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山本太郎から自民党を支持してきた皆様へ
法人税を減税し、消費税を増税するのはおかしくないですか? 私は野党の一員です!
山本太郎 参議院議員 れいわ新選組代表
論座 2019年06月30日
■安倍政権は経団連中心主義
私・山本太郎は、この度、「れいわ新選組」という政党を立ち上げました。6年間、参議院議員を務め、様々な政治課題に取り組んできました。その過程で、多くの国民の経済的苦境に直面し、経済政策の重要性に気づきました。
なぜ、新党を立ちあげたのか?
それはどうしても国民の皆さんに訴えたいことがあるからです。
特に、自民党を支持してきた皆さんに率直に聞きたいことがあります。農業・漁業などの第一次産業の方々、中小企業の方々、商店主の方々、日本の基盤を支えてきた全国の皆さんに、どうしても聞いたい。
生活、苦しくないですか? 安倍政権になって、生活がよくなりましたか? むしろ苦境に陥っていませんか? 心まで削って生きていませんか?
厚労省の国民生活基礎調査のデータによると、国民の56.5%が「生活が苦しい」と言っています。母子世帯では82.7%もの人が「生活が苦しい」と言っている。
この悲痛な叫びを無視していいのですか?
今の自民党は、かつての自民党ではありません。例えば1970年代に首相になった田中角栄さんは「列島改造論」を唱え、公共工事を積極的に行いました。福祉にも力を入れ、再配分を強化しました。
しかし、右肩上がりの成長の時期が終わると、自民党はどんどん「小さな政府」の方向に舵を切り、自己責任を強いるようになりました。
貧困、格差の拡大、地方切り捨て。約束してきた年金も十分には支給できず、2000万円という巨額の貯蓄をしろと迫ります。
近年の自民党は、これまで日本の国土や暮らしを支えてきた人たちを切り捨ててきました。経済政策は、いつも大企業の幹部に有利なものばかり。経営者ばかりが裕福になり、庶民の実質賃金はあがりません。
その総仕上げが安倍政権です。
アベノミクスは金持ちばかりが得をし、貧しい人たちが損をする政策のオンパレードです。これは圧倒的な不公正です。さらに一部の「友達」の利益のために、ルールを曲げ、証拠を隠蔽し、記録を改ざんしている。
一体、何なのですか。
大企業優遇の法人税減税。逆進性の強い消費税の増税。年金資金を使った株価のつり上げ。
私は訴えたい。このまま自民党を支持していていいのですか? 別の選択肢にむけて一緒にチャレンジしてみませんか?
私は何としても日本を守りたい。それはあなたを守ることから始まります。
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れいわ新選組のポスター(れいわ新選組のホームページより)
■法人税を減税し、消費税を増税するのはおかしくないですか?
長く続くデフレ下で、多くの中小企業の皆さんや商店主の皆さんが苦しんでいる姿を、私は何度も見てきました。地方に行くと、駅前はどこもシャッター通り。膝を交えて話を聞くと、どれだけ多くの人たちが苦しみ、精神まで蝕まれているのかがわかりました。
お金がないって、どれほど辛いことなのか。人生の大切なものを失い、傷つき、ささやかな夢までも捨てなければならない。お金がないことが発端となって、自殺に追い込まれる人もいる。日本はもはや、「豊かな総中流社会」なんかではありません。
こんな経済状態で消費税が上がると、生きていけますか?
安倍内閣は2014年に消費税を5%から8%に引き上げました。消費税増税で得た税収はどう使われてきたか。8兆円ほどあった税収のうち、社会保障の充実に使われたのはわずか16%です。安倍さんは「増税分の4/5は借金返しに充てた」と国会で答えています。結局、消費税を上げても、苦境に立たされている国民のもとには配分されません。
消費税は1989年の竹下内閣の時に導入されました。それから30年。消費税が上がる一方で、他の税金が減っています。何が減ったか。「所得税」と「法人税」です。
計算すると消費税収のうち73%が法人税減少分に割り当てられています。法人税はどんどん減税され、またデフレ下の消費の落ち込みによって減収も重なっています。
税金は、お金を多く持っている人が多く払う。これが原則のはずです。消費税はお金持ちほど負担が少なく、貧しい人ほど負担が重くなる税金の仕組みです。
中間層が減少し、貧困世帯が急増する中、消費税を上げるのはおかしくないですか? 真逆の政策ではないですか? 景気をさらに悪くして、どうするんですか?
