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不正入試発覚で女子校が大躍進! 激変した2019年医学部入試/msnニュース
2019/06/07 08:00
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e4%b8%8d%e6%ad%a3%e5%85%a5%e8%a9%a6%e7%99%ba%e8%a6%9a%e3%81%a7%e5%a5%b3%e5%ad%90%e6%a0%a1%e3%81%8c%e5%a4%a7%e8%ba%8d%e9%80%b2%ef%bc%81-%e6%bf%80%e5%a4%89%e3%81%97%e3%81%9f2019%e5%b9%b4%e5%8c%bb%e5%ad%a6%e9%83%a8%e5%85%a5%e8%a9%a6/ar-AACvkcP?ocid=iehp
医師になれる医学部医学科は、大学入試の中でも難易度が高い。合格者のランキングでは全国の有名進学校が並ぶ。前年に不正入試が発覚したことで、2019年は女性の合格者が急増し女子校が躍進するなど、これまでと大きく変わった。都心の私立の人気が高まる一方で、地方では入学辞退が相次ぐところもある。いま医学部入試で何が起こっているのか。
* * *
「三つの医学部に合格することができました」
こう笑顔をこぼすのは都内に住む宗田美友さん(20)。アレルギーの病気を親身になって診てくれた医師にあこがれ、医師を目指していた。2浪の末、今年晴れて第1志望の私大に入学できた。
東京医科大など多くの医学部で発覚した不正入試。宗田さんはこれまでの医学部受験の“常識”をこう語る。
「女子や多浪生は不利だということを、現役のときから聞いて、当然のように受け止めていました。そのため、1次試験では合格ラインのギリギリを狙っていたのではダメ。10〜20点は高く取らないといけないという意識が強かったです」
今年は宗田さんのように努力の成果が報われた女子が多かった。長年女子を差別していた東京医科大は、18年の女子の合格者は34人だった。それが、今年は一気にほぼ3倍の95人まで増えた。志願者数を合格者数で割った「合格倍率」で見ると、18年は女子44.6倍、男子13.0倍と、女子のほうが男子よりずっと合格しにくかった。これが今年は、女子5.7倍、男子5.8倍とほぼ同じになった。
「外部有識者の監査委員会を設けるなど、再発防止に取り組みました。適切に入試ができたと思っています」(広報担当者)
ほかにも日本大や昭和大など文部科学省から不適切入試を指摘された学校を中心に、女子や多浪生の合格者が増えているとみられる。
国公私立全82医学部の合格者高校ランキングでは、東海(愛知)や開成(東京)、海城(同)や巣鴨(同)など中高一貫の私立男子校が例年どおり上位に並ぶなか、今年は私立女子校も目立つことがわかる。
合格者が多かった主な12女子校の数字をまとめた。ほとんどの女子校で前年よりも合格者数が増え、12校全体では1007人と26.5%の増加。16〜18年の3年平均の合格者数と比べても伸びている。
中でも豊島岡女子学園は前年より43人増の150人、白百合学園は69人増の112人、女子学院は51人増の101人と躍進している。
女子校の合格者が増えている大学を見ると、文科省から不適切入試を指摘されていた大学が際立つ。昭和大は12女子校の16〜18年の平均合格者は38人だったのが、今年は倍近い64人に。順天堂大は50人だったのが71人、日本大は11人だったのが24人に増えた。
文科省から不適切入試を指摘されず、女子差別はしていないと主張している大学でも、全体的には女子の合格者が増えている。入試では面接など客観的な点数をつけにくい試験があり、女子や多浪生が不透明な形で低く評価されがちだったと言われる。大学通信の安田賢治常務はこう指摘する。
「多くの大学は女子の合格者増について、『偶然の結果』だと説明するでしょうが、明らかに数字が大きく変化しています。これまで女子が不利だった入試を、問題が発覚する前に自主的に見直したのではないでしょうか」
女子や多浪生への差別が一掃されたとすればいいことだが、問題はそう簡単ではない。一般企業と同様に、病院でも女性への偏見や差別が根強いためだ。女性は結婚や出産をきっかけに辞める人もいるとして、男性のほうをより積極的に採用したいという病院が多い。入試で面接する側の男性医師の中には、「女性より男性のほうが論理的に考える能力が高いので医師に向いている」といった偏見を持っている人もいる。
「不正入試が横行していた背景には、長時間労働が常態化するなど、女性が働きにくい医療現場の状況があります。女性が結婚や出産をしても働き続けられるようにしないと、しばらくたてばまた入試で不利な扱いをする恐れがあります」(安田さん)
再発防止をチェックする文科省の姿勢も問われる。全ての医学部について不適切入試の調査を昨年実施した文科省は、今年も同様の調査を続ける方針を当初は示していた。ところが本誌が5月に確認すると、担当者は「個別の大学に対して調査は実施しているが、全体に対して調査を行う予定はない」と説明。全ての医学部について調べたほうが再発防止を徹底できるのに、どうも“逃げ腰”のようだ。教育関係者からは次のように疑問の声も上がる。
「問題のあった大学に絞って調べる文科省のやり方は中途半端です。医学部全体の入試結果を調べ、女子の合格者が急増した理由などを分析すべきです」
医師になれば高収入が保証されるとの期待から、医学部の人気は高まっていた。だが、今年の入試では人気に陰りも見える。
「これまで『バブル』とも言える様相だった医学部人気が、終わった印象があります」
こう語るのは、医学部受験を専門とする河合塾麹町校の神本優・校舎長だ。
河合塾によると、国公立大の医学部医学科の志願者数は約2万5千人で、前年比98%と5年連続で減少。今年は私大でも志願者が減り、前年比94%(5月22日時点、順天堂大、東京女子医科大を除く)だった。
