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中国・ボリビア・リチウム取り引きはおしまいか?
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2019年12月 2日 マスコミに載らない海外記事
2019年11月20日
The Sakerブログへのピーター・ケーニッヒ寄稿
中国は実に巨大なリチウム市場だ。中国は既に現在、2018年、約100万台と最多の電気自動車を製造しており、2025年までに、生産を少なくとも三倍にする予定で、次の10年あるいは20年で、需要が指数関数的に増加すると予想されている。
ボリビアには世界の圧倒的多くのリチウム埋蔵がある。アメリカが始めたボリビア軍事クーデターが起きた時、2019年始めから、ボリビアが51%、中国が49%の持ち分で、23億ドルの初期投資で、ボリビアで付加価値を生み、雇用を創出する電池や他のリチウム関連商品を製造する、中国・ボリビア間の双方に有利な長期契約が準備中で、署名されるところだった。軍事クーデターには、すぐさま、特に先住民による抗議に対する、いつものアメリカ式の威圧的で暴力的で残忍な圧迫が続いた。
彼らは約200年前、スペインからのボリビア独立以来、他の誰もしなかったほど、彼らの生活を途方もなく改善してくれた大統領エボ・モラレスを失いたくなかったのだ。エボは貧困を劇的に減らし、仕事と、まともな生活を大半のボリビア人に与えたのだ。エボ・モラレス大統領は、彼や家族の命や、後任となる可能性がある政治同盟者や議会議員や、彼らの家族を脅威から守るため、メキシコに亡命せざるをえなかった。アメリカ人と、連中に雇われた手先は、何の罰も受けずに、良心の呵責もなく行動する。
エボ・モラレスがボリビアを去った翌日、自称新ファシストで人種差別主義のヘアニネ・アニェス大統領率いる反政府派は、中央銀行の金と大量の準備金をあさり、略奪した。略奪品は、国外、おそらくアメリカに空輸するため空港に輸送された。先住民の抗議者を圧迫し、殺し続けるため、もちろんアメリカから武器を買う金が必要だとアニェス女史は言った。
長く準備され、アメリカが画策した11月10日の軍事クーデター後、ボリビアは自薦の違法な(彼ら自身が言う)臨時の人種差別ファシスト政府は、「クーデター屋」のアメリカ合州国のみならず、底無しに不届きな欧州連合や、(アメリカ合州国がOAS予算の60%を支払っている)米州機構OASにも支持されている。
ボリビアは、先住民抗議者をたたきのめし、彼らを実弾で撃つ、全く抑制のない残虐な憲兵隊独裁に落ち込んだ。既に少なくとも25人が殺され、何百人もが負傷させられた。アニェスは、警察と軍を抗議行動参加者に対する殺人や犯罪から免責する法令に署名した。警察と軍に殺人許可を与えたのだ。エボ・モラレスは、現在、西半球安全保障協力研究所(WHINSEC)と呼ばれているアメリカ学校に訓練された軍最高幹部に密かに辞任を強いられたのだ。エボは、ワシントンに毒され、訓練された士官に裏切られたのだ。
エボの最も近い仲間、ボリビア憲法によれば新たな選挙が行われるまで、一時的に大統領になる可能性がある議員を含めた約20人も、辞任するよう命令されていた。彼らは全員メキシコ亡命を認められた。新違法自称政府から、彼らは来る選挙での大統領立候補を許さないと言われた。これがワシントンに輸出されるタイプの「民主政治」だ。
ボリビアでのモラレス擁護の抗議勢力と熱情は日ごとに増している。エボは、アンデス山系のボリビア多民族国最初の先住民大統領だった。ボリビア人口の約70%から80%が先住民の血統だ、彼らはエボのMAS党(マス = モビエント・アル・ソシアリスモ、つまり社会主義運動)の強い支持者だ。
トランプ大統領は、彼の裏庭、中南米は言うまでもなく、世界中で社会主義政府を許さないことを極めて明確にした。彼はアメリカで教育されたクーデター指導者を祝い、まもなくベネズエラ、キューバとニカラグアにも起こりかねないと警告した。彼は命令に従わない世界の首脳を脅迫する機会を失わない。彼、トランプ大王自身、汚職や他の悪事のかどで、米国議会により自身弾劾されている大統領だ。ブラボー。