年収に占める消費税の負担割合を調べたデータがあります。消費税が5%になった1997年では、200万円未満の低年収層は「5.50%」であるのに対して、1500万円以上の高年収層では「1.10%」になります。これが8%の2015年になるとどうなるか。前者が「7.20%」であるのに対して、後者は「1.60%」になります。もしこれが10%になると、前者は「8.90%」になり、後者は「2.20%」になります。
消費税は、低年収層の生活を直撃するのです。貧困層の負担が、圧倒的に重い。
そんな政策、どう考えてもおかしい。景気よくするんだったら、消費に負担のかかるようなことをしてはいけない、経済政策のイロハのイ、です。
消費税は上げるのではなく、下げなければいけません。
どうしても増税が必要ならば、まずは、持っている人から取る。法人税にも累進性を導入する。儲けが多くなったときには、税率が高まり、そうでないときには負担が減る、そのような仕組みを導入する必要があります。
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街頭に立つ山本太郎氏。軽快な演説に聴衆が集まってくる=6月19日、新宿駅西口
■とにかく景気をよくしなければならない
日本は、需要が20年以上衰退してきた国です。要はデフレが継続しているのです。こんな国は、世界の中でも日本ぐらいしかありません。
これをやってきたのは誰か? その大半は自民党政権です。
みんな大切なものを奪われ続けている。心までも奪われてしまっている。自信を取り戻すためには、まずは足元の経済を安定させなければなりません。
日本のGDPの55%〜60%は個人消費です。日本の経済をよくするためには、消費を活性化させなければいけません。みんなが、いつもよりもちょっと多く消費しようかなと思わないといけない。とにかく景気をよくしなければならない。
そんな時に消費税を上げてどうするんですか。みんな消費しなくなるに決まってるじゃないですか。
民間の投資も減ってきています。当然ですよね。この先が不安だから。
政府は経済政策を間違え続けています。景気を浮揚させるためには、財政出動をしなければならない。特に成長産業に投資をしていかなければならない。その中心は介護、保育、教育、公的住宅などでしょう。
一番足りていない部分に大胆にお金を回し、活性化を促す。
そして、消費税を減税していく。
企業を経営する側としては、これからものを買う人が増えるなと予測がつくので、それに備えて準備しよう、投資しようということになる。そうするとお金が回る。賃金が上がる。そんな好循環を作っていく必要があります。
「本物の好景気を見せてやる」という強い意気込みで経済政策に取り組むことが重要です。
■最低賃金、低すぎませんか?
れいわ新選組では、「最低賃金1500円を全国一律、政府補償で実現する」ことを掲げています。
そんなことが出来るのかと言われますが、よく考えてください。政府は最低賃金1000円にしますと言ってドヤ顔していますが、それって明らかにワーキングプア、年収100万円台です。政策的に何としても是正しなければいけないんです。これは政治の仕事です。
いま大企業は過去最高の収益を上げていると言われています。それなのに国民の賃金は上がらない。むしろどんどん賃金は下げられてきました。雇用の非正規化によって。今や約4割は、不安定な非正規労働です。
政府と財界は、いかに人間を安く使うかばかりを追及してきました。人間の価値を貶め続けてきたんです。
最低賃金1500円にしても、月収は24万円。あなたには、それに満たない価値しかないんですか。バカにされていませんか。あまりにも過小評価されていませんか。
最低賃金を上げると、中小企業などで経営が厳しいところが出てくると思います。そういうところには、政府がしっかりと補助をする。政府がちゃんと埋め合わせをする。政治によって、確実に賃金が上がる。
私は、全国一律最低賃金を訴えています。人は各地に分散しなきゃいけない。東京一極集中では、この国は持たない。例えば首都圏直下地震などの大災害がきた場合、バックアップできる地方都市が多くないとダメなんです。
だから地方の賃金も上げる。全国的に最低賃金は低すぎます。
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れいわ新選組 東京四谷事務所(れいわ新選組のホームページより)
■必要な公共工事は大切!
