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オーウェルからハックスリーまで:真実を語ることの先行きは暗い
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2019年12月15日 マスコミに載らない海外記事
2019年11月5日
Henry Kamens
New Eastern Outlook
NEOのウェブサイトをスクロールすれば、世界が日々直面している問題を我々が正直に報じてきたことがご理解いただけよう。記事は単刀直入だ。本当の問題、本物の人々、本当の洞察。
報道をする上で我々はゆるがないが、益々多くのジャーナリストが実に厳しい検閲を受け、中には権力者の憤怒を避けるため、自己検閲さえする者もいる。官憲のそうした強い圧力は、うわべだけ自由な、どのメディアにとっても、正面攻撃以外何ものでもない。
事態は更に劣化し、最近主流メディアに書かれたり報じられたりする全てに、人々は概して実に懐疑的だ。主流メディアが報じることを人々が一切信じないほどまでに事態は悪化しているが、不幸なことに、益々多くの独立メディアが政府の公式方針に歩調を合わせつつあり、今や主流メディアと独立メディアの違いさえ、ぼんやりし始めている。
全てプロパガンダなのだから、どんなニュースも見たり読んだりしないという遠い親戚が一人いるが、この不満の感情は広く浸透しつつある。
マーク・トゥエインは、かつて言った。「新聞を読まなければ人は無知だ。新聞を読めばウソを知らされる。」 だが賢明なマーク・トゥエインさえ、大半のニュースが愚かな娯楽に変えられているため、唯一の選択肢は何も読まず何も信頼しないことだという、我々が現在暮らしているディストピア世界を想像することはできなかった。
我々は何がジュリアン・アサンジに起こっているか知っているが、それは少なくとも大半の視聴者と主流メディアにとっては、もはや本当のニュースではない。彼の苦難、保釈中の出廷を拒否した後の大使館で拘束され、その後イギリス当局に引き渡されたのは、もう一つの恐怖物語の始めに過ぎなかった。彼の健康状態の悪化を考えれば、収監は彼の命を危険にさらしており、国連の人権問題専門家さえ彼の合併症を警告している。
今起きている全てが、昔の作家たちが予言していたものだ。将来に何を予期すべきか、警告されていなかったふりをするのではなく、不穏な作品を多少再検討すべき時期だ。
『1984年』対『すばらしい新世界』どちらが勝ったのか?
何年も前、BBCは『すばらしい新世界』の優れた脚色番組を放送した。それがテープに残っているとは思えない(ビデオが普及する数年前のことだった)。オルダス・ハックスリに近いものの一つで、アメリカにおける自由の敵を説明している、50年代後期のマイク・ウォレスのインタビューを見つけることができた。
そこで言われている全てが今日の文脈でさえ実にあてはまるように思えたので、私の最初の反応は驚きだった。様々な官僚や技術やプロパガンダ手法が巧妙に提携して、ニセ言説を作り、本物の、より喫緊の問題から人々の注意をそらすか実に正確に説明してくれていた。彼の説明から、今日我々の注意をそらすために使われている手法はヒトラーが使ったものと同じなのは明確で、現在それらは一層効果的になっているだけなのだ。
ジョージ・オーウェルの『1984年』とオルダス・ハックスリーの『すばらしい新世界』を比較対比すると、彼らいずれも、ディストピア未来の異なる光景を予測していた。今出現しているものは、未来がどうなるか二人が考えたものの組み合わせか、少なくとも現時点で見えている状況だ。
人々は、我々はオーウェルよりハックスリーに近いと言うが、少なくともジャーナリストと内部告発者にとっては、多少のオーウェル式手法がある。オーウェルは、恐怖が使われる世界を構想したのに対し、ハックスリーは、我々が進んで効果的にあやつられる世界を構想した!
それは余りに真実で、ジュリアン・アサンジに対する拷問で、真実は反逆罪になっている。権力者は彼をジャーナリストだと我々に思わせたくないのだ。どんな犠牲を払っても、アメリカ建国の父たちの原則を犠牲にしてさえ真実を隠すことを願う政府に、真実は、一度も歓迎されたことはない。だが現在、状況は日ごとに厳しくなっている。
すると、我々は一体どういう状態にあるのだろう?
