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自民公約パンフは「日本の明日を切り刻む」の誤記?
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2019年6月 9日 植草一秀の『知られざる真実』
自民党が参院選に向けての公約を発表した。 公約資料の表紙には 「日本の明日を切り拓く」 とあるが、内容を見る限り 「日本の明日を切り刻む」 が妥当であると判断される。 自民党の国対が通常国会の会期を延長しない方針を固めたと伝えられている。 そうなると、国政選挙の日程は7月21日ということになる。 通常国会会期末に衆院を解散すれば衆参ダブル選となり、衆院が解散されなければ参院選単独実施になる 参院選単独実施の場合は、10月の消費税率10%への引き上げを強行する方針が維持される可能性が高い。 この場合、参院選の最大争点は消費税増税の是非ということになる。 非常に分かりやすい選挙になる。 消費税増税にはまったく正当な根拠がない。 庶民を叩きのめして、大資本だけに甘い汁を吸わせる方針が明確になる。 日本の主権者は、消費税増税の是非を問う選挙で、消費税増税阻止の意思を鮮明に示すべきである。 野党にもいろいろあり、野党を信用できないと思う主権者が多いが、本年10月の消費税率10%への引き上げについては、一致して反対の意思が示されている。 わざわざ自民党の政調会長に消費税増税の実施を要請する連合のような組織が支持母体になっている政党が存在することが重大な問題であるが、野党共闘陣営では消費税増税阻止が共通公約に掲げられている。 したがって、参院選においては、 消費税増税の是非 を最重要争点に位置付けることが必要だ。 主権者は消費税増税阻止の意思を明示するべきだ。 消費税増税を行うべきでない理由を三つ挙げておく。 第一は、日本経済が深刻な不況に転落する可能性が極めて高いこと。 安倍内閣は消費税対策を講じるとアピールするが、消費税増税の規模は年度ベースで5.5兆円を超える。 今後の10年間で考えれば55兆円増税である。 安倍内閣が提示している消費税増税対策は2兆円規模である。 55兆円の増税に2兆円の増税対策を講じて、どれだけの意味があるのか。 これを「焼け石に水」という。 日本経済は昨年10月から、新たな景気後退局面に移行していると見られる。 4月の景気動向指数が発表されたが、景気の基調判断の「悪化」が維持された。 消費税増税を強行すれば、日本経済が深刻な不況に突入することは確実である。 第二の問題は、消費税増税が日本の格差問題をさらに深刻化させることだ。 所得税は格差を是正するメカニズムを内包している。 所得の少ない個人は納税を免除される。 他方、所得の多い個人は所得税納税義務を負うが、税負担率は所得が増えるに連れて上昇する仕組みが取られている。 この所得税制度が所得分配の格差を是正する機能を有している。 1989年の消費税導入以降の税収推移を見ると、消費税増税で得られた財源によって法人税と所得税の大減税が強行されてきたことが分かる。 消費税は所得がゼロの個人からも税金をむしり取る制度である。 所得がゼロの子どもやお年寄りに対する税率と、所得が100億円の個人に対する税率がまったく同じである。 所得の少ない階層には過酷で、富裕層には極めて緩い税制なのだ。 法人企業の内部留保は2017年末に466兆円に達している。 法人企業の利益は2012年から2018年までに倍増した。 労働者を踏み潰した結果として企業利益が倍増したのだが、その法人に対して大減税が強行され続けてきた。 第三の問題は、消費税増税を価格に転嫁できない中小零細企業が、消費者が負担するはずの消費税を肩代わり負担させられて、廃業・倒産に追い込まれていることだ。 消費税増税強行方針が維持されて参院選に突入する場合、日本の主権者は消費税増税阻止に向けて、怒りの一票を必ず投じるべきだ。 この行動が取られるなら、安倍内閣は選挙に負けて、必ず総辞職に追い込まれることになるだろう。 |
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