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韓国のG7参加を嫌う日本と冷静な韓国との差異
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投稿者 あっしら 日時 2020 年 6 月 06 日 03:21:04: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 

韓国のG7参加を嫌う日本と冷静な韓国との差異[ニューズウィーク日本版]
6/5(金) 8:40配信

<トランプ米大統領はロシア、インド、オーストラリア、韓国の4カ国を今年のG7に招待すると提案した。かつてなら国を挙げて「先進国入り」を祝ったはずの韓国はしかし、既にG7とは異なる独自の発展モデルを確立しつつある>

【木村幹・神戸大学大学院教授】G7首脳会議は奇妙な集まりだ。外務省のホームページはこの会議について、「仏,米,英,独,日,伊,加(議長国順)の7か国及び欧州連合(EU)の首脳が参加して毎年開催される国際会議」と平板に説明しているが、それは実は、毎年開かれるこの会議には、公式の名称すら存在しないことを意味している。だからこそ、各国でもこの会議は様々な名称で呼ばれている。例えば、日本語では外務省が「G7サミット(主要国首脳会議)」と記述するこの会議は、英語では極めてシンプルに「G7 Summit」と表記されている。G7とは言うまでもなく、“Group of 7“、つまり単に「7カ国のグループ」だから、“G7 Summit“という言葉には、本来「7カ国のグループの首脳による会談」という以上の意味はない事になる。中国語でも同じであり、英語をそのまま訳した「七国集団峰会」という表現が用いられる。

<「先進国」会議と呼ぶのは日本だけ>

当然の事ながら、そこには「“主要国“首脳会議」、或いはかつて用いられた「“主要先進国“首脳会議」といったような、日本語の表現が有する独特の語感は存在しない。因みに台湾では「七大工業国組織」という表現が用いられているが、G7は国連やWHOの様な国際機関ではなく、故に恒常的な事務「組織」も存在しない。代わりにOECDや議長国の政府が事務局的な役割を担い、併せて「シェルパ」と呼ばれる首脳の個人代表達の会合が「サミット」開催までに重要な役割を果たすこととなっている。

にも拘わらず、この会議は時に特殊な意味を有している。そして、その意味は第1回の会合の経緯からして明らかだ。1975年の第1回サミットは、当時のフランス大統領であったジスカールデスタンが、1973年の石油危機を契機に会合をはじめた「ライブラリーグループ」(後述)に属するアメリカ、日本、西ドイツ、イギリスの各国首脳を招待する構想を打ち出したのがはじまりであった。即ち、この4カ国に招待国であるフランスを加えた「G5」の首脳により、この会議は行われる筈だったことになる。しかし、ここに自らが招待されなかった事にイタリアが強く抗議した結果、会議は「G6」として行われることになる。

イタリアが抗議した理由は明確だった。それはこのグループのメンバーシップが単純に各国の経済規模により決定されたものだったからである。G7の元となった「ライブラリーグループ」は、石油危機に対処すべく、世界経済に影響力を持つ、冷戦下の西側における当時のGDP規模上位5カ国によって形成された。そしてだからこそ、その直下の6位に位置するイタリアは自らの頭上にひかれた線引きに反発した。そして、この6カ国に、翌年には7位のカナダが加えられて、今日のG7の枠組みが構成される。その後、1998年から2012年の間はロシアが加えられてG8となり、会議にはEUの代表等も招かれている事は、よく知られている通りである。

「列強」を引きずるG7

だからこそ、この様にして形成されたG7の枠組みは、時に、国際連合の安全保障理事会常任理事国であるアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国が「安全保障分野における強国の集まり」であるのと類似した、「経済分野における強国の集まり」としてみなされることになった。「ライブラリーグループ」を構成したアメリカ、日本、ドイツ、イギリスそしてフランスという顔ぶれは、第二次大戦以前の世界における「列強」のそれと同じであり、その直下に「準列強」とでもいうべきイタリアが位置する構造も変わらなかった。そしてその事は、G7の枠組みが形成された1970年代には、依然、第二次大戦以前の「列強」が支配した時代と同じ国際社会の構造が大きく是正されずに維持されていた事を示していた。

