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グローバル化が生む新たな「壁」 米中2強体制シフト
ベルリンの壁崩壊30年(上)
中国・台湾 ヨーロッパ 北米
2019/11/8 23:00
東西冷戦の象徴、ベルリンの壁が崩れて9日で30年たつ。壁崩壊は世界に本格的なグローバル競争の時代をもたらしたが、一方でひずみやあつれき、緊張も生んだ。所得格差、保護主義、米中摩擦――。グローバル主義の理想は30年を経て色あせ、新たな壁に突き当たっている。世界は分断の時代への後戻りを乗り越えられるのか。
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「ベルリンの壁」をハンマーで破壊する市民ら(1989年11月、ベルリン)=AP
ベルリンの壁跡地の一角にある東京ドーム3個分の床面積を持つ近代建築。今も年間800万人が訪れる一大観光名所は名前を「ソニーセンター」という。
再開発計画にソニーの参画が決まったのは1991年。建物は2000年に完成したが、持ち主はその後、米独投資会社、韓国年金基金、米・カナダ投資会社と3度変わった。流転の歴史が物語るのは、グローバル化した世界における日本の地盤沈下だ。
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壁崩壊は国境と体制の垣根を取り払い、グローバルに動き回るモノやカネの流れを生んだ。世界銀行によると、世界の貿易が国内総生産(GDP)に占める比率は80年代は4割を下回っていたが、2000年代に6割まで上昇。直接投資(純流入額)も冷戦崩壊まではGDP比で1%を下回っていたが、07年のピーク時には5.3%まで拡大した。相互依存を深めた世界で企業は競うように国境をまたいだサプライチェーン(供給網)を築いた。
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そんなグローバル化の受益者となったのが、01年の世界貿易機関(WTO)加盟をてこに「世界の工場」に変貌を遂げた中国だった。ヘリテージ財団が算出する貿易自由度指数でみると、中国は00年代に経済の開放を急速に進め、投資を取り込んだ。95年には「20」と日米欧(80前後)を大きく下回っていたが、08年には「70」まで上昇。10年にはGDPで日本を追い越し、米国に次ぐ世界第2位の経済大国に上り詰めた。
さらにグローバル化の好機を生かしたのが米IT(情報技術)企業「GAFA」、とりわけアップルだった。世界で10億人が使うスマートフォン「アイフォーン」は部品や材料が地球と月の間の1往復分に相当する距離(延べ)を複雑に移動し、中国に運ばれる。組み立てるのは従業員が100万人もいる広東省・深圳の受託製造会社だ。
だが、それ以上に驚くべきは、アイフォーンで始まったスマホの普及がインターネット利用者を世界人口の約半分にまで広げたことだ。SNS(交流サイト)や電子商取引、キャッシュレス決済でネット上を行き交うデータの通信量はスマホ誕生の07年に比べて千倍以上に拡大し、それを資源として新産業を生み出す「データの時代」の到来を促した。
ただし、壁なき時代の新興勢力は新たな問題も生んだ。一つはGAFAなどによるデータ独占だ。欧州では域内からの個人情報の流出に歯止めをかけるデータ保護の動きが表面化、旧西側同盟諸国にも一石を投じた。
貿易面でも米中対立が互いに生み出しつつある高関税の「壁」が、ベルリンの壁崩壊後、拡大基調をたどってきたグローバル市場に影を落とす。WTOによると19年のモノの貿易量の伸び率は前年比1.2%にとどまり、リーマン・ショックの影響で貿易が大きく落ち込んだ09年以来、10年ぶりの低い伸びとなる見通しだ。18年の世界の直接投資のGDP比も1.4%と約20年ぶりの低水準にとどまった。経済のグローバル化には変調のシグナルがともる。
GAFAの一角であるアップルやアマゾン・ドット・コムなどは中国事業の縮小に動く。アリババ集団など「BATH」と呼ばれる中国IT企業も米国で同様の傾向にある。実力が拮抗し始めた両者だが、お互いに提携も競争もしない、いびつな関係を深めている。
30年前に崩れたアイアン(鉄の)カーテンの次は「バンブー(竹の)カーテン」とも言われ始めた。日本を含め世界はそれをどう乗り越えるのか。一段上の知恵がまた試されようとしている。
(本社コメンテーター、中山淳史)