他の人々への教訓は明白だ。グローバル・アメリカ軍事帝国に挑戦すればお前は破滅させられる。
どうやらジョージ・オーウェルが予測した通り、政治家は、いじめっ子として振る舞っている。人々が様々な策略や、おそらくは多少の実際の薬によって、どのように薬物の影響下にあるかに関し、ハックスリーの「ソーマ」薬物は寓意的だ。
『自由の敵』で、ハックスリーは、人間の理性的側面である、自由選択が、どのようにして避けられるか、民主的プロセスがどのように回避されるか、知識を得た上での自由選択を排除する取り組みが行われているか暴露している。ハックスリーは、電子機器や人口過剰や実利主義を含め、自由を取り去る勢力を深く検討している。
だが最も重要な脅威は、社会組織を巡るものと「考える存在」の欠如だ。体制は、教育をどう割り当てるかを含め、最も疑問を抱く人々には最も僅かしか学習環境を与えなくする。
手法の中の狂気
だがもっと良い方法がある、例えば嫌悪条件付けは『すばらしい新世界』のほうが『1984年』より優れている。低い教育水準、携帯電話やコンピュータゲームや、様々な形の現代の「ソーマ」など全てが、国民を注意散漫にし、静かで愚かなままにするための政府の道具だ。ハックスリーが恐れていたのは、本を読みたいと望む人々や、そういう好みや暇がある人々は極わずかしか残らないので、本を禁止する理由がなくなることだった。
ビデオゲームやスマートフォンを持っていられる限り、若い人々は事実上あらゆる権利も特典も放棄するよう操られ続ける。『すばらしい新世界』は我々の現代社会にの偶然の類似ではなく、遥かに似た社会を描いている(もっと良く理解するには、CNNやアンダーソン・クーパーをご覧願いたい)。
だが「権力者」は我々が『1984年』の社会に暮らすのを望んでおり、我々を暗闇にどっぷり漬けるため、不都合な真実を語るジャーナリストを攻撃して最善を尽くしている。
ハックスリーは実にうまくそれを要約した。
「一層効果的なマインド・コントロール手法を使って、民主主義は、その本質を変えるだろう。古風で趣のある形式、選挙や議会や最高裁判所は残る。民主政治や自由は、あらゆる放送と論説の話題になる。
一方、巨大な政治力を有するひと握りの支配者集団と良く訓練されたエリート兵士や警官や思想制作業者やマインド・コントロール専門家が適切と考える形で采配を振るうのだ。」
ラジオやテレビや「新装置」や彼が予想した全て、番組や映画のサブリミナル効果と比べて頂きたい。何かに効用があるとわかった途端、そうした技術は着実に改良される。
考え方だけでなく、政治家選挙でさえ「理性的選択」レベル以下で我々が説得されてしまう時代に、我々は一体どのように人としての品格を維持することができるだろう。もはや自分の利益のために知的な選択をするという問題ではなく、[主流メディア]による操作とマディソン・アベニュー宣伝による消費者操作の餌食になっているのだ。
民主政治は、いかなる状況においても、十分な理解に基づく、私利と見なすものを知的合理的に選択する個々の有権者に依存する。だが表面下で、合理的選択レベル以下で、無意識の力で興味をそそり、「合理的選択」を回避させる企みが行われているのだ。
そういうことはすぐには起きないが、少なくとも我々には、宣伝やマインド・コントロールや新世代処方薬という現代版ソーマがある。ソーマは宗教とさえ競争できる。ソーマは良くない経験を取り去り、我々全員を幸せにし、満足させるのだ。
小説として書かれた全てが今や現実で、遺伝子組み換え赤ん坊やら決して終わらない消費に社会は駆動されている。最新機器を追い求めて、人々は存在しない現実に夢中だ。
誰であれ賛成しない人を不寛容だと描写するのは、無知で乱交に夢中な下層カースト世代だ。社会は「非常に知的な管理者階級から、つまらない仕事と副作用なしで即座に至福になれる薬ソーマを好むようプログラムされた愚かな農奴の下位集団にいたるまで、前もって定められたカースト制度」に変えられてしまっている。
薬は多くの異なる姿をしており、主なものは「無知」だが、操られたメディアと腐敗した広告主に配布される。
本を燃やしたり制限したりすることが、なぜもう必要でないのか忘れぬようにしよう。レイ・ブラッドベリの『華氏451度』新作映画で学んだように、我々の中の極少数しか、実際に、本や本当のニュースを読む興味を持っておらず、いずれにせよ、より少人数しか、そうしたものの本当の意味を理解する批判的思考能力を持っていないのだ。
「我々は平等に生まれないのだから、火で平等にしなければならない!」
Henry Kamensはコラムニストで、中央アジアとコーカサス専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/11/05/from-orwell-to-huxley-grim-prospects-of-truth-telling/
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