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「民主党政権の悪夢」の呪縛を解き放て 野党共通政策を具体的に掲げて与党に迫り、取り込ませる。そのリアリティが勝利の鍵だ (朝日新聞社 論座)
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/705.html
投稿者 肝話窮題 日時 2019 年 7 月 04 日 23:28:06: PfxDcIHABfKGo isyYYouHkeg
 

「民主党政権の悪夢」の呪縛を解き放て
野党共通政策を具体的に掲げて与党に迫り、取り込ませる。そのリアリティが勝利の鍵だ

保坂展人 東京都世田谷区長 ジャーナリスト
論座 2019年07月04日


■「自己責任」を繰り返したシンルグマザー

 あれは、17〜18年前のことでした。

 ある言葉をめぐって、夜遅くまで、平行線の議論をしていたことを思い出します。

 彼女はシングルマザーで子育ての最中、お子さんには障がいがありました。会話を重ねていくと 「自己責任なんです。私は社会に救済は求めません」「ここで頑張るかどうか、すべては自分の責任です」と繰り返しました。

 彼女は何度も「自己責任」を強調しました。

 「ひとりで生きられないから、社会保障があるんです。自力で頑張ることも大事ですが、社会的支援を受ける必要がある時もあるんです。何もかも『自己責任』にしてしまえば、政治や行政は何のためにあるんですか」と私は問いかけました。

 「そう考える人はその人の自由。私は、社会に期待しません。すべては、自己責任だと思います」と彼女は絶対に譲りませんでした。

 エンドレステープのように、「自己責任」を語り続ける彼女に対して、私は「社会的連帯」や「相互扶助」を説きましたが、かたくなに受け入れてもらえませんでした。

 「自己責任…か。どうして、この4文字に収斂してしまうんだろう」

 私は、固い岩盤のような彼女の価値観にはねかえされ、角度を変えながら対話を試みました。

 「痛みをともなう構造改革」を呼号する小泉純一郎首相が高い支持率を誇っていた頃の話です。現在のように「自己責任」という言葉が氾濫する前で、私はこの4文字をどうしも飲み込めずに異物感を覚えて、妙に耳に残り続けたことを覚えています。

■貧困層に広がる「自己責任」論とあきらめ

 そして、あの時の彼女のような考え方をする人たちは、増え続けました。

 当時は、国会で小泉首相と「日本社会に『格差と貧困』があるのかどうか」と議論していた時代でした。今や、日本社会に「貧困と格差」が拡大していったことは、誰もが認めるようになりました。

   「この貧困、自己責任だもの 格差認め自民支える若者たち」
   (2019年7月1日・朝日新聞デジタル)
    総務省の調査によると、2018年の非正規雇用は10年前と比べ350万
   人あまり増え、約2120万人となった。働き手に占める割合は約38%
   と過去最高の水準にある。背景には、バブル崩壊後の雇用情勢の悪
   化や自民党が進めた規制緩和などがある。
    格差の拡大や貧困を、政治の問題とは感じないのか、と尋ねた。
   「仕方がないって思う。自分がこうなったのは自分が考えた結果だ
   から」。返ってきたのは、そんな言葉だった。

 この記事には、「自己責任論を肯定するかどうか」という調査結果が紹介されています。

    早稲田大学の橋本健二教授(社会学)の分析によれば、「格差が広
   がってもかまわない」と考える人の割合は、この10年間で各所得層
   で増えた。しかも増加率は貧困層で最も高く、貧困層の4人に1人は、
   我が身にふりかかる不利益を受け入れている。そして、貧困層の4割
   は自己責任論を肯定する。

 政治に多くを期待しない、だがかろうじて維持している「現在の生活」が瓦解するようなら、現政権と自民党を支持するという声につながります。

 また、その傾向と結びついて、若年層や非正規労働で「格差と貧困」の渦中にある人々が、その原因を「社会のルール変更」である政府の政策に求めることなく、「自己責任」とあきらめて政権与党以外の選択肢を求めないという価値観が広がったことが、長期政権を支えています。

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党首討論会で発言する立憲民主党の枝野幸男代表=2019年7月3日、東京都千代田区

■希薄な「野党の存在感」

 乾いた諦念と現状追認のムードが広がったのは、安部晋三首相がいつまでも口にする「悪夢のような民主党政権」の記憶と、「それよりはまし」という大衆意識がいまだに強いからと言われていました。

