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唐突な豹変 安倍晋三「北朝鮮直談判」の謎解きと勝算
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253384
2019/05/08 日刊ゲンダイ 文字起こし 北朝鮮を巡りトランプ米大統領との電話会談後、記者団の取材に応じる安倍首相(C)共同通信社 勝算があるのか。強まる“蚊帳の外”批判を打ち消す妄言なのか。またぞろ人気取りの打ち上げ花火なのか。安倍首相が唐突に打ち出した「無条件で日朝首脳会談」が波紋を広げている。 安倍は6日夜、トランプ米大統領と電話会談。北朝鮮による日本人拉致問題解決に向けて、「私自身が金正恩朝鮮労働党委員長と条件を付けずに向き合わなければならない」と話し、前提条件なしで日朝会談の開催を模索する考えをトランプに伝えたという。核・ミサイル開発に猛進してきた北朝鮮に対し、安倍は「最大限の圧力」を叫んで対北強硬路線の急先鋒に立ち、「国難」呼ばわりで散々政治利用してきた。日朝会談実施の前提条件として拉致問題の進展を挙げてきたのが一転、方針の大転換である。安倍は電話会談後のブラ下がり取材でも、こう大見えを切った。 「拉致問題を解決するために、あらゆるチャンスを逃さない。私自身が金氏と条件を付けずに向き合わなければならない。あらゆるチャンスを逃さない決意で、この問題の解決に当たっていく」 伏線は産経新聞(3日付)のインタビューだ。官房副長官として同行した2002年の小泉訪朝を機に5人の拉致被害者が帰国して以降、事態が進展しない状況を「問題解決に向けて当初から取り組んできた政治家として痛恨の極みであります」とし、こう続けていた。 「まずは現在の日朝間の相互不信の殻を打ち破るためには、私自身が金委員長と直接向き合う以外はない。ですから、条件をつけずに金委員長と会い、率直に、また虚心坦懐に話し合ってみたいと考えています」 小泉訪朝から17年、“拉致の安倍”前進なし 安倍政権は、国連人権理事会に11年連続で提出してきた北朝鮮に対する非難決議案を今年は見送り、19年版外交青書では核・ミサイル問題で「圧力を最大限まで高めていく」という表現も削除。あの手この手で北朝鮮に秋波を送ってきた。対立を深めて一触即発の危機を招きかねない圧力よりも、対話を模索する方がいいに決まっている。しかし、小泉訪朝から17年だ。“拉致の安倍”でのし上がって首相の座を射止め、第2次政権発足以降も拉致問題を最重要課題に掲げながら、本気で北朝鮮と向き合ってきたとは思えない。その後、誰ひとり帰国を果たしていないばかりか、北朝鮮の脅威をひたすらにあおり、憎悪を量産してきた現実がある。 拉致被害者家族会の事務局長だった蓮池透氏はこう言う。 「本音を言えば、何を今さらという思いがないわけではありません。ですが、無条件であろうが何だろうが、北朝鮮と首脳会談を開けば膠着した現状を打開する可能性が生まれる。歓迎します。ただ気になるのが、実現の可能性がどれほどあるのかということ。安倍首相の〈向き合わなければならない〉という言い回しがどこか空疎な印象を受けますし、〈金氏と条件を付けずに向き合わなければならない〉とは言っても、金正恩氏が会談に応じる見通しが立っているのかどうか。史上初の米朝首脳会談以降、安倍首相は同じようなフレーズを繰り返すものの、時期には一切言及しない。オオカミ少年のようにも見える。安倍首相に〈本当に日朝首脳会談を実施できるのですか?〉と聞いてみたいです」 この急展開に被害者家族には動揺が広がる。米ワシントンで開かれた拉致問題をテーマにしたシンポジウムに参加した横田めぐみさん(拉致当時13)の弟の横田拓也さん(北朝鮮による拉致被害者家族会事務局長)は、報道陣に「(安倍の)全拉致被害者の即時一括帰国があるというスタンスは何も変わっていないと思う」と話すにとどめていた。 拉致被害者も、その家族も高齢化が進む。場当たりの無定見首相に振り回された拉致被害者家族の悲劇は語るにあまりある。 ワシントンで拉致問題解決を訴える横田拓也さん(中央右)/(C)共同通信社
それにしても、イケシャーシャーと「私が向き合う」などと、よくぞ言えたものだ。そもそも、日朝対話をオジャンにしたのは、ほかならぬ安倍自身なのである。拉致問題に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏は言う。 「安倍首相は拉致被害者12人全員の帰国を“公約”していますが、14年のストックホルム合意に基づく拉致被害者の再調査で北朝鮮が示したのは〈8人死亡、4人未入国〉との結果。ほかに複数の生存者情報が提示されたようですが、安倍首相が救出を訴える象徴的な存在の横田めぐみさんは含まれていなかった。〈めぐみさん死亡〉という従来結果が覆らなかったため、安倍政権は再調査報告書の受け取りを拒み、政府代表団団長を務めた当時のアジア大洋州局長は間もなく在ジュネーブ国際機関日本政府代表部特命全権大使に異動した。その後、拉致問題はたなざらしにされたのです」 北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を強行したことを契機に安倍政権は16年2月に独自制裁を強化。反発した北朝鮮が再調査を全面中止した。安倍政権が生存する被害者をガン無視した疑いも濃厚だ。拉致被害者の田中実さん(失踪当時28)と特定失踪者の金田龍光さん(同26)が妻子とともに平壌で暮らしているとの情報がストックホルム合意を交わすより前に伝えられていたとも報じられている。 「北朝鮮は〈拉致問題は解決済み〉の立場です。安倍首相の〈条件を付けずに向き合う〉という言葉を額面通りに受け取れば、再調査結果を拒否しないと理解するでしょう。そうなれば安倍首相の長年のサボタージュが白日の下にさらされることになる。その覚悟が安倍首相にあるのでしょうか」(太刀川正樹氏=前出) 北方領土交渉は「前提なし」で頓挫 安倍が出し抜けに頭から突っ込むポーズを見せているのは、“外交の安倍”の化けの皮が完全に剥がれたからだ。 「われわれの世代で解決する」と息巻いたロシアとの北方領土返還交渉は1ミリも動かず、プーチン大統領から「前提条件なしで、年内に平和条約を締結しよう」と押し込まれ、カネを差し出して、言うがままに譲歩を重ねた揚げ句、事態は70年以上も後退。拳を振り上げた中国包囲網でこじれた中国との関係改善は牛の歩み。安倍の歪んだ歴史観に端を発し、日韓関係は悪化の一途だ。日韓合意に基づく慰安婦財団の解散や元徴用工賠償、レーダー照射問題などを抱え、こじれにこじれている。いまやトランプにすがり、金正恩に頭を下げるしかなくなった外交無策に対する総括が必要である。 元外交官の天木直人氏は言う。 「安倍首相は本気で死中に活を求めようとしているのでしょうか。北朝鮮が4日に発射した飛翔体についても、これまでは制裁強化の一本やりだったのに言及を避けている。日朝交渉の最大のポイントは拉致問題です。対話が再開すれば避けては通れませんが、すぐに白黒をつける必要はありません。被害者家族が現地入りして徹底的に調査し、納得のいく結論を得るには何年もかかるでしょう。どうしたって拉致問題解決には時間を要する。日朝会談が実現しただけで安倍政権は大きな得点を稼ぎ、対話が継続している間もポイントを稼げるのです」 今になって北朝鮮との直談判をブチ上げたのは、姑息な計算ゆえである。
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