私は、公共事業はいけないというのは間違いだと思っています。
公共事業ばかりにお金を使うなと言われていますが、どこか刷り込まれて、洗脳されてしまっているように思います。公共事業は雇用の面でも、災害時のインフラという面でも大切な存在です。そう簡単にどんどん減らしていいものではありません。
日本は1990年代後半から小泉政権にかけて、公共事業をぐっと減らしました。公共事業より大きな枠組み「公共投資」でみると、橋本内閣から小泉内閣までの約10年間に予算は半減しています。
その結果、急に仕事がなくなった地方の土木関係者は、非常に苦しい状況に追い込まれました。大手建設会社の下請け・孫請けの仕事では、足元を見られて、買いたたかれています。そして、現場の労働者・作業員の賃金が下げられる。危険な仕事も、安い賃金で引き受けることを強いられています。
原発の事故処理における、労働者の惨状を聞いてきました。被曝のリスクを背負わされるのは、結局、経済的に弱い立場に立たされた人たちです。命を削らされているんです。
公共工事は重要です。問題は質です。
必要なインフラ整備は着実に進める。教育や医療など、いくらでも必要なものはあります。水道、鉄道などの公共性の高いものは国が主導し、積極的に支出すべきです。デフレ経済下では、財政出動をしっかりと行い、未来に投資しながら、お金を回していく。
公共工事=悪ではありません。
■奨学金の返済で苦しんでいませんか?
日本という国は教育に対してもお金を使っていません。その結果、負担が家計に押し寄せています。
今、約555万人もの人が、奨学金の借金を背負っています。大学を卒業して、社会に出た瞬間、概ね300万円以上の借金を背負って新生活がスタートする。貯蓄どころではありません。20代の貯蓄ゼロ世帯は60%を超えています。
こんな状態で、しかも少子高齢化で、若い世代が定年退職した世代を支えることができますか? ムリです。
奨学金という借金について、「国がやっている武富士じゃないか」と国会で発言したところ、議事録から削除するように言われました。おかしなことです。本当のことなのに。
結局、奨学金返済問題は、利息を金融機関が儲けていることに行きつきます。いつのまにか奨学金が金融商品にされているんです。こんな状況を作り出していった小泉政権を含む自民党政権の責任は重い。
自分の子どもが「大学に行って勉強したい」という夢を持った時、かなえてあげたいと思うのが親心じゃないですか。
けれども、地方から東京の大学に行くと、生活費だけで膨大な金額がかかります。住宅費が高すぎる。アルバイトをしたって、最低賃金が安すぎる。授業料も高い。
そんな状況を見ると、今の家計では到底、十分な仕送りをしてあげられない。「夢を諦めてくれ」と言わなければならない。
これって、おかしくないですか? 自民党は何をやっているんですか? 自民党に任せていていいんですか?