 「民主党政権の失敗」「それよりはまし」という単純化されたイメージがここまで長続きしているのは、「野党の存在感」が希薄であったことと裏表の関係にあります。

 参議院選挙は4日に公示されました。17日間の選挙戦が始まります。

 この選挙を通して、野党党首が街頭演説やコメントで発する「言葉」によって、一見すると磐石に見える「現状追認」の壁を突き崩せるかどうか情勢は急転します。待たれているのは「怒りの言葉」であり、「現状を突き破ろう!」という魂を揺さぶるメッセージだと思います。

 有権者の日常的心情には、「怒りの表出」を阻害する「自己責任」のロックが複数かかっています。そもそも「政治」と「自分の生活」は無関係だとさえ感じている人も多数です。

 「ちょっと待てよ。投票で世の中って変わるかもしれないな」と一陣の風が錆びついてしまったロックを外すためには、遠くから聞こえてくる「国民の皆様」的な一昔前の「政治家言語」は無力です。

■与党に政策を取り込ませて実現する

 野党であれば、政権批判は当然のことです。

 ただし「100」「0」で政策の正当性を争うような単純化は避けるべきだと思います。与党は長期政権維持のため、「貧困と格差」の問題も含め、政策の微修正を続けているからです。

 「評価するべきところはよしとして、足らざるところを指摘して変更させる」。これが政治のリアリズムです。

 3年前の参議院選挙を前に、私は次のように書きました。

   『野党の「共通政策」で政治は変わる』(ハフポスト・2016年4月16日)
    一般的には野党共闘に「共通政策」を期待しても無駄ではないか、
   与党が圧倒的多数の国会では、とくに議席の3分の2を与党が抑え
   ている衆議院の解散がなければ参議院で与野党比がかわったところ
   で大きな変化はない、「野党の共通政策が実現する可能性はゼロ」と
   考えている人が多いのではないでしょうか。
    結論から言えば、野党が「共通政策」で結束した時には、政府・
   与党の国政運営に多くの影響を与えるのです。その前兆が、「保育
   園落ちた」の波紋が広がった保育園待機児童問題の展開や、「給付
   型奨学金」創設への動きです。参議院選挙直前というこの時期に、
   党としてはなるべく対立軸を鮮明にさせない「抱きつき」(クリン
   チ)で争点化をさせまいという意図も見えます。

 これまでに、野党が政策要求することで、世論に火がつく前に、政府・与党がこれを取り込んで実現するということは、何度もありました。

 参議院選挙は政権選択選挙ではありませんが、野党が共通政策を練り合わせた結果、実現していくプロセスが見えてくれば、野党の存在意義は十分に示せるのではないでしょうか。

 もちろん「獲得議席」は重要です。ただ、「与党100」「野党0」という価値軸と、批判勢力は文句を言うだけで何ひとつ実現しないという刷り込みこそ、野党の議席増を抑え込んできたものの正体だと見抜くべきです。

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党首討論会で発言する自民党の安倍晋三総裁=2019年7月3日、東京都千代田区

■党派を超え一致する工夫

 ここでは一例をあげます。

 参議院選挙が終わると、10月に消費税増税と共に、幼児教育・保育の無償化が実施される予定です。「少子化対策」や「子ども・子育て支援」は政府・与党にとっても重点化している政策のはずです。

 私は、2017年9月の特別区区長会で、国民健康保険料について次のように発言しました。

    現在、少子化問題は選挙でも各党共通の関心事だと思うが、国民健
   康保険料の均等割額が、事実上の「人頭税」となっていることを問題
   にしたい。たとえば、子どもひとりあたり49500円だが、2人いれば
   99000円、3人なら148000円とはねあがっていく。子どもの数が多け
   れば多いほど多額の保険料を徴収する仕組みは少子化対策と逆行して
   いて、変更するべきだ。

 「子どもの数が多くなるほどに、減免されるのではなく、人数分はねあがる算出方式を変更せよ」という私の問題提起は、23区の区長でつくる特別区区長会でたびたび議論となりました。そして、統一要望事項に入れようということになり、2018年8月には特別区区長会から国に対しての「平成31年度国の施策及び予算に関する要望書」となって提出されました。

 「多子世帯への支援など、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、子どもに係る均等割保険料の軽減措置を始めとした制度の見直しをすること」と、多子世帯に対しての国民健康保険料の均等割額の軽減を明確に求めています。

