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古賀茂明「自己都合忖度が蔓延する霞が関を理解してない野党への提言」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190303-00000008-sasahi-pol
AERA dot. 3/4(月) 7:00配信
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者...
安倍政権に自己都合忖度する霞が関 (c)朝日新聞社
3月2日未明、2019年度予算案が衆議院を通過した。憲法第60条2項により参議院が30日以内に議決しなければ、衆議院の議決が国会の議決とされることが決まっているので、年度内に予算が成立することが事実上決まった。
これまでの与野党の論戦は、厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題を除いては、全く盛り上がりに欠けるものとなった。統計不正問題については、様々な問題が指摘されているが、残念ながら、必ずしも問題の本質をついた議論にはなっていない。
この問題の中で特に重要な論点はどこかということを列挙すれば、次の五つだと考えられる。
(1)2003年から04年にかけて、毎月勤労統計における東京都の大規模事業所に関する調査で、厚労省の現場が秘密裏に全数調査を抽出調査に変更し、しかも、それについて正しい復元処理を怠った。
本件一連の不正の中でも核心的部分である。これによって、賃金の実態を示すはずの毎勤統計において、現実の賃金水準よりも低い水準の賃金統計が公表され続け、その結果、この統計を基にして算出される雇用保険などの給付金が過少になっていた。困っている人が本来もらえるはずの金額をちゃんともらえていなかったという実害が生じたのだ。
このため、過少となっていた金額を受給者に追加給付するための予算が必要となり、政府は、一度提出した予算案の修正という異例の事態に追い込まれた。
(2)この不正について、17年までの間、現場が問題を認識しながら、その公表や修正を行わなかった。
これにより、過少給付となる被害者の数延べ2000万人超、必要な追加給付額約600億円と被害が拡大した。しかも古いものは資料の散逸により、被害者と正確な被害額の特定すらできないという事態を招いている。
(3)17年11月ごろ、この問題を初めて幹部が明確に認識した時に、これを公表し修正を行わなかった。さらに、18年にようやく本来行うべき復元を始め、それによって賃金の伸び率が高く出てしまうこととなったにもかかわらず、そのことについて、公表せず、アベノミクスで賃金が上がっているという誤ったメッセージを国民に発してしまった。
(4)18年12月にこの問題が厚労省官房の幹部に認識された後も、直ちに問題を公表せず、大臣への報告も遅らせ、なお問題の隠ぺいを行おうとした。
(5)特別監察委員会により第三者性を有する組織で検証を行うと言いながら、実際は厚労省事務方のお手盛り調査を実施し、1回目の報告書を1週間弱で提出し、異常なスピードで処分まで行って幕引きを図った。さらに、これに対する批判に応えて実施された再調査においても、組織的隠ぺいがあると認定できる十分な証拠が揃っているにもかかわらず、組織的隠ぺいを認定しなかった。
(1)と(2)は、不正の根幹であり、課長クラスまでの現場で行われていた問題、(3)〜(5)は、直近の幹部クラスによる隠ぺい問題である。
ここで、一つ気づくことがあるだろう。それは、衆院予算委の終盤で大きな議論となった、2015年に行われた対象事業所入れ替え方法に関する検討(中規模以下の事業所について定期的入れ替えを従来通り一度に全部入れ替えるか、3年程度の部分入れ替えの継続で行うローテーション方式とするかの検討)の途中で官邸が不当に介入したのではないかという論点が入っていないことだ。
実は、この点は、ほとんど意味のない議論であったというのが私の見方だ。
その理由は、「対象事業所を入れ替えると賃金の伸びが低くなることが多いから、それを嫌って官邸が、一度に変えるやり方をやめて部分入れ替えにしろと圧力をかけた」という野党側の主張に無理があるからだ。
事業所入れ替えの結果、数字が高くなるか低くなるかは事前にはわからない。だから野党の主張の前提が成り立たない。
また、毎勤統計の全部入れ替えとそれに伴う過去統計の修正という手法は、統計学的には非常に問題があり、統計ユーザーから見ても非常に使いにくいという批判は以前から強く、本来はもっと早く修正すべきだったのに、現場が面倒がってなかなかこれを行えなかったという点を無視している。その観点からは、動機が何であれ、官邸の介入は正しい方向性を持っていた。
その意味では、モリカケ問題が、国有地の不当払い下げや安倍総理の友人への不当な利益供与という利権絡みの不正であったのとは、全く性格が異なる。
実は、私も経済産業省で政策を立案したり、経済見通しを作ったりする際に、毎勤統計の振れが大きく、非常に困ったことがある。これを使って政策立案をしても、全部入れ替えで数字が変わり、全面的に分析をやり直すという事態が起きるのだ。厚労省に問い合わせても、細かい情報は教えてもらえず、ますます不信感が高まった。全部入れ替えで、過去にさかのぼって数字がガラッと変わるなどというやり方は早くやめて欲しいというのは、私のように経済政策を担当する官僚(と言っても多くは問題意識が非常に低いのだが)に共通する願いだったのだ。現に、私が一緒に仕事をしたことのある厚労省の幹部官僚さえも、「ひどい話ですよね」とあっけらかんと認めていたほどである。