<屈折した日本の思い>

だからこそ、G7の一員であることは時にその実態以上に大きな意味を持つ事となった。そして、その事が最も典型的に表れたのが日本においてであった。振り返るなら、第1回サミットは、日本の首脳が直接参加したはじめての「主要国会議」であった。第二次大戦中のカイロやヤルタ、ポツダムは勿論、戦前のベルサイユやミュンヘン、更には戦後のジュネーブと言った「列強」の「巨頭会議」は、当時の「国際政治」の中心であった大西洋の裏側に位置する日本にとっては、遥かに遠い存在であったからである。だからこそこの会議への出席は、前年にはじめて実現したフォードによるアメリカ大統領としての初の来日や、同じ年の5月に行われたエリザベス二世のイギリス元首としての初の日本訪問と並んで、日本が、戦後30年を経て、再び、そして今度こそ本格的な「列強」の一員となった事を示す象徴的意味を持っていた。だからこそ、日本ではこの会議を、本来は存在しない「主要先進国」という冠をつけて呼び、極めて重要なイベントして扱う事になったのである。そしてそこには、西洋諸国への開国以来続く、日本人の「列強」への屈折した、強い思いが表れている、といっても言い過ぎにはならないに違いない。

「列強」に対して屈折した、強い思いを有しているのは韓国も同様であった。何故なら韓国においては、G7を構成したかつての「列強」と彼らによる「談合」こそが、韓国を植民地へと転落させる事となったものと見做されて来たからである。1905年、日露戦争終結の為に結ばれたポーツマス条約は、日ロ両国間の調停をアメリカが行う事によって実現したものであり、背後には日本の同盟国であったイギリスと、ロシアの同盟国であったフランスの支持が存在した。即ち、この当時の諸「列強」による談合で、朝鮮半島における日本の「政事上、軍事上及經濟上ノ卓絶ナル利益」が認められた事で、韓国は日本の植民地支配へと導かれていくこととなった。

韓国の悲願だった先進国の仲間入り

そしてこの話には重要な続きがある。日本に外交権を譲り渡しその保護国へと転落した韓国の皇帝は、2年後の1907年、オランダのハーグで行われた「万国平和会議」に、自らの密使を送り、韓国の外交権回復を主張しようと試みた。しかしながら、主催国であったロシアをはじめとする当時の「列強」は、韓国の要求を拒否し、密使の会議への参加を認めなかった。つまり、文字通り、当時の「列強」は韓国に対して「会議の門」を閉ざす事で、その要求に応えることになったのである。

<韓流スター「G20の歌」を歌う>

だからこそ韓国にとって、かつて自らを排除した「列強」或いは「主要国」の一員に、自身が名を連ねる事は悲願であり、特別な意味を有していた。2008年に第1回の首脳会合が開かれたG20の一員として名を連ねたことは、その大きな第一歩であり、当時の韓国世論はこれを大きな歓迎の意を持って迎えることとなった。2010年のG20会合では、韓国が自ら議長国を務める事となり、リーマンショックから劇的な回復を果たした直後の李明博政権は「100年前我が国を見捨てた列強が、今度は我が国に学びに来る」として、開催の意義を大々的に宣伝した。韓国では、この会議を歓迎する意味で「G20のテーマソング」が作曲され、韓流スターたちがこれを歌うミュージックビデオが各所で流されるなど、オリンピック開催時かと見間違うかのような、お祭り騒ぎが展開された。

そして今、新型コロナ禍が世界を覆う中、2020年のG7首脳会議主催国であるアメリカのトランプ大統領が、ロシア、インド、オーストラリアと並んで、韓国をこの会合に招請することを提案するに至っている。世界第12位の韓国より大きなGDPを持つ、第9位のブラジルをも飛び越えた提案であり、これまでの韓国であれば諸手を挙げて歓迎した筈である。実際、2008年に開催されたG8洞爺湖サミットの拡大会議に招待された李明博は、「拡大会合に出席できることは大変な名誉」だとして主催国の日本に大きな感謝の意を示すことになっている。

しかし、2020年、トランプ大統領の提案を受けた韓国では、複雑な空気が流れている。直接的な理由はトランプ大統領が、この4カ国追加招請を「中国問題を議論する為」とした事への憂慮である。韓国にとり貿易の1/4を占める中国は、欠くべからざる重要性を有する経済上のパートナーであり、ただでさえコロナ禍で世界経済が大幅に冷え込む中、喜び勇んでG7+4に参加した結果、中国との関係を損ない、経済を危機に晒すわけにはいかない、という事になる。

独自路線を歩み始み始めた韓国

とはいえ、今日の韓国における複雑な空気は、米中対立への憂慮のみでは説明できない。欧州諸国が過半数を占めるG7では、中国への対決姿勢において各国がアメリカと歩を一にしているとは言えず、トランプ大統領ではこれまでの会合でも孤立気味の状況になっている。単独の米韓首脳会談であればともかく、ことG7においてはアメリカの影響力は卓越したものではなく、韓国はその主張に過度に配慮する必要はない筈である。

