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竹中批判にやって来た市民(2019.2.22、東洋大前で筆者撮影)
元記事http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1985625.html
立て看事件で頰かむりを続ける東洋大学前で2月22日、未来投資会議民間議員を務める同大の竹中平蔵教授を批判する抗議集会が開かれ、市民100人が集まった。参加者は「職員は恥ずかしくないのか」「早く竹中平蔵を追い出そう」などと訴えた。
集会は「みちばた興業」と『ピープルパワーTV』が主催し、午後5時半から2時間開かれた。左右を超えた国民運動を理念に、右翼団体「一水会」の構成員も日章旗を持って駆け付けた。日没とともに人は増え続け、5日の第1回から参加者は1桁増えた。
「みちばた興業」の黒川敦彦代表は、「これが反グローバリズムの民衆運動の契機だと思う。竹中氏はその片棒を担いだ中心人物。学生の立て看事件がその運動のきっかけになっている」と企画した意図を語る。
1月21日に「竹中平蔵による授業反対!」の立て看を掲げた学生を2時間半にわたって恫喝し、「退学」で脅した大学側は、同学生の公開質問状に対し期限が過ぎても無回答なままでいる。黒川さんは「本来なら答えるべき。今回のデモは、竹中氏を雇っている大学への批判も含めている」と当学生、船橋秀人さんを応援する構えだ。
ミュージシャンNao Lionさん作曲『Bye Bye 売国 竹中平蔵』の曲が流れる中、主催者と参加者の中から希望者が明かりのともる大学に向かってスピーチをした。
保守系言論誌『月刊日本』編集長の坪内隆彦さんは、「われわれは小泉政権以来、一貫して竹中氏をたたいている。ようやく東洋大学で動きが出て来た。東洋大の看板を利用して政府の諮問会議に入り、自分のお仲間企業に利益誘導し、それがいまだにまかり通っている。こんな男が大学で教えている。学生の皆さん、恥ずかしくないのか」と挑発。「早く、竹中平蔵を出しましょう」と呼び掛けた。
同誌は同日発売の3月号で「政商竹中平蔵の大罪」と題する特集を組み、船橋さんのインタビューも掲載している。
続いて、静岡市内から来たという74歳の男性が前に出る。用意した原稿を手に、「陰で利権を使ってパソナやオリックスなど、自分の関わる会社にお金が回るようにしている。水道民営化や労働者派遣法改正、加計学園問題など、許せないことばかり。竹中教授は辞めろ」と訴えた。
その上で、「このままでは将来が危ない。若い人たちはだまされないで、少し考えてみないか。政治に興味を」と語り、4月の統一地方選、7月の参院選への投票を促した。
参加者に次々とマイクが渡る。「職員は恥ずかしくないのか。あなた方が一番罪深い。死ぬときのことを考えてみろ。人生、お金じゃない」「娘が就職したミサワホームは竹中平蔵の兄に乗っ取られた。経団連の奥田(碩・ひろし元)会長が、産業再生機構入りを手引きした」「竹中氏の授業はほとんど休講だと聞く」などと告発した。
四十数分たったころ、パトカーが来た。第1回と同じである。警察官は黒川さんに「うるさいと近所から苦情が来ている」と注意した。直後、大学構内から作業服を着た2人の職員が出て来て数秒、警官と立ち話をした。戻り際、筆者が「あなたが警察に通報したんですか」と向けると、「いや、私はしていない」と否定。「どんな話をしたんですか」と詰問すると、「人だかりがあるから、ちょっと歩きづらいですねと話した」と釈明する。
開始直後も、道路のはす向かいに、公安警察官が2人立って監視しているのを目撃している。筆者が遠景を撮影しようと歩いていたら、出くわした。一水会の幹部に顔が似ていたので、不用意に「あれ、一水会の方ですか」と尋ねた。すると「えっ、一水会来るの?」と一瞬慌てるのが分かった。身元を明かしてただすと、「うちは公安です」と明かした。「大学は交通事故とか、いろいろ相談を受けているからね」とお茶を濁した。
警官と膨れた聴衆に囲まれる中、黒川さんがマイクを取る。「われわれは法律を犯しているわけではないので、続けます。近所の住民の方、迷惑されている方もいらっしゃると思いますが、竹中平蔵が生きていることによって何千万人の人たちが迷惑している」と抗弁すると、「そうだ」「行け」と歓声が沸く。
さらに「2001年からの小泉構造改革で、小泉(純一郎元首相)と竹中が日本を壊し始め、その流れを安倍晋三が引き継いだ。この20年で庶民の暮らしはどうなったか。給与はどんどん下がり、今20代の6割が貯蓄ゼロ。少子高齢化なんだったら、若い世代にお金を回しましょうよ。誰がお年寄りを面倒見るんですか。そのお金を全部外国に持っていく。すごいな、竹中平蔵!」と褒め殺した。
人垣の一番外に、男子学生が2人立っていた。文学部の2年生だという。立て看事件を知っているかと聞くと、「大学のホームページで見た」と答える。船橋さんの行動について「自分でおかしいと思ったことを主張するのは悪いことじゃない」と評する一方、大学の対応については「間違っていないと思う」と話した。
筆者が「退学をちらつかせて恫喝したと本人は話している」と向けると、「そうなんですか。それはどうか……」と首をかしげる。竹中教授への評価を求めると、「よく知らない」と返る。
労働者派遣法の改正で4割近くが非正規雇用の現状をつくったことや、私企業の役員を務めながら政府の諮問会議で派遣法改正や入管法改正、農業改革などを提案して自分の企業に利益誘導していることを説明すると、「そうなんですか。今回の騒動があって調べれば良かったが、今、こうやって説明されるまで、知らなかった。そんな方だとは思わなかった」と驚いた表情を見せる。ただし、続けて「大学が講師にしたことについて、僕の一意見で言えることではない」と評価をためらった。
退勤する40代の教員(自称准教授)に事件への感想を求めると、「事実が分かってないので、簡単にコメントできない。われわれもその件については、あまり知らされてない」と打ち明けた。立て看の設置については「まあ、表現の自由ですよね。いいんじゃないですか。内容によると思うが」と補足した。
兵庫県加古川市から、このために来た54歳の主婦もいた。「本当におかしいから、いても立ってもいられなくなって。人でなしが大学教授になってしまう世の中がおかしい。大学も、政治も」と吐露した。船橋さんの行動については「かっこいいと思う。一人で」と賞賛する。
大学側が期限の11日までに回答していないことについては、「それで、済むと思ってるんじゃないか。何もなかったように。大人の感じで。今、みんなそうですよね。政府の(毎月勤労)統計も。悪いことしても、時間がたてば、国民は忘れてしまうだろうと」と批判した。
『月刊日本』の坪内さん(同)
原稿を手に演説する静岡の男性(同)
警察官が駆け付け、押し問答する(同)
演説する黒川さん(同)
集まった聴衆を前に、スピーチと演奏が続く(同)
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