 自治体の現場を預かる首長の立場から見ても、明らかな矛盾だと指摘している「均等割額×子どもの数」という人頭税方式が深刻な少子化を迎えている今日、正当化できる論理はどこにもないはずです。

 特別区の区長も、国政与党に近い立場の保守系無所属が多く、野党系出身の首長はそう多くはありません。ただ、これはおかしいよねという点で一致したという具体例です。

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党首討論会で、意見を述べる各党の出席者=2019年7月3日午後、東京都千代田区

■野党は「社会的連帯」の社会政策を示せ

 「抜本改革」の手前の改善、修正に狙いを定めて政策焦点化する、国政選挙ならではの大きな論戦の中で、選挙結果にかかわらず実現がはかられていく――野党側にこうしたリアリズムが宿り、着々と仕事が進められるという存在感が出てくれば、長期政権を支えてきた「民主党政権の悪夢」という「封印」はポーンと外れるはずです。

 7月21日には参議院選挙の投票が行われます。私たちの生活が「よりまし」となるための提案と論戦こそ、待たれているのではないでしょうか。

 今回の参議院選挙では、全国の1人区で「野党統一候補」が立ちました。与党側は「政治の安定」という名の現状維持で議席を確保しようとしていますが、野党各党を代表する統一候補がこの間の長期政権を支えてきた「自己責任」の呪縛を解き放ち、「社会的連帯」「相互扶助」の社会政策を具体的に示して、「格差と貧困」の連鎖を断ち切る道筋を描くだけで、選挙後の政治を大きく塗り替える可能性があります。

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019070300006.html  

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コメント
1. 2019年7月05日 01:24:49 : LY52bYZiZQ : aXZHNXJYTVV4YVE=[1755] 報告
2019参院選 比例7候補の訴え
.
日本共産党
2019/07/04 に公開
2019.7.4 小池晃、山下よしき、梅村さえこ、しいばかずゆき、紙智子、井上さとし、仁比そうへい候補の訴え
※この動画は、政見放送(比例代表選挙)のリハーサルを収録したものです。
https://www.youtube.com/watch?v=V4liXr1ixt4
2. 人間になりたい[1107] kGyK1ILJgsiC6IK9gqI 2019年7月05日 02:14:25 : Igew9LiSCV : SVFzcHhMUWdwdG8=[157] 報告

>「自己責任…か。どうして、この4文字に収斂してしまうんだろう」
>貧困層に広がる「自己責任」論とあきらめ

「自己責任」論と貧困はなんの関係もない。
むしろ「自己責任」をいうのは、貧困とはいえないような人たちにも多く見られる傾向だ。
「自己責任」論とは精神構造の問題で、人間に成長できなかったバカの思考形態に過ぎない。
愛される環境になかった場合、愛を身に付ることができず人を愛することができない。
そのような人は自分が人のためになるようなことをやる気などないので、
人が私のために何かをやってくれることなどありえないと考える。
「自己責任」論とは、人のために何かをすることはないという愛のない人の考え方である。
これは人間という生き方や人間社会を否定する考え方であり、自公、安倍政権の考え方でもある。
「自己責任」がさかんにいわれたのは、イラクで三人の日本人が拉致されたときだ。
当時の冬柴公明党幹事長がさかんに「自己責任」論を振りかざしていたが、
これが公明党、創価学会の現在の正体である。
公明党を批判する、れいわ新選組から創価学会員の野原善正が立候補したが、
自灯と法灯に帰依する真の仏教徒として、
愛を社会的行動規範の根底として受入れた人間としての当然の行動だろう。

>与党側は「政治の安定」という名の現状維持で議席を確保しようとしていますが、

安倍政権はゴロツキ勢力なので、どんな汚い手でも使うが、
またそれに簡単に引っかかる国民にも問題がある。
「安定」という言葉に、良いも悪いもない。
国家私物化、私利私欲の安倍政権に「安定」されたらたまったものではない。
よいか悪いかの判断基準は人間である。
人間的な政権が「安定」してはじめて良いものになる。
 
 

3. 2019年7月05日 12:13:59 : vnUxfbHXEY : eU9GNkMwZXpEdDI=[309] 報告
自己責任論は貧乏人に対してその貧乏は自分のせいだと思い込ませるための理屈。

しかし本当は、その貧乏人も含めて強者の論理に洗脳するための理屈。

4. 2019年7月05日 20:22:11 : D0QUl32qUN : OWczZmhIbUhDL3c=[985] 報告
無責任 自己責任の 上に立ち

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