にも拘わらず、10年前なら真っ先に飛びついたであろう韓国で、トランプ大統領の提案を必ずしもこれを歓迎しない空気が流れているのは、そもそもこの会議の枠組みである「G7」が韓国にとってかつての様な輝きを見せていないからである。古い「列強」の流れを引く「G7」の枠組みは、本来、これが作られた1970年代の国際状況の産物であり、それから半世紀近くを経た今、世界はその姿を大きく変えてしまっている。EU離脱問題に揺れるイギリスや、世論の分裂に苦しむアメリカ、更にはイスラム勢力によるテロに怯える欧州諸国の姿はそれを典型的に示すものであり、何よりもアメリカと欧州における新型コロナウイルスによる多大な被害は、「古い列強が世界に理想のモデルとして君臨した時代」の終わりを象徴的に示すものになっている。

<流行らなくなった「古い先進国」モデル>

もっとも「古い先進国」がモデルとしての輝きを失ってきたのは、今にはじまった話ではない。事実、第二次大戦後の新興国の多くは、「G7」に代表される様な先進国の在り方とは一定の距離を置いてきた。例えば、今日一人当たりGDPにおいて日本を遥かに凌駕するシンガポールは、かつて「先進国クラブ」と呼ばれたOECDに加入を申請していない。その民主主義の在り方においても、シンガポールの在り方は古い民主主義国とは一線を画すものになっており、彼らが「古い先進国」とは異なる国家の在り方を模索している事は明らかである。サウジアラビアは豊富な資源を生かして、イスラム諸国を中心に多大な援助を行っているが、彼らはOECDは勿論、その下部機構であるDACにも参加しておらず、だからこそ、その縛りに囚われることなく、自らの利益に忠実に、自由な形で援助を実施している。そしてその理由は明らかだ。「古い先進国」をモデルにすることは、同時に彼らの将来に対して大きな制約となり、時に多大な負担を甘受することを意味するからだ。

そうした多くの新興国と比べた時、1996年にOECDに加入し、2010年にDAC入りを果たした韓国は、実は、かつて日本も歩んできた「古い先進国」のモデルを忠実に追いかけて来た数少ない新興国の一つであり、だからこそG7入りは──日本にとってそうであったように──本来なら、彼らが「古い先進国」、更には「列強」の仲間入りを果たすための最後の、そして重要なゴールの一つである筈だった。

追随者でなくなった韓国との前途

しかし、その最後の関門の入り口で、韓国は躊躇を見せている。何故なら、今日、韓国もまたG7に代表される諸国の枠組みに加わることの利益とコストを考量するようになっているからだ。対中関係におけるトランプ大統領の姿勢への憂慮はその典型であり、仮にG7+4入りする事が利益よりも大きなコストをもたらすなら、無理を押してまで参加するのは合理的ではないということになる。そして何よりも重要なのは、かつては忠実な先進国の追随者であった韓国にとってすら、G7諸国に見られる「古い先進国」の姿が目指すべきモデルとしての輝きを失いつつある事である。

事実、新型コロナウイルスへの対策に典型的に見られた様に、政府が個人情報を徹底的に管理してこれを統制する韓国社会の在り方は、G7諸国のそれよりも中国に近い要素すら持っている。それは文在寅政権の進める検察改革についても同様であり、民主化を理由に政府が検察への介入を強める在り方は、検察官の独立を保障する多くの「古い先進国」の在り方とは大きく異なるものになっている。だとすれば、韓国は今、このまま「古い先進国」をモデルとして自らの歩みを続けるか、それとも新型コロナウイルス対策に見られた様な、独特の新たな「韓国型」のモデルを模索していくかの重要な分岐点に立っていることになる。

そしてその事は日韓両国の関係にも長い影を落とすことになる。何故なら、ここで韓国が後者を選ぶなら、彼らの社会は我々のそれとは更に異なるものとなり、相互の理解が難しくなっていくからである。韓国が日本をモデルとした時代は90年代のアジア通貨危機と共に終わり、それから四半世紀近くを経て、更に自信をつけた韓国はこれまでのどの先進国とも異なる独自の社会を築き上げようとしている。そしてそこにおいては、我々が同じ問題に同じ結論をもってし、同じ方向へと歩むことはますます困難になってゆくことなる。

隣人故に分かり合えた時代は終わり、隣人故に他人として付き合わなければならない時代に、日韓関係は直面している。如何にして、相互の距離を取り、冷静且つ冷徹、そして合理的に自らの国益を実現していくのか。そしてそれが可能になった時、我々にとっての「列強」と「植民地」の時代は、本当に終わることになるのかも知れない。

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最終更新:6/5(金) 17:40
ニューズウィーク日本版

https://news.yahoo.co.jp/articles/f59e03e6312498de816dc3c33542a0b9004cffbe

 

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コメント
1. 2020年6月06日 19:00:46 : wiwI8TXGtE : VXY4R3NkTlBhOXc=[182] 報告
嫌ならば 外してもらえ G7

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