【関連記事】 勝者の民主主義に内憂 フランシス・フクヤマ氏に聞く
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51956520Y9A101C1MM8000/?n_cid=SPTMG053
「壁」崩壊30年、勝者の民主主義に内憂 F・フクヤマ氏に聞く
ベルリンの壁崩壊30年インタビュー
2019/11/9 8:40日本経済新聞 電子版
1989年のベルリンの壁崩壊から9日で30年になる。東西冷戦を卒業した世界は、民主主義のきしみと米国と中国による角逐の時代を迎えている。今後の世界をどう読むか、識者に聞いた。
――壁崩壊後の世界はどう進化しましたか。
「数多くの進展があったのは疑う余地がない。70年以来、民主主義国の数は30から110に増え経済規模は4倍に拡大した。私の師であるサミュエル・ハンチントン氏が『民主主義の第三の波』と…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51979270Y9A101C1EA1000/
見えぬ「歴史の終わり」 自由主義は勝ち残れるか ベルリンの壁崩壊30年(下)
米中衝突 藤井 彰夫 経済 中国・台湾 ヨーロッパ 北米 編集委員2019/11/11 23:00
日本経済新聞 電子版
あと1カ月で世界貿易機関(WTO)が機能不全に陥る危機が迫っている。加盟国間の紛争処理を審理する上級委員会(最終審に相当)の委員は今、審理に最低限必要な3人ぎりぎり。WTOを軽視するトランプ米政権の反対で委員を補充できない状態が続いているからだ。12月10日にはさらに2人の任期が切れ、新たな紛争処理案件の審理ができなくなる恐れがある。
1995年創設のWTOは東西冷戦終結の申し子のような組織だ。…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51938920Y9A101C1MM8000/?
宇宙を巡る米中覇権争い「見えない攻撃」で増すリスク
ポスト冷戦の世界史ーー激動の国際情勢を見通す
2019/11/11
村野 将 (ハドソン研究所研究員)
今日の宇宙技術は、米ソの核競争とともに発展してきた。宇宙の軍事利用に関して言えば、米ソは互いの核・ミサイル活動監視のため、人工衛星を使った早期警戒や通信、測位などの技術開発を競い合ってきた。もっとも、これらの技術は結果的に、両国の核・ミサイル活動の透明性を高め、核大国同士が安定的な関係を築くのに役立ってきた側面もある。このように宇宙の軍事利用が核戦略と強く結びついていた「第一の宇宙時代(First Space Age)」には、宇宙は(核)戦争に至らない段階での情報・通信関連活動に用いられることが主であった。
ところが、冷戦終結後間もない1991年の湾岸戦争は「第二の宇宙時代(Second Space Age)」の到来をもたらした。米軍は開戦と同時に巡航ミサイルや精密誘導兵器を駆使して、イラク軍の組織的な防空体制を瞬く間に破壊した。この時、ソ連のミサイル活動を監視するための偵察衛星や早期警戒衛星をイラク軍の動向を把握するために戦術的に応用することで、相手に対する一方的な情報優越を確立し、それが戦闘結果に与える影響を世界に知らしめたのである。
湾岸戦争以後も米軍は、GPSを活用した衛星誘導爆弾(JDAM)とステルス爆撃機などを組み合わせることで、24時間・全天候型の攻撃体制を確立するなど、宇宙を通して軍事作戦を洗練させていった。
宇宙軍発足を発表するトランプ大統領(UPI=KYODO NEWS)
米軍のような近代化された軍隊にとって、安定的に宇宙を利用できる環境を維持することは、陸海空の統合作戦に不可欠な要素となっている。しかしこれは、宇宙利用を妨害できれば、陸海空で勝る相手の軍隊の作戦行動を効果的に妨害しうることの裏返しでもあった。これに目を付けたのが中国である。
中国は、米軍の作戦行動を妨害する手段の一つとして対衛星兵器(ASAT)の開発に注力し、2007年にはASATミサイルによって高度約850キロメートル付近で老朽化した自国の気象衛星を破壊する実験を行うに至った。この実験によって生じた宇宙ゴミ(デブリ)は10万個近くとも言われている。宇宙空間で発生したデブリは、地球の引力にひかれて大気圏で燃え尽きるまで消滅せず、その間、宇宙ステーションや他の衛星の脅威となり続ける。米軍は中国のASAT能力に対する警戒を一気に高めることとなった。