社会主義政府であることは、確かにクーデターの理由だったが、唯一の理由、おそらく主要な理由でさえない。ボリビアは、ベネズエラ同様、天然資源、ガス、石油、鉱物と金属、自動車用電池、特に電気自動車用電池で使われる軽金属リチウムが豊富だ。そうしたものは、当然巨大な政治力を持った現地のひと握り集団の利益のため、外国企業、主にアメリカ企業の利益のため、新自由主義政府が民有化すべき理想的資産だ。発展途上国の天然資源窃盗は、帝国が財政的、領土的世界覇権を確保しようと試みる上で主要目的だ。
2006年1月、エボ・モラレスが最初に就任する前、ボリビアの膨大な豊かな天然資源は、ボリビアに、ボリビア国民に帰属することを彼はボリビア国民に誓った。彼の最高行政機関最初の行動には、炭化水素産業、ガスとガソリンの部分的国有化もあった。炭化水素の利益から外国企業が平均82%を受け取り、残りの18%がボリビアに残るという前任者ゴニ・サンチェスとカルロス・メサのばかばかしい協定をエボは引き継いだ。ゴニもメサも、2003年と2005年、それぞれ血まみれの市民革命で国民に打倒されたのは正にこれが理由だ。
エボが2006年に権力の座についた時、彼はこの割合を逆にした。ボリビアが82%で、多国籍組織が18%。欧米世界は金切り声で叫び、全ての外国投資家がボリビアを去り、ボリビアは孤立し、経済は惨めに失敗すると彼に警告した。このどれも、もちろん起きなかった。なぜならこの新しい取り決めの下でさえ、外国企業はボリビアにい続ける十分な利益を生んだから。彼らは現時点もそこにいる。
そこに、柔らかく軽く、大いに可燃性の鉱物リチウム、一部の人々が、21世紀の金と呼ぶものが登場したのだ。世界全体で既知のリチウム埋蔵量は約1500万トンで、最高6500万トンの可能性がある。ボリビアには推定900万トン、既知の全埋蔵量の約60%、おそらく世界最大の一つのリチウム埋蔵量がある。
ボリビアのリチウムはこれまでのところ、ほとんど未採掘で、現在の主要生産国は、チリ、アルゼンチン、オーストラリアと中国だ。ボリビアの埋蔵は、海抜約4,000mのウユニ塩原、ボリビア南端の世界最大塩原(約10,000km2)にある。リチウムは、ウユニ塩原下の塩水溜まりに含まれている。
高度で遠隔地で、リチウム採掘には環境問題もあって、採掘は困難だ。最終的に、多分最も重要なことに、エボ・モラレスは、この貴重な資源を、単に原材料として輸出するだけでなく、ボリビアで処理し、付加価値と主要利益がボリビアに残るようにすると国民に約束していたのだ。国営企業ヤシミエントス・ドゥ・リティオ・ボリビアノス(YLB)総支配人は「ボリビアは、4年か5年以内に世界リチウム市場で重要な当事者になる」ことを保証している。
リチウムは、主に車の電池、携帯電話、先進的兵器システムの電子装置生産に使われる。環境意識や電気自動車需要が高まる時代、自動車電池市場は今後数年間で爆発することが予想される。最近、中国の習近平主席は、2030年の時点で、中国の道路上の全新車は電気自動車になるだろうと述べた。これは楽天的かもしれないが、巨大市場をもの語っている。5年から10年で、自動車電池のリチウム使用だけで、3倍、あるいは、それ以上になると予想されている。
これまで数週間、ボリビア政府は、小さなドイツ採掘企業ACIシステムズ・アレマニア(ACISA)との契約に署名しようとしていた。11月4日、利益配分に対する現地での抗議のため契約はキャンセルされた。地元民はロイヤルティーの3%から11%への増加を望んでいた。契約は自動車電池工場とリチウム水酸化物工場のため、長期間、ウユニ塩湖(ウユニ塩原)に対する13億ドルの投資をもたらすはずだった。テスラや他のアメリカやカナダの電池生産者との類似契約も、受け入れ難い利益配分取り決めのため締結し損ねた。
中国は世界最大のリチウム市場だ。遥かに大きな。最も高い成長の可能性がある国だ。2018年には、百万台の中国電気自動車が販売され、需要は指数関数的に増加すると予想される。2030年までに中国の道路上の全新車が電気自動車になるという習主席の予測は楽天的かもしれず、中国シンクタンクによれば、2040年までにそうなる可能性が高いという。
2019年2月、中国企業、新彊TBEAグループと、ボリビア国営企業ヤシミエントス・ドゥ・リティオ・ボリビアノス(YLB)は、リチウム採掘投資で、市場の需要次第で拡張可能な、ボリビアが51%、中国が49%の株を持つ当初23億ドルのベンチャー企業の契約交渉した。プロジェクトには、ボリビアで付加価値を生み、何千という仕事を作る、自動車用電池製造や更に多くのものが含むはずだった。
