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NHK組織再編で波紋 「政権への忖度ない」異例の反論/朝日デジ
鈴木友里子、湊彬子、河村能宏 2019年2月22日21時35分
https://www.asahi.com/articles/ASM2Q5QZ0M2PUCVL030.html?iref=comtop_favorite_01
NHKが6月に予定する組織再編で、「ETV特集」などを制作している「文化・福祉番組部」の分割案が浮上した。権力に厳しい姿勢で臨む番組も多く手がけてきた部ゆえ、「解体」だと指摘する報道が出て波紋を呼んでいるが、働き方改革のためだとNHK内外から反論も出ている。
NHKは現在、ニュースを担当する報道局と、ドラマやバラエティー、情報番組などを手がける制作局に分かれて主に番組を作っている。複数のNHK関係者によると、今年に入って、制作局内に八つある部を、六つの「制作ユニット」に再編する案が浮上した。
ほとんどの部が合併や横滑りでほぼ存続するなか、唯一、部が分割される可能性が出たのが約70人からなる文化・福祉番組部だ。「ETV特集」「こころの時代」などを担当する文化系のディレクターらは、「クローズアップ現代+」などを手がける経済・社会情報番組部と合流。「ハートネットTV」「ろうを生きる 難聴を生きる」などを担当する福祉系のディレクターらは、「あさイチ」などを作る生活・食料番組部や「ガッテン!」などを作る科学・環境番組部と合流するとの案だという。
これに対し、文化・福祉番組部では、制作局長あての要望書を作成。再編についての説明と意見交換の場を設けるよう求めた。朝日新聞が入手した「職員一同」名義の要望書では、福祉と文化の番組が有機的に連動して人材育成などをしてきたと説明。分割によって専門性のある人材を育成する文化と土壌が失われるなどとする懸念を記した。
こうした動きを受け、ネットメディアのバズフィード・ジャパンは15日、「NHK『最後の良心』に異常事態」との見出しで記事を配信。同部は「権力や権威になびかず弱者の視点にこだわり、NHKのテレビジャーナリズムを守ってきた」と指摘するNHK関係者の声を紹介し、「解体の危機に直面」と報じた。
週刊ポストも18日発売号で、4ページを割いて再編に関する記事を掲載。前身の教養番組部による従軍慰安婦関連の番組で、安倍晋三官房副長官(当時)らの介入疑惑が出た過去に触れ、再編は「文化福祉の解体を狙い撃ちにしたものだったのではないか」との局内の声を紹介。「NHKは、安倍首相との間に残った“最後のしこり”を取り除こうとしているのだろうか」とした。
NHKはどんな言い分なのか。幹部は「部の壁を取り払うことで、人材の流動性を高め、効率的に番組をつくるための方針だ」と説明する。背景にはNHKでいま「働き方改革の風が吹き荒れている」(職員)という事情がある。2014年に女性記者が過労死認定され、労働環境の改善は待ったなしの課題。組織再編の議論に関わる職員は「部より大きなユニットにすることで人の融通をしやすくし、一部の人に偏る負担を平準化させたいとのねらいだ」と解説する。
だが一連の報道が出ると、ネット上には「良心を政権に売り渡してしまうなんて」などとNHKの姿勢を批判する声が噴出した。
するとNHKは18日、ホームページで文書を発表。「当協会があたかも政権に忖度(そんたく)し、『ETV特集』等の番組を制作させないために組織改正を行うかのような印象を強く与える一部報道があります。しかし、このような事実は一切ありません」と反発した。NHKが他社の報道を受け、視聴者に向けて自ら見解を公表するのは極めて異例だ。
複数の文化・福祉番組部員も朝日新聞の取材に応じた。視聴率が取りづらい番組を将来も守れるのか不安だと打ち明ける声がある一方、組織再編は「政治がらみの話ではない」「政権批判と結び付けられて迷惑」などと話す職員もいた。
教養番組部のディレクターだっ…
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