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「衆参ダブル論」は安倍首相とその周辺の思考混乱の表れ 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/252576
2019/04/25 日刊ゲンダイ 安倍首相は大阪12区補選応援に駆けつけ、かたや公明党・山口代表は東京世田谷で街頭演説(左)…/(C)日刊ゲンダイ 自民党の萩生田光一幹事長代行が、10月に予定された消費増税延期を理由とした早期衆院選があり得ると発言したことが波紋を広げている。安倍晋三首相の“超側近”である彼が言うのであれば、リアリティーがあるのではないかとされているのだ。しかし、自民党ベテラン議員に言わせれば、これは戯言で、安倍とその周辺の思考が混乱している表れでしかないと手厳しい。 「だってそうでしょう。アベノミクスがうまくいっているというのが本当であれば、消費増税による景気への影響を何ら恐れることはないはずで、堂々としていればいい。それなのに、6月の日銀短観次第では再々延期を考えなければならないかのことを言うのは、経済運営について自信喪失に陥ってオロオロしている証拠。まして、それを理由に総選挙を打つなんて、『アベノミクスに失敗してどうもすみません』と言って選挙をやるようなものでしょう。その場限りの奇策に打って出て目先の苦境を切り抜けられればそれでいいという、安倍政権の悪癖そのものだ」 野党の間には、安倍がイチかバチかの衆参同日選に打って出るのではないかという警戒感があるが、その可能性はどの程度あるのだろうか。このベテラン議員は「ない」と断言する。 「この国会は、会期を延長しない限り6月26日まで。日銀短観が発表されるのは7月1日だから、それを見て選挙をダブらせようとしても、国会が終わっているから消費税法を改正して増税再々延期を決めることができない。とすると、ダブルではなく秋口に単独で衆院選ということになるが、安倍政権にもはやそんなエネルギーは残っていない」 それに、公明党はダブルにせよ単独にせよ反対だろう。 「その通りで、このところ公明党は『安倍丸という泥舟で心中しないようにしなくては』と考えているのだと思う。沖縄の影響が大きくて、昨秋の玉城デニー知事選、2月の県民投票、そして今回の衆院補選でも、学会員や支持者の2割以上が党本部の方針に逆らって『辺野古反対』に投票するパターンが定着した。それが大阪12区にも波及して公明支持層の35%は自民党候補に投票せず、その空気を察して山口那津男代表も選挙支援に入るのをやめた。明らかに自公の間にすきま風どころではない寒風が吹き抜け始めている。だから余計に、大義名分のない衆院選などやれるわけがなく、それでもやれば安倍政権は瓦解する」というのがベテラン議員の見立てである。 高野孟 ジャーナリスト 1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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