http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/521.html
Tweet |
囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏>
https://hbol.jp/183764
2019.01.21 月刊日本 ハーバー・ビジネス・オンライン
新年早々、安倍首相が1月28日招集予定の通常国会冒頭で衆議院の解散に踏み切るのではないかという情報が流れている。
これを受けて、1月22日に発売する『月刊日本』2月号では、巻頭特集として「冒頭解散を撃て!」と題した特集を企画。亀井静香氏、中村慶一郎氏、平野貞夫氏らが論考を寄せている。
今回、当サイトでは、その特集の中から、本サイトでもお馴染みの菅野完氏の論考を転載し、紹介したい。
Tony / PIXTA(ピクスタ)
通常国会冒頭で解散か
伏見に籠る秀吉の命脈がつきようとしていることは、早くから諸将に知れ渡っていたという。思えば秀吉ほど悲惨な晩年を迎えた人物もいまい。死の床に伏す彼をよそに、誰しも彼の死を待ち望み、彼の死と同時に始まる新時代に向けた準備を進めている。そして誰しも新時代を自分に有利にするため、彼の死を人一倍悲しんで見せる必要があった。もはや秀吉の命は秀吉一人のものではないのだ。
「太閤殿下、いよいよ御危篤」の報が流れたその日の晩、伏見の城下はいつも以上に静まり返っていたという。秀吉の死が政変を引き起こし、いずれは合戦を生むであろうことは子供にもわかる理屈だ。誰しもじっと息を飲んで、伏見城内に異変がないか聞き耳をたてていた。咳一つ聞こえない。
その時。静寂を破って城下に馬蹄の音が響き渡った。馬のいななき。蹄の音。ただ事ではない。方々の武家屋敷からは「すわ合戦ぞ!」と男どもがおどり出る。だが武者たちの向かった先は伏見城ではない。みなくちぐちに「家康殿をお守りせよ」「徳川右府に忠勤を励め!」と徳川屋敷を警護しはじめたのだ。
しかし、よくよく調べてみれば何の事も無い。城下に鳴り響いた馬蹄の音は、近在の神社の神事につかう馬が、ふとした拍子に逃げ出したものに過ぎぬという。事態を把握した諸将はそれぞれ自分の屋敷に引き上げていく。
この光景を見て、石田三成と島左近の主従は「人の世の怖さ」を思い知らされた。なにせ、居並ぶ諸将の中で、伏見城に駆け上り「太閤様をお守りせよ! 秀頼様をお守りせよ!」と叫んだものが、誰一人いなかったのだから……。
――この「伏見の暴れ馬」の寓話、司馬遼太郎の小説や講談・漫画など娯楽作品の類いではよく目にするものの、史実かどうかは定かではない。だが、平成31年の正月の永田町を眺めていて、真っ先に頭に浮かんだのはこの寓話だった。
「通常国会冒頭での解散」との風説がほうぼうで囁きはじめられたのは、手元の記録によると12月中旬のことだった。あの時は、だれしもがこの風説を一笑に伏していた。常識的には考えられない。なにせ消費税増税のための緩和措置を予算に盛り込まなければならない。公明党が必死になって要求するこれらの予算措置を無碍にすることなどできるはずもないではないか。予算の前に選挙を入れるなどありうるはずがない。あの時はみな、「常識的」な判断から冒頭解散の風説を笑い飛ばしていたのだ。
しかし年の瀬になると、この光景が一変する。日露交渉の行き詰まり、米国株相場の乱高下の影響を受けた日経平均の暴落などなど…。「北方領土問題は、二島返還でまとめたい」「経済情勢を鑑みるに消費税増税を再延期したい」と、首相目線から見れば有権者の判断を仰げる(あくまでも「仰げる」であって「仰ぐべき」ではない)、「新しい判断」の材料が揃い出したのだ。年末年始、議員が国元に帰った後、東京に残る秘書やスタッフたちの集まりに顔を出すたび、誰かが「こりゃ、選挙かもな」と囁く姿が観察された。興味深かったのは、与野党問わず誰しもが言外に「そんな選挙、誰も望んでいないよ……」とのニュアンスを含ませていたことだろう。
年があけて、1月8日火曜日。この日私の携帯は夜半になって鳴り止むことがなかった。「ほんとなら今日、東京に戻るはずの××議員が帰ってきていない。どうやら選挙対策らしい」「×××先生の戻りは明後日になるそうだ」と、聞きもしないのに電話をかけてくる。
私はここで「選挙になるとみな私に電話をかけてくる」などと誇りたいのではない。むしろその正反対。「私ごときのところにまで、『なにか動向を知らないか?』『こんなことがあったぞ』との一報を入れる人が出るほどに、あの晩は極度に緊張した人々がいた」と言いたいのだ。普段の彼らならば無視し足蹴にする私のような木っ端ライターのところにまで、探りの電話が入るのだから、関係各位はよほど緊張しきっていたに違いない。
そして1月8日を境にして、野党方面からは、離党や自民党入りを模索する噂など、またぞろ離合集散の話が次々と出てくるようになる。安倍政権に対抗する政権構想どころの話ではない。はるかそれ以前の「次の選挙での自分の生き残り」レベルの話ばかりを気にする野党議員たちの醜い姿が観察されるようになった。ちょうど、あの日の伏見城下のように。
野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ
これが講談ならば、ここで諸将の醜さや人心の離れやすさに涙する石田三成と島左近主従にスポットライトをあてて、渋いコメントの一つでも入れれば様になるのだろう。あるいは「あの暴れ馬、実は諸将の動向を探るべく、家康が放ったものだった」とでも書いて、東照権現の機略を褒めるのも手かもしれない。
が、ことは選挙。しかも来るべき選挙は、それが冒頭解散であれ衆参同日選であれなんであれ、消費税という暮らしに直結する問題と、「憲法改正」という我が国の根幹に関わる問題が争点にならざるをえない。悲憤慷慨にくれている暇はないのだ。
このままいけば、どのタイミングで解散が行われようと野党陣営は準備不足となるだろう。参院一人区での候補者調整や衆院選挙での野党共闘の進捗などといった話は、戦術レベルの話でしかない。はるかそれ以前の話で、人心は完全に野党陣営から離れている。また人心は安倍政権に集まっているのでもない。行き場を失った人心は、安倍政権誕生このかた6年、「すこしでもマシな方」へ流れているにすぎないのだ。これは同時に、もし野党陣営が「すこしでもマシさ」を提示できれば、再び人心を掌握しうるということでもある。
あの日の伏見の諸将がそうであったように、人心は「利得が生まれる」方に転がる。集団の規模が大きくなればなるほどそうだ。結局のところマスの意思とは「具体的な利得のあるところ」に落ち着く。
野田政権の崩壊がそうだったではないか。結局、あの時の有権者は、民主党にNOを突きつけたのではない。消費増税、いやもっと言えば、消費税や社会保障という自分たちの財布を直撃する話題を、正面切って議論できない姿勢そのものにNOを叩きつけたのだ。「日本の右傾化」や「若者のリベラル離れ」などと「大きな物語」や定性的な話で総括するまでもない。単に有権者は「金の話をきっちりするかどうか」を見ているということだ。
ならば野党陣営が人心を再掌握できる術も「金の話」しかあるまい。野党陣営はもっと金の話をするべきなのだ。具体的に言えば、もっと果敢に消費税について言及すべきなのだ。
おそらく官邸側は「経済情勢に鑑みて、消費増税を再延期する」と言い出すに違いない。これに対抗するに「そんな無責任なことを言っていいのか!」と対応するのでは、有権者から見て話は噛み合っていない。「無責任な奴が他人の無責任さを糾弾している」と見られるのが関の山だ。「増税延期」に対抗し、「具体的な利得のあるところに転がる人心」を掴まねばならぬ。ならば答えは「消費税撤廃」しかあるまい。
なにも「選挙に勝つためだけの売り口上」として消費税撤廃を打ちたてよと進言しているのではない。
今年、平成が終わる。この30年間我が国は不況に喘ぎ続けてきた。どの政権がどんな経済政策を打ち出そうとも、日本経済の長期低迷傾向は変わらない。この30年、ありとあらゆる景気浮揚策や税制改革が試されたにもかかわらず、なにも効果を挙げない。
しかし冷静に「平成の歴史」を振り返って欲しい。平成の一番最初に試された税制改革とは、平成元年4月1日に導入された消費税だったではないか。消費税だけはこの30年、つねに我々の前にあり続け、同じ路線で拡大ばかり続けている。そして消費増税のたびに、景気は落ち込み低迷を続けているではないか。消費税による30年の苦しみ――これが「平成の歴史」の現実だ。
野党はいまこそ、「消費税撤廃」を旗印にするべきだ。それが人心を再び掌握する唯一の方法であると同時に、どんな景気浮揚策も有効に機能しなかった平成の30年を総括する、最も確実な手段であるはずだ。
――伏見城下の暴れ馬騒動の直後から、家康の元に馳せ参じた諸将と石田三成の対立は激化する。諸将は三成こそを奸臣と糾弾し、三成は諸将を豊家獅子身中の虫と糾弾する。そして家康はこの対立構造を利用し、豊家を乗っ取り、やがては天下を掌握する。三成も諸将も「豊家のため」と言いながら本当の敵を見失っていたのだ。
野党は敵を見失ってはいけない。安倍政権という眼前の敵にとらわれてはいけない。その背後に控える家康――そう、この30年消費税にしがみつき、日本の経済を再起不能にまで落とし込んだ財務省の首級を狙った仕事を、着実に進める必要があるだろう。
※本稿は『月刊日本』2月号掲載の記事を転載しております。
<取材・文/菅野完> すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。現在、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中。また、メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(https://sugano.shop)も注目されている
これね、縦書きで読まれることを前提として書いてる原稿ですから、WEBで「あれ?」って思った人は、ぜひ、月刊日本をお買い求めください。
— 菅野完事務所 (@officeSugano) 2019年1月21日
【HBO!】囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> https://t.co/8oL5gI8Qi8 @hboljpさんから
あら。転載されてた。扶桑社、仕事早い。
— 菅野完事務所 (@officeSugano) 2019年1月21日
「とにかく消費税なんかやめちまえよ」って話です。
