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GDPプラスでも消費税増税延期方針不変か
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2019年5月20日 植草一秀の『知られざる真実』
5月20日午前8時50分に発表された2019年1−3月期GDP速報値では前期比年率の実質GDP成長率が+2.1%になった。 市場予想を上回った。 この数値発表で今後の政策運営が不透明になったように見る向きがあるが、大きな流れに変化は生じない可能性が高い。 5月13日付ブログ記事 「景気動向指数が「景気後退の可能性が高い」点灯」 https://bit.ly/2PXq3aA に次のように記述した。 「5月20日には1−3月期のGDP統計が発表される。 これも日本経済の悪化を裏付ける数値になる可能性が高い。 ただし、過去には各種関連指標から推計される数値とは異なる数値が発表されたことがある。 財務省は経済関連省庁に強い縄張りを有しているから、森友公文書改ざんのような違法行為に手を染めることがある。 このことによる統計数値改ざんの疑惑は払拭できないから、この点には留意が必要だ。」 財務省が何らかの工作を行ったのかどうか確証はないが、公文書を平然と改ざんする役所であるから、どのような不正が行われているのかは計り知れない部分がある。 今回の統計でマイナス数値が発表されれば消費税増税延期は確定的になる。 財務省としては「目的のためには手段を問わない」対応を示す動機があるとは言える。 統計内容を見ると、プラス成長をもたらした主因は外需にある。 実質GDPの前期比成長率0.5%のうち、外需の寄与が0.4%ポイントを占めた。 内需の寄与は0.1%だった。 景気の基調を判断する上で最重要になるのが個人消費の動向だが、民間最終消費支出は前期比−0.1%を記録した。 直近5四半期のうち、民間最終消費支出がプラスになったのは2四半期、残りの3四半期はマイナスを記録した。 景気の基調を定める個人消費支出が極めて停滞している。 本年1−3月期は輸入が大幅に減少して、外需が成長にプラス寄与したが、今後は外需の成長への寄与は期待しがたい。 為替市場では昨年10月を転換点に、日本円が円安傾向から円高傾向に潮流変化を示している。 米国の金融政策が金融引き締め強化から金融引き締め中止に政策の基本路線を転換しており、これを背景に米国長期金利が低下トレンドに移行したと考えられる。 また、トランプ大統領は対日通商交渉=米日FTA協議で日本に対する要求を強めてくる可能性が高い。 米中協議が難航しているが、米国はこの交渉のなかに「為替条項」を盛り込むことを強く求めている。 人民元の切り下げ措置を禁止する条項だ。 この要求を日本に対しても示す可能性が高い。 これらの要因によって為替市場の基調が円安から円高に転換すると、短期的には日本経済に下方圧力がかかることになる。 5月13日に発表された景気動向指数で景気の基調判断が6年2ヵ月ぶりに「悪化」に変更された。 鉱工業生産指数を見ても、日本経済が昨年10月を転換点にして、新たな景気後退局面に移行した可能性は高まっている。 GDP統計は見かけ上プラス数値を示したが、実態としての日本経済の基調は極めて弱い。 成長率数値も第2次速報、確報の段階で下方修正される可能性もある。 2018年度の実質GDP成長率は+0.6%になった。 日本経済が極めて低調な状況にあることを示している。 財務省は強く抵抗すると思われるが、安倍内閣としては増税強行を選択しがたい状況である。 このまま安倍内閣が増税強行路線を走って参院選に突入するなら、安倍自公は参院選で大敗することになる。 秋に消費税率10%を実行した後に衆院解散・総選挙を実施すれば、衆院選でも大敗することになるだろう。 その結果として安倍内閣が終焉するなら、その面では望ましい結果がもたらされることになるが、国民経済的には非常に代償が大きくなる。 まさに「毒をもって毒が制される」ことになる。 望ましいのは、安倍内閣が消費税増税を中止して衆参ダブル選に臨み、それにもかかわらず安倍自公維勢力がダブル選で大敗することである。 この方向に事態が進行することを期待する。 |
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