若い世代から希望を奪っていたら、この国の先にあるのは地獄です。少子高齢化に対応できるわけがない。30代から50代でも貯蓄ゼロ世帯は4割を超えます。
もう猶予はありません。大きく政策を切り替える時期が来ています。
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参院本会議で代表質問に立つ山本太郎氏=2019年2月1日
■公務員を増やす
日本は公務員が多すぎると思われています。繰り返し、公務員を減らせという主張が聞かれます。そんな主張を看板に掲げている政党もあります。
しかし、冷静に数字を見てください。人口1万人あたりの公務員数を世界の水準でみると、日本は圧倒的に少ないんです。統計調査によると、イギリスの3分の1、アメリカの半分です。
だから、現場では何が起きているのか。非正規雇用の比率が増えているんです。要は、官制ワーキングプアが拡大しているんです。
このような状況は、災害に弱い行政を増やしていきます。災害が起きた時、しっかりと対応できる職員がいないと、復旧・復興はどんどん遅れます。これは私たちの命にかかわる問題です。
安定した正規の公務員数を増やすことは経済政策です。介護・保育も同じです。給与をアップし、安定した職業にしていく。ニーズがある所にお金をしっかりつけていく。公務員は地方の雇用の重要な受け皿です。
公務員は恵まれているとバッシングが起きますが、これはどう考えてもおかしい。正規の公務員並みの給料を、みんながもらえていないことがおかしいんです。
■農業を守る
日本はいま、食料自給率が40パーセントを切っています。食糧安全保障は国を守る上で最重要事項のはずです。農業をしっかり守り、自給率を確保しなければ、国を守ることのなんてできません。
防衛費に多額の予算を求め、中国や北朝鮮に高圧的な言動をとる自民党の政治家が、同じような力強さで食料安全保障を語っている姿を、私は見たことがありません。本気でこの国の安全保障や防衛を考えるのだったら、農業を守らなければならない。農家の皆さんを不安にさせない政策をとらなければならない。
あまりに低くすぎる食料自給率を是正し、100%目指して大改革する必要があります。第1次産業に就けば安定した生活が送れるよう、政府が戸別に所得補償する必要があります。
TPP反対と言っていたはずの自民党は、選挙の時の約束を反故にして、TPP推進に力を注いでいました。
そんな自民党を信用していいんですか? 農家のみなさん、おかしくないですか? 自民党を支持していていいんですか?
先日、トランプ大統領が来日しました。そして、安倍首相と貿易協定交渉を行い、農畜産品の扱いをめぐって何か取り決めをしました。交渉の内容については、参議院選挙のあと、公表するそうです。
なぜすぐに公表できないんですか? 選挙が終わってからの公表ということは、選挙に支障が生じるという認識なんですよね?
自民党を支持してきた農家の皆さんにお聞きしたい。このままでいいんですか? 自民党に票を入れることで、自分の首、絞めていませんか?
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街頭で訴える山本太郎氏。演説は聴衆の質問に答える形で進む=2019年5月29日、東京・北千住駅
■野党共闘に参加する
私を含めた野党陣営にも問題がなかったわけではありません。国民の選択肢になれるような経済政策も打ち出せていなかったと考えます。
私は、もちろん野党共闘に賛成です。
参議院選挙の本質は、安倍内閣vs野党です。私は野党の一員で、全力で安倍内閣に対抗します。一人区では、当然、野党候補を応援します。いっしょに戦います。
私は野党のお尻を叩きたいんです。枝野さんにも、玉木さんにも、志位さんにも、頑張ってもらいたい。一緒に戦いたい。国民に自公政権以外の選択肢を作りたい。野党が協力して政権交代を成し遂げたい。思いは同じです。
そのためには、野党は今よりも、もっと戦闘的にならなければならない。本気で安倍内閣と対峙しなければならない。与党側に「ぬるい」と思われているような野党では駄目なんです。
怪我をしても、障害を抱えていても、難病を患っても、将来に不安を抱かずに生活できる社会をつくる。あなたの幸せを守る。
あなたを守るとは、 あなたが明日の生活を心配せず、人間の尊厳を失わず、胸を張って人生を歩めるよう全力を尽くす政治の上に成り立ちます。
あなたに降りかかる不条理に対して、全力でその最前に立つ。何度でもやり直せる社会を構築するために。弱くある自由を保障する。
20年のデフレで困窮する人々、ロスジェネを含む人々の生活を根底から底上げします。中卒、高卒、非正規や無職、障害や難病を抱えていても、将来に不安を抱えることなく暮らせる社会を作る。弱くある人々に手をさしのべ、自分の弱さを見つめる。
そのような社会を実現するために、山本太郎は、れいわ新選組の候補者と共に、そして野党の皆さんと共に、全力で戦います。
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019062700001.html
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