「長時間勤務など、医療現場の過酷な環境が知られるようになってきました。さらに女子差別の問題も重なり、医学部離れが進んでいます」(神本さん)
「バブル」と言われるように、これまでの医学部人気はすごかった。文科省によると、国公私立医学部の志願者数は08年に約10万6千人(一般、AO入試などを含む)だったが、18年には約14万3千人にまで増えた。
偏差値も大きく上昇した。1985年には偏差値50以下の私大も珍しくなかったが、19年では大半で偏差値65以上となり、70を超えるところは少なくない。東大の理Iや理IIよりも難しい私大もある。
ここまで人気になったのは、経済のバブル崩壊で会社員らの給料が下がるなか、医師の待遇の良さが突出しているためだ。厚生労働省の17年の調査によると、一般病院勤務の医師の平均年収は1488万円、町医者など一般診療所の院長だと2748万円。平均的な会社員の3〜6倍にもなる。医学部に合格すれば、こうした高収入が期待できるのだ。
医学部は6年制なので一般的な4年制より学費がかかる。国立では入学金と6年間の授業料を合計すると約350万円。私大では6年間にかかる総費用は平均で約3200万円にもなる。4千万円を超えるところもある。
高い学費を払っても、医師は高収入なので元は取れるという考え方もある。しかし、社会保障費の国民負担は年々重くなり、医師の高収入にも批判は高まっている。厚労省は2028年以降は医師不足が解消されると推計。受験生の間には、「医者も将来安泰ではない」という意識が出始めているようだ。
合格者の選択にも変化が出ている。
河合塾によると、今年の私大医学部の合格者数は約6200人で、前年比114%と急増した。多くの私大で入学辞退者が増え、その結果、追加合格者も増えたようだ。
「不適切入試や将来の医者余りの情報をきっかけに、私大医学部を見る目が厳しくなったのでしょう。国公立など、より上の医学部を目指す動きが強まったように感じます」(同)
人気が下がる私大医学部では影響が出始めている。医学部は「序列」がはっきりしているとされる。最難関である旧帝国大を頂点に、歴史ある国公立大などが続き、比較的に新しい地方の私大が下に見られがちだ。
受験生の大学選びも、こうした序列に左右される。その結果、地方の私大では辞退者が続出する。
関東のある私大では、定員100人のところ正規合格者100人に加え、200人を補欠合格者としている。別の私大でも、正規合格者とほぼ同じ人数を補欠合格者としているという。
学費が高額な私大医学部では一人でも欠員が出れば、損失は大きい。そのため、欠員補充に大学側は必死だ。『医学部に来なさい!』などの著書がある昭和大学教授で心臓外科医の南淵明宏さんは、地方の私大の状況についてこう説明する。
「3月も末になると、大学から受験生に電話をかけて、『入学する医学部は決まっていますか?』『補欠合格されていますが、入学されますか?』などと確認します。入学者の確保に躍起になっているのです」
成績上位の合格者が辞退するのは、優秀な学生を確保したい大学にとっては痛手だ。医学部受験に強いある塾の幹部はこう漏らす。
「学力的に受かるとは思えない子でも、追加合格するケースが増えています。今年は、特にそれが多かった印象です」
陰りが見えるとはいっても、医学部の人気はまだ高い。志願者の増加は新たな課題も生んでいる。
「志がない受験生が多くなった」と嘆くのは、医学部受験に取り組む塾の幹部だ。患者に寄り添うという志の高い人に目指してほしいが、いまは必ずしもそうなっていないという。
「面接では当たり障りのないことを言いますが、実際のところは偏差値が高いから目指すとか、給料がいいから医師になりたいという子が多いのです。医師の親の意向を受けて目指すという子も少なくありません」(塾の幹部)
東京や神奈川など都市部の私立校が多くの合格者を出している。都市部で育った受験生には、地方の医学部には行きたくないという人もいる。今年、私大医学部に受かった男子はこう話す。
「親が医師の友達の中には、都内の私大医学部しか受けないという子もいました。医師を目指す理由も、『親が医師だから何となく』といった、弱い動機の人もいます」
医学部専門予備校YMS(代々木メディカル進学舎)によると、関東の私立高の受験生に人気なのは、都心部にある私大医学部。慶應義塾大を筆頭に、慈恵会医科大、順天堂大、日本医科大などだ。学費がずっと安い地方の国公立大よりも私大を選ぶ人もいる。今年も新潟大や金沢大よりも慈恵会医科大を選んだり、福島県立医科大よりも東邦大を選んだりしたケースがあったという。
「最初は国立の医学部を志望しても、都心部の私大医学部に合格すると、『自宅を離れたくない』『地方に行きたくない』という心理が働く。親も学費が高くてもいいから実家に住まわせたいとか、一人暮らしはさせたくないと考えるようです」(YMSの七沢英文さん)
こうした受験生がいることは、医師の都市部集中に拍車をかける。
強い志がないと、医師になるという目標を見失うこともある。全国医学部長病院長会議の調査によると、16年度における53大学の1年生の留年者数は293人で、07年度以前の平均と比較すると約1.8倍も増加していた。
医学部の授業は他の学部と比べて厳しい。人間の体の機能や名称などを細かく理解し、暗記していく必要がある。必修科目が多く、一つでも落とすと留年してしまう。ある医学部の関係者はこう嘆く。
「生物学や解剖学といった基礎的なところでつまずいてしまう学生がよくいる。何とか卒業までもっていっても、医師国家試験で落ちるのが現状です」
いつの時代も医師の役割は大きい。患者に寄り添い、地域医療を支えるような医師を目指す受験生に頑張ってもらいたいものだ。(本誌・吉崎洋夫、山内リカ)
※週刊朝日 2019年6月14日号
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