http://www.asyura2.com/19/kokusai28/msg/338.html
Tweet |
トランプ弾劾で無罪評決、アメリカの民主主義が崩れ落ちる
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/02/post-92388.php
2020年2月13日(木)19時00分 シェリリン・アイフィル(弁護士、全米黒人地位向上協会法的弁護・教育基金会長) ニューズウィーク
上院での無罪評決の翌日、トランプはホワイトハウスで声明を発表 LEAH MILLIS-REUTERS
<トランプの罷免回避で高まる外国干渉のリスク──公正な選挙制度を守るために有権者にできること>
ドナルド・トランプ米大統領の弾劾裁判が終わった。米上院は2月5日、ジョー・バイデン前米副大統領に対する捜査をウクライナ側に求めたという権力乱用疑惑について、52票対48票でトランプに無罪評決を下した。
今年11月の米大統領選は、ロバート・ムラー元特別検察官らが証言していたように、既に深刻な脅威にさらされている。だが弾劾裁判中に明らかになった問題によって、米大統領選が危険なほど無防備なものになる懸念はさらに現実味を増している。
民主党は2月3日、大統領選予備選挙の初戦であるアイオワ州党員集会を開催。立候補者の1人、バイデンは4位と低迷した。だがそのずっと前から、トランプはバイデンについて捜査するよう複数の外国政府に求めていた。
思い起こせば2016年大統領選で、トランプは民主党候補だったヒラリー・クリントンの電子メールをハッキングするよう、ロシアに呼び掛けている。トランプの「依頼」から数時間以内に、ロシア側はクリントン陣営へのサイバー攻撃を試みた。
アメリカの選挙を外国の干渉から守るには、トランプのウクライナ疑惑を無視する評決を下した上院に圧力をかけることが不可欠だ。今年の選挙を守るはずの法案を直ちに審議・採択せよと、彼らに要求しなければならない。
今年の選挙の公正性を脅かす材料は、トランプが唆す選挙干渉だけではない。共和党の提訴を受けて、ジョージア州やウィスコンシン州の司法当局は有権者登録の大量抹消を命じている。
ソーシャルメディアもリスクを高めている。2016年大統領選で、ロシア側はフェイスブックなどを利用・操作して、米有権者(なかでも標的になったのが黒人有権者だ)に偽情報を拡散させた。
■不正選挙を防ぐカギ
公民権団体の請願や圧力にもかかわらず、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は先頃、選挙関連の偽情報を禁止する規定から政治家を除外する「抜け穴」の維持を発表。この危険なポリシーは、ライバル候補の支持者が投票に行かないよう誘導すべく、米国内の政治家が偽のメッセージを拡散する動機になる。
今年の大統領選は、投票時の人種差別を禁じる投票権法(1965年成立)が一部無効のまま行われる2度目の選挙でもある。そのため、選挙当日ぎりぎりに投票所が変更されたり、有権者登録が抹消されたりする懸念が解消されないままになっている。
破滅的なまでに無防備な選挙を回避するには、即座に断固とした行動を取らなければならない。選挙の保護を目的とする法案は下院で複数可決されたが、いずれも上院で足止めされている。
上院で採択にかける法案を決めるのは多数派である共和党のミッチ・マコネル上院院内総務だ。そのデスクは「法案の墓場」として名高い。
不正な大統領選挙を防ぐカギとなるのが、SHIELD(恒久的民主主義のための有害な選挙干渉阻止)法だ。
同法は選挙戦に関する候補者と外国政府の情報交換を禁じ、外国政府などから援助の申し出を受けた際にはFBIと連邦選挙委員会に報告する義務を制定。投票手続きに関する欺瞞的慣行や虚偽情報を禁止し、オンラインの政治的広告に透明性を要求する。
■大統領選こそが国民の意思表明
上院情報委員会は昨年、米選挙システムへの侵入や公正性阻害を狙う外国人・外国組織の活動を追った報告書を発表している。同委員会のメンバーは共和党議員であれ民主党議員であれ、SHIELD法を熱烈に支持すべきだ。
同法の採決は迅速に実現しなければならない。無罪評決が出た今、意を強くするトランプがさらなる外国の干渉を求めて裏でどんな行動に出るか、不和のタネをまき、偽情報を促進するために公的プラットフォームで何をするか分かったものではない。
マコネルには、SHIELD法を取り上げるよう迫る必要がある。これは不可能な目標ではない。彼は昨秋、州レベルの選挙制度改革とハッキングなどの不正行為対策のために多額の予算を投じる措置を採決にかけよとの圧力にひそかに屈した。要求より2億ドル少ない規模ではあったものの、同法案が成立したことで各州は計4億2500万ドルの予算を手にした。
マコネルが採決に動いたのは、その不作為に対する非難の声が高まり、彼をロシアの手先とみる「モスクワのミッチ」というあだ名がソーシャルメディアで広まった後だ。この事例はSHIELD法の成立に向けたモデルになる。
こうした事態は有権者の圧力なしでは実現しない。アメリカでは今や、選挙の正当性そのものが危険にさらされている。脅威の源は外国だけでなく、国内にも存在する。自由で公正な選挙は、各州の有権者と全ての上院議員の共通の関心事であるべきだ。さもなければ、この国の民主主義は名ばかりのものになる。
トランプの無罪支持に票を投じた上院議員たちは、大統領選こそが退陣の是非を決める適切な場になると主張した。「国民」には意思を表明する機会が与えられるべきだと彼らは言う。この主張が単なるペテンでないことを、彼らにぜひ証明してもらわなければならない。
選挙制度の公正性を口にするのは、大統領の弾劾裁判のときだけで、それが済んだら選挙制度の公正性のために戦う気などない──そんな上院議員がいるのなら、それは誰か、アメリカの有権者はすぐにでも知る必要がある。
©2020 The Slate Group
<本誌2020年2月18日号掲載>
【参考記事】嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
【参考記事】トランプの「無罪判決」を生んだFOXニュースの大罪
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。