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日本の情況は絶望的かもしれないが、絶望への安住は服従へつながる
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2019.07.22 櫻井ジャーナル
絶望は抵抗する気力を失わせ、服従につながる。国際情勢は勿論、自分の置かれた状況にも無関心で、刹那の快楽に走る。つまり支配者は被支配者を絶望させようとする。「どうせ無駄だよ」と思わせられれば、支配システムは安泰だ。 そうした意味で、2009年8月の総選挙は大きな節目だった。選挙で世の中を変えられるという希望を持っていた国民は小沢一郎の率いる民主党に投票、獲得した議席は総議席の3分の2に迫ったのである。ウォール街やシティの支配者に従い、その手先として日本支配に協力してきた日本人たちは動揺しただろう。 アメリカにはCIA、イギリスにはMI6という情報機関が存在する。CIAはウォール街、MI6はシティが作った組織だ。こうした情報機関は米英の巨大資本のカネ儲けシステムを築き、障害を排除する仕事をしてきた。当然、日本にもそのネットワークは張り巡らされている。アメリカが各国で行う情報活動の拠点は大使館だということも有名。日本とアメリカとの関係を考える際、在日アメリカ大使館を見ることも重要だ。 自衛隊、警察、検察、裁判所だけでなく、霞ヶ関の官僚機構は、おそらく、がんじがらめである。本ブログでは繰り返し書いてきたが、CIAはメディア支配にも力を入れてきた。ここ20年ほどは広告会社の存在感が強まっている。 それだけでなく、犯罪組織やテロ組織との親和性も強い。アメリカではユダヤ系やイタリア系のギャングと手を組み、中東ではサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を使い、ヨーロッパではネオ・ナチだ。 ムスリム同胞団はハッサン・アル・バンナによって1928年に創設された組織だとされているが、19世紀にイギリスの情報機関がその基礎は作ったと言われている。社会奉仕団体的なイメージを持つ人も少なくないが、その内部には暴力的な集団が存在、第2次世界大戦当時から暗殺を繰り返してきた。 1948年12月にもムスリム同胞団はエジプト首相を暗殺するが、その報復で49年2月にバンナが殺され、組織は解体。現在のムスリム同胞団は1950年代に入ってからCIAとMI6が復活させたもの。その指導者になったサイード・クトブはフリーメーソンのメンバーで、ジハードの生みの親と言われている。こうした歴史を考えると、CIAが日本で犯罪組織やカルト団体と手を組んでいても不思議ではない。 ところで、週刊現代の2006年6月3日号に「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事が掲載されている。この段階で小沢と鳩山を軸にした民主党が警戒されている。 そして総選挙の3カ月後には「市民団体」が小沢の政治資金管理団体である「陸山会」の2004年における土地購入で政治収支報告書に虚偽記載しているとして小沢の秘書3名を告発する。それを受け、翌年の1月に秘書は逮捕された。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発し、2月には秘書3人が起訴される。 これは事実上、冤罪だったのだが、この起訴で小沢の影響力は大幅に弱まった。それだけでなく、小沢と組んでいた鳩山由紀夫は2010年6月に総理大臣の座から降りざるをえなくなる。一種のクーデターだ。 鳩山を引き継いだ菅直人や野田佳彦は民主党に投票した人びとの期待に反する政策を打ち出す。ギリシャの首相になったアレクシス・チプラスと似ている。 菅直人政権時代の2010年9月、海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を日中漁業協定無視で取り締まる。当然、中国との関係は悪化した。その時、海上保安庁を指揮する立場にあった国土交通大臣は前原誠司だ。菅と前原は領土問題の棚上げ合意を壊し、日本と中国との関係悪化を図ったのである。前原はその翌月、衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と発言しているが、関係者の証言を聞いても、そういう事実はある。 菅直人は首相に就任した直後、消費税率の引き上げと法人税の軽減を打ち出すなど内政面でも有権者の希望を打ち砕いた。当然のことながら民主党の支持率が急落、そこで衆議院を解散して党は惨敗し、そこから安倍晋三政権が始まる。 安倍政権は日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込む政策を続けるだけでなく、国を破壊している。中曽根康弘、小泉純一郎の系譜だ。日本を食い物にしていると言われても仕方がないだろう。1990年代のロシアでボリス・エリツィンが果たした役割に近いことを行っている。 その状態をマスコミは伝えない。「毒饅頭の食べ過ぎ」で毒が全身に回っているという人もいる。絶望的な状態だ。 しかし、マスコミが急速に腐敗し始めたのは1980年代。同じ時期に官僚の腐敗も進んでいた。当時、東大法学部で警察官僚が一番人気だという話を聞いたこともある。 ジャーナリストの、むのたけじは1991年に開かれた「新聞・放送・出版・写真・広告の分野で働く800人の団体」が主催する講演会の冒頭で語ったように、その時点で「ジャーナリズムはとうにくたばった」(むのたけじ著『希望は絶望のど真ん中に』岩波新書、2011年)情況だったのである。そうした絶望的な情況を換えられず、30年近くになるわけだ。昨日今日に始まった話ではない。その中から希望を見いだすしかないのだ。 |
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