そんなひどい問題なのであれば、どうしてそれを長期にわたって放置してきたのかと不思議に思うかもしれない。しかし、官僚の心理から見ると、こうした事態が放置されたのもごく自然なことだと感じる。
まず、厚労省に限らず、統計行政については、役所の幹部は誰も関心を持っていない。統計部門は日陰のポストなので、そこに異動してきた部長クラスは、一日も早くそこから出たいと考えている。もちろん、そこで成果を上げることなど不可能だから、とにかく大過なく過ごすことしか考えない。
一方、現場の人たちは、過去から続けていることを変更すると様々な「手間」がかかるので、できればそんなことはやりたくないと考える。統計の調査方法を変えるということは、過去との整合性についての説明を求められるし、その実施部隊である都道府県との調整も必要だ。システム変更も必要で、予算の積算も、都道府県の意見を聞きながらやり直す必要がある。しかし、予算については、大臣官房などの理解が得られる可能性は非常に低く、増額などとなれば、「馬鹿か」と一蹴されるのがオチだ。増額を伴わなくても細かい積算を一つずつ詰められ、その結果、長年積み重ねてきたいい加減な予算の使用方法がバレてしまう可能性がある。それを辻褄を合わせながら説明するのは非常に難しい。
上司の部長が体を張って頑張ってくれるなら良いが、多くの場合、部長は素人だったり、わかっている人でも腰かけ意識の人が大半だから、とても戦えないと諦めてしまうのだ。15年の有識者会議での議論でも、問題点を統計の専門家は指摘していたにもかかわらず、都道府県代表の委員などは、変更に後ろ向きな態度を示していて、変更なしでも良いかという雰囲気になっていたようだ。おそらく担当部長は、「変えた方がいいけど、反対も強そうだし、現場も嫌がっているから、仕方ないかな」という考えに傾いていたのではないだろうか。
一方、その後、政府全体の統計に関する最高の諮問機関である総務省の統計委員会で、毎勤統計について審議されることがわかっていたというのも重要な要素だ。統計委員会ともなれば、統計の専門家がまじめな議論をしてくる。面倒だから変えませんというのに等しい厚労省の現場の議論は通るはずがないことを認識していた部長は、「入れ替え方式変更せず」という決め打ちの結論を書くのはまずいと思っていたはずだ。そうした情勢分析は幹部クラスの官僚なら誰でもできる。何とか、結論を出さずに先延ばしして、統計委の議論に合わせて最終判断ができないかと考えたのは極めて自然なのだ。
そこに降って湧いたのが、官邸からの「介入」である。中江元哉総理秘書官(当時)が、大きな段差が生じる全部入れ替えには問題があるので部分入れ替えを検討せよと、極めて真っ当な意見を言ってくれたので、渡りに船とばかりに、そういう方向に持っていった。その背後では、部下が厚労省から出向した内閣官房の参事官と周到にすり合わせをしていたようだが、彼らの頭の中は、「官邸がそう言っている」と言えば面倒な議論もなく簡単に方向性を決められるという意識になっていたはずだ。しかも、「官邸が」とさえ言えば、判断の責任も免れるのだから、一石二鳥である。
私は、これを「自己都合忖度」と呼んでいる。外見上は、官邸の意向で物事が決まったように見せかけ、実は、官僚たちが説明や根回しの手間と責任を回避する効率的な意思決定手法である。もちろん、以前もそういうことはあったが、安倍政権の問題は、その効果が絶大であり、したがって、いたるところでこれを使う官僚が増えて、霞が関中に蔓延しているということだ。
今回の官邸の介入疑惑は、総理秘書官から見れば、多少の下心はあったとしても、本人はあまり意識していなかったかもしれない。まともな官僚なら誰でも考えることを率直に伝えただけだと、今も本心からそう思っているのではないだろうか。
一方の担当部長から見れば、総理秘書官が言うことは、当たり前だよなという受け止めをしたと思われる。もし、秘書官の言いなりになろうと考えたとすれば、有識者会議の報告書には、部分入れ替えだけを特定して結論としていたはずだ。しかし、実際には、両論併記的な結論先延ばしの書き方になっている。これは、後に出される統計委員会の結論に合わせるために、決め打ちを避けたというのが、官僚的センスでは正しい見方ではないかと思う。
もちろん、総理秘書官の意向が影響を与えた可能性はあるが、その意向が、間違ったものではなく、政策的には正論だったとすれば、いくらここを追及してもモリカケ問題とは違って決定打にはなりえない。
民主党政権の時代は、「官僚主導」から「政治主導」への転換が大々的に宣伝された。それは、本来行うべき改革が、官僚の抵抗で実現できない自民党に対するアンチテーゼとして出てきたことだ。その観点から言えば、総理秘書官が、真面目に対応していない省庁に対して、ちゃんとまともな政策をやってくれというのは何の問題もない。官邸から見れば、過去にさかのぼって政策判断の前提となる数字をガラッと変えられるのは困るという事情があったのだろうが、それは、他の省庁から見ても同じことで、決して間違った問題意識とは言えない。見方によっては、「正しい政治主導」だとも言えるのだ。
今後、参議院に論戦の舞台は移るが、官邸の介入問題に焦点を当てても成果は期待できない。
