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安倍政権の種子法廃止に“地方の反乱”拡大…独自に条例制定、国の農業政策に反抗
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28187.html
2019.06.03 文=小倉正行/フリーライター Business Journal
安倍晋三首相(写真:UPI/アフロ)
主要農作物種子法(種子法)が廃止されて2年が経とうとしている。これに対して、種子法に基づいて米などの品種改良と種子供給を行ってきた各都道府県は、その根拠法を失ったことで事業の継続に強い懸念を表明し、種子法と同じ内容の条例制定でそれらを安定的に継続しようとする動きが広がっている。
3月には北海道が種子条例を制定し、新潟、富山、兵庫、山形、埼玉各県の条例制定に続いた。さらに岐阜、長野、福井、宮崎、滋賀、宮城、鳥取の各県も年内の条例制定を決めたり、検討を表明している。また、条例制定の動きがない県でも県下の自治体での条例制定を求める意見書採択が相次いでいる。
安倍内閣による種子法廃止の理由は「民間企業の参入を妨げる」というものであったが、戦後営々と続けられた種子法による種子供給と品種改良の継続性に対しては、まったく配慮もないものであった。これに対して、“地方の反乱”ともいえる条例制定の波のような動きが広がっている。
しかし、条例制定でも越えることができない壁がある。それが予算の問題である。種子法があったときは、同法に基づいて各都道府県が種子供給と品種改良を円滑にできるように予算措置を取る義務が、政府にはあった。具体的には、地方交付税で各都道府県に対して予算措置を施してきた。この予算措置については、種子法廃止時に国会で議論になり、政府は当面現行通り行うと約束した。
しかし種子法が廃止され、この予算措置が永続的に行われる保障はない。また、政府が民間企業の参入を妨げていると判断した場合は、予算措置を撤回することも予想される。地方自治体の財政が厳しいなかで予算措置を打ち切られた場合、円滑な種子供給などが難しくなる局面を迎えかねない。このような事態を防ぐためにも、国会に提出されている種子法復活法案の成立が求められているといえる。
■種苗法改正案の提出見送り
他方、政府は、種子法条例制定の動きが広がることを固唾を飲んで見ている。なぜなら、7月に予定されている参議院選挙に影響を与えるのではないかと懸念しているからである。
地方自治体の種子法条例制定は、政府の種子法廃止に真っ向から反するもので、まさしく“地方の反乱”である。これまで、政府の農業政策に地方自治体が反する施策を取ることはなかった。政府はこのような事態が生じることを恐れていた。
それは、今通常国会に種苗法改正案の提出を見送ったことからもうかがえる。同法改正案も種子にかかわる法律で、改正案は農家による種子の自家採種を禁止するもの。農家の自家採種によって生産されている伝統野菜や地方限定の野菜などの生産継続に脅威となるもので、種子の自家採種を続けている農家などから改正案に反対の声が広がっていた。
これに対して農林水産省は、2004年から自家採種原則禁止を目指して種苗法改正の検討を続け、いよいよ今国会に法改正案を提出するとみられていた。しかし農水省は国会開会直前に、法改正の準備が間に合わないので法案提出を見送ると発表したのである。04年から法改正を検討してきて間に合わないなど、誰も信じる話ではない。
政府は、種子条例制定の動きが広がるなかで、それに種苗法改正案の反対運動が相乗して火に油を注ぐ事態を、なんとしても回避したかったのである。
TPP11から日EU経済連携協定、さらには日米FTAで窮地に追い込まれている日本の農業者が、参院選でどのような投票行動を取るのかが注視されている中で、地方自治体が国の農業政策にノーを突きつける動きが広がることを、政府はもっとも恐れているのである。
(文=小倉正行/フリーライター)
食は、文明国家の源、食を他国に支配されるTPP11から日EU経済連携協定、さらには日米FTAは国家破壊そのもの、安倍政権の種子法廃止に“地方の反乱”拡大…独自に条例制定、国の農業政策に反抗 https://t.co/B5v6vAxAiF @biz_journalさんから
— 大嶺健太郎 (@ominekentarou) 2019年6月3日
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