駐ボリビア中国大使は、2025年までに、中国は約800,000トンのリチウムを必要とするだろうと推定している。現代の技術の電気自動車は、70キロワット時のテスラ・モデルSのバッテリ・パック一個のため、約63キログラムもの極めて大量のリチウムが必要だ。ウユニ塩湖の公式な既知埋蔵量は900万トンと見積もられ、米国地質調査局による既知の世界全埋蔵量の約4分の1に等しい。政府推計によれば、ボリビアの全リチウム埋蔵は、主にウユニ塩湖で2100万トンに達する可能性がある。リチウムに対する世界銀行の世界需要予測は今後数年間に急増し、2050年までに現在需要の1,000%以上に達すると見ている。
この数十億ドル市場のかなりの部分が中国だ。だから、アメリカが引き起こした軍事クーデターそのもの、特にそのタイミングが、ボリビアのリチウムに、より正確には中国・ボリビア契約に関係があると考えるのは、決して牽強付会ではない。
今年初めから、ボリビアは中国と一帯一路構想(BRI)との連結を交渉していた。リチウム採掘と産業開発はその一環だった。エボ指導下、南米の依然最貧の国を、大半のボリビア国民が「裕福に暮らす」水準に引き上げることが可能なはずだった。双方が恩恵を受ける一帯一路を世界中に拡張する中国の手法での、ボリビアとのリチウム開発のような二国間取り引きは陸封されたアンデス山系の国の生活状況改善に大いに貢献したはずだった。
中国があらゆる時にこきおろされ、激しく打たれる状態で、明らかに、欧米人自身が主張したいとを望む市場に対する、このような何10億ドルもの長期協定を、本当の悪の枢軸、アメリカ合州国やヨーロッパ諸属国やカナダやオーストラリアは許さない。それゆえ、エボ・モラレス大統領と彼のMAS党同盟者や後継者となりうる人々は去らねばならなかった。非武装先住民は買収された警察と軍隊に脅迫されなければならなかった。彼らはたたきのめされ、実弾で銃撃されている。エボが約一週間前に辞職を強いられて暴力が始まって以来、亡くなった犠牲者は、現時点で、少なくとも25人に達している。
今の「暫定」政府が「緊急事態」つまり事実上の軍・警察独裁制を宣言するのは予測可能だ。自国民の生活向上のために使いたいと望む貧しい国の天然資源は不幸の元凶になり得る。特にその国が社会主義政権なら。だが前向きな希望の輝きとして、ボリビア国民は頑固な筋金入りの権利の擁護者であることが知られている。チリやエクアドルやアルゼンチンや、おそらく間もなくブラジルなど近隣諸国の国民による失われた市民権のための抗議支援と団結で、全てが失われることはないのかもしれない。
Peter Koenigは経済学者で、地政学専門家。彼は水資源と環境専門家でもある。彼は30年以上、世界銀行や世界保健機関で、世界中で、環境と水資源について広範囲に働いた。彼はアメリカ、ヨーロッパや南米の大学で講義している。彼は、Global Research、ICH、RT、Sputnik News、PressTV; The 21st Century、Defend Democracy Press、Greanville Post、TeleSur、The Vineyard of The Saker Blog、New Eastern Outlook(NEO)や他のインターネット・サイトに良く寄稿している。彼は事実と世界銀行での世界中での30年間という経験に基づいたフィクション「Implosion - An Economic Thriller about War、Environmental Destruction and Corporate Greed」の著者でもある。彼は「The World Order and Revolution! - Essays from the Resistance」の共著者でもある。ピーター・ケーニッヒはグローバリゼーション研究センターCentre for Research on Globalization研究員。
記事原文のurl:https://thesaker.is/china-bolivia-a-lithium-deal-no-more/
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