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「何も言うてへん」「何を!」弁護士と検事が見えを切った 籠池夫妻 法廷闘争記
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/256011
2019/06/14 日刊ゲンダイ 大阪地裁を出る籠池氏と夫人(左後ろ)/(撮影・相澤冬樹) コワモテの堀木博司検事が被告席の籠池諄子夫人を向いて声を上げた。 「発言しています!」 法廷で不規則発言をしているという指摘だ。 夫人の主任、浦功弁護士が語気も荒く、「何も言うてへん!」。堀木検事が腰を浮かせ「何を!」――互いに見えを切った。まさに法廷の籠池劇場だ。 12日の証人は森友学園の小学校建設を受注した建設会社の当時の営業担当者。三輪能尚検事の尋問で次のように証言した。 ●籠池夫妻と各担当者が会議を開いた際、設計会社側が、補助金の申請のため、テンプラ(架空)の見積もりを作らねばならないという話をした。 ●諄子夫人は「これにならへん?」と言って両手を近づけ、手錠をかけられ逮捕されるようなジェスチャーをした。犯罪の認識があるんだなと思った。 ●こうした森友学園への営業活動に精神的苦痛を感じて退職した。 ところが夫人側の藤原航弁護士が質問に立つと証人は……。 ●退職は会社の待遇や社長との関係への不満もあった。 ●補助金が設計会社の説明より少ないと知って理事長夫妻が経営者に怒ると、経営者も机を叩いて副園長に噛みついた。 ここで諄子夫人が納得したように相づちを打つと、三輪検事が「被告がうなずいています! 証人の証言に影響します」。 裁判長がやんわりと「あまりリアクションを取らないようにしてください」。 ■建設会社営業担当者の証言に矛盾 水増しの経緯について新たな証言も出た。架空の契約書を作ることは設計会社が建設会社に依頼し、籠池夫妻はその時、関わっていない。 その後、設計会社側が「我々が勝手にやったというリスクを負わされる」と主張。夫妻に説明しておく必要があるとなり、会議での「テンプラ」発言になったという。 もうひとつ興味深いこともわかった。検察の取り調べ期間について藤原弁護士が尋ねると、証人はおととし4月から10月ごろと説明。ところが補助金のことは2〜3カ月で終わったというので、計算が合わないと追及すると、堀木検事が少し慌てた様子で立ち上がり、「質問は補助金のことだけに……」。 証人は実は補助金の取り調べが終わった後、国有地値引きの理由とされたごみの問題について、10月ごろまで聞かれていたと証言した。特捜が財務省の背任捜査に、この時点では力を入れていたことを物語る。森友事件の闇は深い。 相澤冬樹 大阪日々新聞・元NHK記者 大阪日日新聞(新日本海新聞社)論説委員・記者。1962年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。東京社会部、大阪府警キャップ・ニュースデスクなどを経て現職。著書『安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』(文藝春秋)がベストセラーとなった。
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