度も訴えてきたが、役員を除いた働き手に占める非正規雇用の割合は18年平均で37・9%となり、過去最高水準である。特に目立つのが、非正規雇用で働く高齢者の増加だ。労働力調査によると、この6年間に増えた働き手383万人のうち40%はパートやアルバイトを中心に非正規で働く65歳以上が占めている。労働者の3人に1人以上が不安定な雇用環境に身を置いているのが、紛れもない現実だ。 テレビは相も変わらず闇営業に端を発した吉本興業の騒動を朝から晩まで垂れ流している。吉本問題の核心が反社会的勢力とのつながりからお家騒動へと巧妙にすり替えられていく過程で、吉本のおぞましいブラック企業体質が浮き彫りになった。所属芸人とは契約書を一切交わさず、ギャラの配分は「1対9」だとか「2対8」とされる奴隷的搾取。仮に視聴者の関心がこうした不透明過ぎる労働環境にあるのだとしたら、他人事ではないと我が身を重ねて見入っているのかもしれない。 神奈川の知的障害者施設「やまゆり園」の入所者19人が殺害された事件発生から26日で3年が経った。殺人罪などで起訴された元職員の植松聖被告(29)は「申し訳なかったですが、仕方なかったと思います」「意思疎通ができない人は安楽死すべきです」といまだに主張し、重度障害者に対する差別的な考え方を変えていないという。世界を震撼させた京都アニメーションのガソリン放火殺人事件を引き起こした青葉真司容疑者(41)は、派遣契約の打ち切りなどで一時は住まいを失い、生活保護を受けて「仕事上で理不尽な扱いを受けるなどして、社会で暮らしていくことに嫌気が差した」と口にしていたという。近隣トラブルでは「うるせえ、殺すぞ」「こっちはもう余裕ねえんだからよ」とわめき散らしていたという。 元農水事務次官の熊沢英昭被告(76)が引きこもりの長男(44)を殺害する事件もあった。全国各地で逃亡犯が相次いでいるのも不気味である。 映画監督の井筒和幸氏は日刊ゲンダイの連載(27日付)で、こう書いていた。 〈親子や夫婦の殺人事件がまるで流行のように起きている。日頃の不平不満を舌打ちだけで済ますか、SNSにつぶやくだけが趣味になった若者や、非正規のままでコンビニだけがオアシスの人間や、引きこもり中年が何千万人もいる。バブルの崩壊も知らないロスト世代の代表みたいな男は「もう余裕ないんだ」と何百キロ先に出かけて行ってガソリン放火した。スマホでスカートの中を盗撮しないと今日が始まらないような顔の変態男もやたらに増えた〉 〈政治こそが余裕もカネもない格差を生んでるからだ。明日、どんな犯罪が起こるやら気が気でない〉 正社員は企業と一体化、連合は労働者を代弁せず このところ確実に増えている凶悪事件、逃亡犯による社会不安。これらは単なる偶然なのか、政治の責任ではないのか。 参院選で消費税廃止や奨学金チャラなどを訴え、重度障害者やシングルマザーの派遣労働者ら社会が抱える問題の当事者を擁立したれいわ新選組は大躍進。10〜40代男女を中心に支持を広げ、特定枠を活用して候補者2人を当選させた。一方、支持離れに歯止めがかからないのが連合だ。参院選比例区で立憲民主党と国民民主党から組織内候補を5人ずつ立てたが、国民民主の2人は落選した。神津里季生会長は「二度とこういう選挙はやりたくない」と愚痴ったが、求心力低下を「股裂き」に押し付けるのは認識が甘いんじゃないか。 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言う。 「国民民主党への評価で浮き彫りになったのは、連合が働く人たちの味方ではなく、労働者のための組織ではないと見ている有権者の意識です。かつて労働者の大半を占めていた正社員はどんどん少なくなり、一握りの存在になりつつある正社員は企業と一体化した存在だとみなされている」 切羽詰まった若者、引きこもりの中高年、長生きをことほがれず社会保障を食い散らかす邪魔者扱いの高齢者。社会の一定数を占める彼らにとって、大企業社員の「働き方改革」や「リストラ」は今や、雲の上の出来事なのだ。だから、連合は見向きもされず、労働者を代弁しない連合に振り回される既成野党はいつまでたってもダメなのだ。
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