一方、直近の復元開始を隠していたのは、賃金の伸びが高めに出ることがわかったうえでの隠ぺいであり、完全にアウトと言っても良い不正である。また、特別監察委員会の報告書やそれを受けての責任追及の終了という判断は、政策論としても間違った方向だ。今後は、それらの点に議論の焦点を絞った方が良いのではないだろうか。15年の官邸介入疑惑の追及はおそらく時間の無駄になると思う。
なお、国民の利益という観点からは、不正は本当に04年から17年までに限られるのかという点は再度検証が必要かもしれない。03年から04年にかけて東京都の大規模事業所の調査を全数調査から抽出調査に変更したのだが、それによって、調査対象が大規模事業所について、約1500カ所から500ヵ所へと、約1000ヵ所減ったはずだ。一方、東京都の報告書によれば、大規模を含めた全事業所の調査対象数は、両年とも3200〜3300で大きく変化していない。その理由は、中規模事業者(もともと抽出調査)の抽出率を変えたため調査対象事業所の数が増えたということになっているのだが、厚労省に確認しても、そう判断した具体的根拠や中規模の調査対象事業所の実数も何か所増やしたのかも公表できないと言われた。
もしかすると、03年以前も大規模事業所の調査対象数はかなり少なくて、過少推計になっていたのではないか。だから03年と04年の全調査対象事業所数が変わらなかったのではないか。さらに、元々大規模事業所の調査対象が少なかったから、04年に抽出調査に変えても前年とあまり大きな変更ではないと考え、復元は必要ないと判断したのではないかというような疑問が出てくる。
このあたりは、野党やマスコミに追及してもらいたいのだが、これらの点についての新たな材料が出てこない限り、参議院予算委での本件についての議論は、決め手を欠くものになってしまうと予想される。
逆に言えば、予算の議論の本丸であるアベノミクスの成果や今後の経済政策の議論を、今後の論戦の柱とすべきだ。あるいは、このところ失態続きの安倍総理のロシア外交やTAG(物品貿易協定)という呼称が偽りだったことがますます明らかになってきた日米通商交渉なども議論すれば面白いテーマになる。さらには、アベノミクス第3の矢が不発のまま日本の成長戦略が不在のままである間に、日本経済の世界での地位はどんどん後退し、いまや米中の先端技術をめぐる争いを傍観するしかない状況に陥っていることなどにこそ追及の矛先を向けるべきだ。これらのテーマについて議論すれば、野党にとっては、攻めどころ満載と言っても良い。
そうした実質的な議論で野党の存在感を示すことができるのか。春の統一地方選、夏の参議院選に向けて、国民の関心は、そちらの方に移っていくのではないだろうか。統計不正問題だけであと1ヵ月の参院予算委の論戦を終わらせるのでは、安倍政権へのネガティブキャンペーンとしてはある程度の意味はあっても、追加的な効果は小さい。
その結果、いつものお決まりのパターン――瞬間的に内閣支持率は下がるが、野党の支持率は横ばいで無党派層が増え、時間が経つと、内閣支持率は元に戻る――で終わってしまうことが危惧される。
野党が本格的な政策論争で、国民に存在感を示すことを期待したい。
偽装しても辛うじてプラスとなるアベノミクスのショボさ。何百兆円も使ってそれかよ、、、ー古賀茂明「自己都合忖度が蔓延する霞が関を理解してない野党への提言」〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース https://t.co/h1uY8TkRHS @YahooNewsTopics
— Jishow (@tk_nkzw221) 2019年3月4日
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— ⛵️motty⛵️ (@novtnerico) 2019年3月4日
《日本経済の世界での地位はどんどん後退し、いまや米中の先端技術をめぐる争いを傍観するしかない状況に陥っていることなどにこそ追及の矛先を向けるべきだ》
野党は、政策を示してないとか、マズゴミに言われてるが、示してるとこもあるので、国民にもっとアピールするべき。相手はネオナチ安倍自民党だからだ。
— 中川 和俊 (@10323naka) 2019年3月4日
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元官僚(旧通産省)の古賀茂明氏は、アエラに連載中の「政官財の罪と罰」で、安倍政権批判を楽しんでいるようですね。今回は、野党にダメ出しをし官僚を擁護しているように見せかけて、安倍批判につなげています。野党の皆さん、参考にしてみては…。
— 筑紫次郎 (@bigwing501) 2019年3月4日
3月4日 AERA dot.よりhttps://t.co/5Yhor5ZYsg
古賀茂明「自己都合忖度が蔓延する霞が関を理解してない野党への提言」〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース https://t.co/K1tKKowd54 @YahooNewsTopics
— りんくす (@shiroiyamaneko) 2019年3月4日
そうそう、野党には分析力や整理力なくて、数を打ち負かすだけのロジックがない。目先の揚げ足取りに走ることをやめないと。
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