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「官邸の関与」が判明した統計不正。説明責任を持つ政治家の実名
https://www.mag2.com/p/news/388481
2019.03.01 新恭(あらたきょう)『国家権力&メディア一刀両断』 まぐまぐニュース 国会で連日激しい論戦となっている、統計不正調査を巡る問題。野党は「首相官邸の関与」を問題視していますが、2月27日に公表された特別監査委員会の追加報告書では、一切の検証がなされていませんでした。はたして真相はどこにあるのでしょうか。元全国紙社会部記者の新 恭さんが自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、この疑惑を改めて時系列を追い詳細に検証、「真犯人」を突き止めるために追及すべき人物の実名を挙げています。 官邸の関与判明…統計操作の真相に迫れるか 毎月勤労統計調査について、わかりやすく書くのはかなり骨が折れる。そもそも、統計というのが厄介だ。 平均賃金の変化率を見るには、調査対象の事業所(サンプル)集団が固定しているのが望ましい。が、それでは偏ってしまうから、定期的にサンプルを入れ替える。すると、旧サンプルとの段差ができるので、新サンプルのレベルで過去に遡って数値を補正しなければならない。 こういうことを書くだけで記事がとっつきにくくなる。しかも、今回の場合、問題がおそろしく複合的だ。少し整理する必要がある。 2004年から東京都内500人以上の事業所について全数調査すべきところを3分の1の抽出で済ましてきたというルール違反。これは、もっぱら厚労省の組織に起因する。 安倍官邸の関与が取り沙汰される新たな問題が生まれたのは、2018年1月の調査分からである。対外的な説明もせず、抽出した東京都の事業所数を約3倍する「復元」が行われ、前年の数値はそのまま放置した結果、前年比の伸び率が高く出るようになった。 だが、上振れした原因はそれだけではない。同時に、「ベンチマーク更新」「サンプルの部分入れ替え」といった統計手法の変更が実行されていた。 経済センサスをもとに、産業構造の変化を反映させるというのが「ベンチマーク更新」だが、サンプルに占める大きな企業の割合を多くし、過去にさかのぼる適正な補正もなされなかった。当然、平均賃金は伸びる。 30人から500人未満の中規模事業所へのサンプル抽出方法を、3年に一度の「総入れ替え」から、毎年の「部分入れ替え」に切り換えたことも、上振れ要因となった。 このような大きな統計手法の変更を、前例踏襲が習い性である官僚だけの考えで実行したとは思えない。実際、今国会での質疑を通し、官邸の関与があった疑いが濃くなってきている。 官邸の動きが始まったのは、確認された限りでは、2015年3月からだ。 3月3日に、同年1月分の毎月勤労統計調査速報値が発表された。実質賃金はマイナス1.5%で、19か月連続の減少となった。 名目だと2014年秋のゼロ近辺から2015年1月にはプラス1.3%まではねあがっていたにもかかわらずである。 もちろん、物価上昇に賃金の伸びが追いつかなかったということではあるが、アベノミクスの成果をあらゆる場面で示したい安倍官邸は納得できない。2015年1月に「サンプル総入れ替え」を行なった影響が出ているのではないかと、問題視した。 サンプル総入れ替えをすると、経営状態の悪い企業も入ってくるため、脱落せずに残ってきた企業群の旧サンプルより賃金の数値が下がるのが従来の傾向だ。2015年1月もそうだった。 影の総理といわれる今井尚哉総理秘書官(首席)や、のちの厚労大臣、加藤勝信官房副長官ら、アベノミクスにかかわる数値に敏感な顔ぶれが、官邸には揃っていた。 実際に動いたのは、中江元哉総理秘書官(現財務省関税局長)だ。さっそく3月31日、厚労省の姉崎猛・統計情報部長(当時)ら2人を官邸に呼びつけた。 何が話し合われたのか。最近の国会で、中江、姉崎の両氏が語ったところによると、中江秘書官から「サンプル総入れ替えでは過去にさかのぼって数値が変わるためわかりにくい。経済の実態を表す統計のありかたについて専門家に意見を聞いてみたらどうか」と発言があったらしい。 総理秘書官の言うことは、総理の意向。霞が関官僚なら誰しもそう考えるだろう。 参考人として出席した今国会で姉崎元部長は「秘書官のコメント、あるいは示唆として受け止めた。指示されたとは思っていない」と述べているが、実際のところは強い圧力を感じたはずだ。 姉崎部長は中江秘書官と面談して2か月あまり後の2015年6月3日、有識者による「毎月勤労統計の改善に関する検討会」を立ち上げている。