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権力の犬となる民間企業を許さない
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2019年1月22日 植草一秀の『知られざる真実』
ポイントカード最大手のひとつであるTカードを展開する企業が、氏名や電話番号といった会員情報のほか、購入履歴やレンタルビデオのタイトルなどを、裁判所の令状なしに捜査当局へ提供していたことが発覚した。 「T会員規約」には、捜査当局への情報提供を明記しておらず、当局も情報を得たことが本人に知られないように情報入手の事実を保秘していた。 Tカードの会員数は日本の総人口の半数を超える6676万人以上が利用、提携先は83万店以上にのぼる。 Tポイントはコンビニやレンタルショップなど多種多様な店で買い物をするとポイントがたまるポイントシステムで、個人情報および利用情報はTカードの運営主体であるカルチュア・コンビニエンス・クラブおよびグループ会社と提携先に提供されるとされている。 しかし、捜査当局への情報提供は契約に明記されておらず、捜査当局に情報が提供されていたことになると、重大な契約違反になる。 報道によると、捜査当局への個人情報提供は捜査令状なしで行われている可能性があるとのことだ。 T会員規約によると、Tカードが扱う「個人情報」の主なものは以下の通り。 ・「お客様登録申込書」の記載事項およびT会員ネットサービス登録お申し込み時の登録事項 氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、電子メールアドレス等 ・アンケート等により、会員として提供された事項 ・提携先におけるご利用の履歴 商品名またはサービスの名称、金額、お買い上げまたはご利用された日時、場所 ・T会員ネットサービス登録状況およびTカードの停止・退会状況その他に関する情報 ・ポイントの付与・利用等に関する情報や電子マネーのチャージ・利用に関する情報等、T会員向けサービスの提供に必要な情報 ・クレジットカード番号 ・画像または音声によりその個人を識別できるもの ・ご意見、ご要望、お問い合わせ等の内容 ・会員のコンピュータがインターネットに接続するときに使用されるIPアドレス、モバイル端末でのアクセスによる契約端末情報 ・モバイル端末による位置情報 ・新たなサービスご利用の際にご提供いただく一切の事項 ・その他個人情報保護法を遵守した上で、当社が取得するあらゆる個人情報 しかし、この規約には捜査当局への情報提供の記述がない。 明らかな規約違反であると言える。 Tポイントの運営会社であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(東京、CCC)は、 「長年にわたる捜査機関からの要請や協議の結果、法令やガイドラインにのっとり、開示が適切と判断された場合にのみ、必要な情報を提供すると決定した」 としている。 しかし、会員規約に捜査当局への情報提供を明記していないのであるから、「法令やガイドラインにのっとり、開示が適切と判断できるのは、裁判所の令状によって開示を命令された場合に限られると考えられる。 捜査当局は、内部手続きの「捜査関係事項照会」を使い、どの店をどのような頻度で利用するかなど、私生活に関する膨大な情報を外部のチェックを経ずに入手している可能性が高い。 警察や検察の内部資料によると、Tカードの (1)会員情報(氏名、生年月日、住所など) (2)ポイント履歴(付与日時、ポイント数、企業名) (3)レンタル日、店舗、レンタル商品名 (4)防犯カメラの画像 などがCCCから提供されてきた模様である。 ポイント履歴やレンタル履歴は13カ月間保存と記載されていた。 二つの重大な問題がある。 第一は、民間事業会社が顧客に無断で個人情報ならびに取引情報を警察当局に提供していたという事実である。 事業会社の顧客に対する背信行為であり、民事上の損害賠償請求の対象になり得る事案である。 T会員の数は日本の人口の半分を超えている。 半端な数ではないのである。 事業会社が捜査当局に情報を提供するのは、刑事司法権力への迎合、すり寄りであり、民主主義社会において、このような「権力の犬」的な行為は容認されるわけがない。 メディアがこの問題をどのように伝えるのかが注目されるが、民間企業の行動として許されざるものである。 このような企業の存続を市民は許すべきでない。 |
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