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まだ残存する消費税増税延期・衆参ダブル選可能性
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2019年6月24日 植草一秀の『知られざる真実』
野党が安倍内閣不信任決議案を衆院に提出する見通しになった。 安倍内閣は内閣不信任決議案の提出は衆院解散の大義になるとの見解を示してきた。 そもそも、内閣に衆院の解散権はないと考えられる。 日本国憲法は、第69条で次のように定めている。 〔不信任決議と解散又は総辞職〕 第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。 衆議院の解散については第7条に次の条文も置かれている。 〔天皇の国事行為〕 第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。 三 衆議院を解散すること。 衆院解散については第69条に要件が定められており、この規定によらず衆院を解散することについては違憲であるとの強い疑義が存在する。 衆議院議員の任期は4年であり、内閣不信任決議案が可決された場合以外は、この任期をまっとうするべきである。 内閣が自己の都合、自己の利益のために衆議院議員の任期を勝手に短縮することに正当性はない。 しかし、安倍内閣は2014年12月、2017年10月に衆院任期を残しながら解散総選挙を行っている。 このうち、2014年12月総選挙に際しては、消費税増税を延期することを表明して、これを選挙対策に活用した。 2016年7月の参院選に際しても消費税増税延期を打ち出し、これを選挙対策に活用した。 政治を私物化していると言わざるを得ない。 この夏に参院選が実施される。 現状では、本年10月に消費税増税を実施する方針を掲げて、参院選を単独実施する方針であると伝えられている。 しかし、日本経済は昨年10月以降、新たな景気後退局面に移行している可能性が高く、この局面での消費税増税は不況を一気に加速させる結果をもたらすと考えられる。 6月28−29日には大阪でG20首脳会議が開催される。 日本は初めて議長国の責を担う。 米中貿易戦争が激化しており、世界経済の下方リスクが強く意識されている。 このなかで、議長国の日本が消費税増税に突き進むことを表明するのは、正当でない。 内閣が自己の都合、自己の利益のために衆院を解散することは正当な行為でないが、安倍内閣にはこうした正論が通用しない。 すべてを自己の利益のために活用する内閣であるから、今回についても解散権が濫用される可能性は残る。 野党が内閣不信任決議案を提出した場合に、これを利用して衆院解散に踏み切り、衆参ダブル選を行う可能性はまだ否定し切れない。 その場合には、消費税増税延期が表明されることになるだろう。 日本の主権者は、その可能性をも念頭に置いて対応する必要がある。 何よりも大事なことは、主権者が全員、参政権を行使することだ。 日本国憲法は国民主権を定めているが、前文に明記されているように、 「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」 することとされており、その代表者を選ぶ権利が参政権なのである。 参政権を放棄してしまうと、国民主権の政治が実現しない。 主権者全員が必ず選挙に行くことが必要である。 現在の政治状況では、参政権が約5割にとどまっている。 選挙に行く主権者の半分弱、主権者全体の25%が自公に投票している。 反自公に投票している主権者は自公に投票する主権者よりも多い。 しかし、選挙制度の特性によって、自公が衆参両院の3分の2議席を占有する状況が続いている。 これが、 『25%の人が政治を私物化する国』 詩想社新書 https://amzn.to/2WUhbEK なのである。 主権者が全員選挙に行くと、たちどころに日本の政治状況が一変する。 2019政治決戦に際して、何よりも重要なことは、すべての主権者が参政権を無駄にしないことである。 |
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