中江秘書官の言葉を官邸の指示として受け入れ、形にして示したということだろう。 だが、検討会を積み重ねるなかで、有識者の意見は官邸の思惑とは違う方向に傾いていった。 野党の要求でようやく公表された議事録によると、同年8月7日の第5回検討会で、阿部正浩座長は「当面、現在の総入れ替え方式で行うことが適当」と、とりまとめている。9月16日に予定されていた次回の第6回会合で、それに沿った報告書案が決まる手はずだった。 厚労省出身の参事官を通じて情報を入手できる官邸が、その流れを黙って見過ごすことはなかった。9月16日の検討会会合を意識し、中江秘書官は厚労省側と話し合いを続けていた。 それは9月4日に厚労省から阿部座長に届いた「官邸関係者に説明をしている段階であります」という内容のメールで確認できる。 加えて9月3日、安倍首相の関心が一気に毎月勤労統計に向かう出来事があった。 同日午後の参議院厚労委員会で小池晃議員から賃金など労働問題に関する質問を受けることになっていたため、中江秘書官は安倍首相に勤労統計の問題について答弁レクを行なったのだ。その場で安倍首相から明確な意思が示された可能性は十分にある。 以下は、同委員会における安倍首相と小池議員のやりとりの一部だ。
これから約10日後の9月14日昼過ぎ、官邸で決定的な面談が行なわれた。中江秘書官は姉崎氏らに「総入れ替え」を「部分入れ替え」に変更するよう強く求めたとみられる。 衆院予算委員会(今年2月22日)で姉崎氏がこう語っている。
中江氏は「4年前のことなので、よく覚えていない」と、安倍総理秘書官の“常道”を貫いている。姉崎氏も「指示されたことはない」と繰り返す。 しかし、その9月14日午後4時過ぎに姉崎氏の部下から阿部座長に送られたメールが真相を生々しく伝えていた。
「委員以外の関係者」が当時の中江秘書官をさすことは明らかだ。「総入れ替え」を「部分入れ替えに」という官邸の意向を中江秘書官に示されたことが、メールの文面から読み取れる。 9月14日午後2時1分に厚労省で作成された報告書案電子ファイルには「総入れ替え方式で行うことが適当」と記されていたのに、その日の午後10時33分には、「サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討することとする」と書き換えられた。 9月16日の第6回会合で、姉崎部長は「総入れ替え方式ではなく、部分入れ替え方式を検討したいと思っている」と述べた。官邸の意向であることを阿部座長は察しただろう。結論を明確にしない中間的整理案が作成され、検討会は自然消滅の形になった。 その後、麻生財務相が同年10月の経済財政諮問会議で「毎月勤労統計については、企業サンプルの入れ替え時には変動がある…改善方策を早急に検討していただきたい」と発言。翌2016年9月30日には総務省内に「統計の精度向上及び推計方法改善ワーキンググループ」が立ち上げられた。 こうした経過をたどって、毎月勤労統計調査における中規模事業所を対象としたサンプル抽出は、2018年1月に、総入れ替え方式から部分入れ替え方式に変更されることになった。 しかし、2018年1月の変更はそれだけでは済まなかった。先述したようにベンチマークの更新が過去の補正なしに行なわれたうえ、東京都分の「復元」を不適切な方法で行うなど、何重もの平均賃金かさ上げが仕組まれたのである。 当時の厚労大臣は、コトの経緯を知っていたはずの加藤勝信自民党総務会長であり、今でも重い説明責任がある。彼は中江秘書官と姉崎・厚労省統計情報部が毎月勤労統計について話し合っていた2015年3月から9月にかけて、官邸の中枢、内閣官房副長官のポストにいたのだ。 事業所サンプルの入れ替え方式をめぐる一連の出来事は、あくまで2015年春から官邸が毎月勤労統計を問題視し、関与し始めたことを物語っているだけである。 2018年1月の悪だくみを決行させた“真犯人”を突き止めるには、当時の厚労大臣であった加藤氏や、統計調査を担当していた職員の話を聞かねばならない。 自民党が参考人招致を妨害して隠ぺいをはかろうとするなか、国会審議で真相にたどり着くには大きな壁がある。メディアがなぜこの件で加藤氏に迫らないのか、不思議で仕方がない。 image by: Twitter(@首相官邸) 新恭(あらたきょう) この著者の記事一覧 記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。
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