【HBO!】囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> https://t.co/8oL5gI8Qi8 @hboljpさんから
囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> 新年早々、安倍首相が1月28日招集予定の通常国会冒頭で衆議院の解散に踏み切るのではないかという https://t.co/5yGs5t3cPd
— 行雲流水(こううんりゅうすい) (@kohun_ryusui) 2019年1月21日
真の敵は財務省…(^^;)まあそうなんでしょうけど、内閣人事局が出来てからさすがの財務省もおたおたしてるのでは…三権掌握してる安倍政権がやはり目下最大の敵では…。
— 雪蓮花@poisson d'avril (@saussurea_jp) 2019年1月21日
世界レベルで繋がってる外務省と経産省も…野党弱すぎやな(--;)https://t.co/BnPwKnXc4H
囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> #SmartNews
— makx2 (@tsakamaki) 2019年1月21日
〈「通常国会冒頭での解散」との風説がほうぼうで囁きはじめられたのは、手元の記録によると12月中旬のことだった。〉
また国賊ボロクソアベ党首は、
国民不在の暴挙か!
乱心しかない! https://t.co/msmyB799hs
囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> | ハーバービジネスオンライン https://t.co/AIR3SDusQ3 今消費税を使ってる政策はどうするんだろ?法人税で賄うにしても中小企業破産や労働者解雇につながりそう。
— sonic@ゲートウェイヒルズ (@sonic1015) 2019年1月21日
https://t.co/5bRcufTJdj
— 佐々木 路生 (@game_sasa) 2019年1月21日
消費税導入で、課税免税点前後の自営商工業者が雇用力を失った。
消費税導入で、中堅以上企業が人件費を外注化した。
いずれも、労働条件を強烈に引き下げた。
消費税が奪ったのは「将来への堅実な展望設計」
「社会保障のため」なんて、まったくもってウソでしかない。
これ以上デフレを放置するな。
— ととし (@totoshi_red) 2019年1月21日
安倍政権にアベノミクスの失敗を認めさせ、政権奪取時の国民との約束を思い出させろ。
【HBO!】囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> https://t.co/5x0I8RsGRz @hboljpさんから
平成って詰まるところ、消費増税と格差拡大、少子高齢化とともに先進国でなくなっていった時代。
— ゆじた🌕 (@yujitashi) 2019年1月21日
安倍政権に隠れた国民の敵、財務省に消費税撤廃で切り込んでほしい。 #立憲ボイス
【HBO!】囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> https://t.co/KpLALM9EB0 @hboljp
生活は本当にひっ迫してきている。
— tonnelat (@tonnura74703275) 2019年1月21日
その空気を感じない政治家はハッキリ言ってセンスがない。
今回はその影響が大きく出る選挙になるだろう。
囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏> | ハーバービジネスオンライン https://t.co/Rc0rBdyoHn @hboljpから
https://t.co/TdGjm3SxG4
— 保育士おとーちゃん/PHP文庫「叱らなくていい子育て」 (@hoikushioto) 2019年1月21日
消費税は大きい。個人事業主にとってはなおさら大きい。
消費税廃止は、これ以上ない景気浮揚策だ。
囁かれる冒頭解散説。野党は「消費税撤廃」を旗印にせよ<菅野完氏>https://t.co/HIUm669rb9
— ちぃちゃん (@cichan4874) 2019年1月21日
"おそらく官邸側は「経済情勢に鑑みて、消費増税を再延期する」と言い出すに違いない。これに対抗するに「そんな無責任なことを言っていいのか!」と対応するのでは、有権者から見て話は噛み合っていない"
おっ、ようやく正論にぶちあたった。社会保障は所得の再分配そのもので、所詮、消費税で賄えるわけない。まだ拠出が足りない。野党は社会保障の改革で一致団結して欲しいものだ。https://t.co/hvePNzHgxs
— みつや (@mitsuya_niwa) 2019年1月21日
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK256掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK256掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。