中国は、「制天権(宇宙を制すること)」が「制信息権(情報ドミナンス)」に不可欠な要素とみなし、中国版GPSと言われる測位衛星「北斗」のほか、20年代からの運用を目指す国際宇宙ステーションといった有人ミッションに至るまで、軍民双方で宇宙利用の幅を拡大させている。そうした中、ASATミサイルのような物理的破壊を伴う攻撃手段は、今後中国自身の宇宙利用にも悪影響をもたらしかねない。そこで物理的な対宇宙能力の開発を続けつつも、さまざまな非物理的な対宇宙能力を開発していると見られる。
例えば、06年には、中国上空を通過した米国の偵察衛星が地上からレーザー照射を受けていたことが明らかになっている。こういった攻撃を受けると、偵察衛星が把握する画像の一部が不鮮明となり一時的に監視機能が損なわれてしまう(ダズリング)。こうした妨害は、ある軍事作戦の動員準備を活発化させている軍事施設周辺での様子を秘匿する場合などに有効である。
また、既に中国はGPS信号や衛星通信帯域を妨害する能力(ジャミング)を実証しており、中国沿岸における米軍の無人偵察機の運用を妨害することを試みていると見られ、18年4月には車載式のジャミング・システムを、南沙諸島の人工島・ミスチーフ礁に配備しているのが確認されている。このほか、宇宙管制システムなどへのサイバー攻撃手段を追求している可能性が指摘されている。
自衛隊にも創設された宇宙担当
米国の宇宙専門家の中でも、中国の対宇宙能力に対処する必要性については一致している。とりわけ、非物理的な対宇宙能力には、人間には認識が難しい、偶然か故意かをリアルタイムに判断しづらい、攻撃者の特定が難しいなどの特性があり、妨害が行われた場合に政策判断に遅れが生じやすい。こうした性質は、攻撃側が妨害行動を起こしやすく、防御側にとっては報復ベースの抑止が効きにくいという点で、宇宙空間においても平時とも有事とも言い切れない「グレーゾーン」が発生しうることを意味している。
宇宙における「霧」が濃くなる中、各国は宇宙状況監視(SSA)の向上を第一に、組織の再編やシステムの導入を進めている。米国は独自のSSA能力の強化とともに、英国や豪州などと協力した取り組みを進め、また即時打ち上げ能力の強化と低コスト化のための官民連携も強化している。
日本でも、航空自衛隊に宇宙担当部隊が新編され、米軍との協力を強化していくことが決まっている。また18年末の防衛大綱では、自衛隊も相手の指揮統制・情報通信を妨害する能力を開発していくことが盛り込まれた。こうした対宇宙能力の保持にあたっては、能力開発と同時に米国・関係国との運用上の連携調整を進める必要があるだろう。
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■ポスト冷戦の世界史 激動の国際情勢を見通す
Part 1 世界秩序は「競争的多極化」へ 日本が採るべき進路とは 中西輝政
Part 2 米中二極型システムの危険性 日本は教育投資で人的資本の強化を
インタビュー ビル・エモット氏 (英『エコノミスト』元編集長)
Part 3 危機を繰り返すEUがしぶとく生き続ける理由 遠藤 乾
Part 4 海洋での権益を拡大させる中国 米軍の接近を阻む「太平洋進出」 飯田将史
Part 5 勢力圏の拡大を目論むロシア 「二重基準」を使い分ける対外戦略 小泉 悠
Part 6 宇宙を巡る米中覇権争い 「見えない攻撃」で増すリスク 村野 将
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17787
ボーゲル氏「反中、米の総意でない」
ベルリンの壁崩壊30年インタビュー
中国・台湾 ヨーロッパ 北米
2019/11/11 23:00
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米中の分断については否定的な見方を示した(10月22日、米ケンブリッジ市のボーゲル氏自宅)
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米中の分断については否定的な見方を示した(10月22日、米ケンブリッジ市のボーゲル氏自宅)
1989年は天安門事件の年でもある。東アジアの専門家、エズラ・ボーゲル米ハーバード大名誉教授は中国の発展と米中対立をどう見るのか。
【関連記事】 見えぬ「歴史の終わり」 自由主義は勝ち残れるか
――ベルリンの壁崩壊で旧ソ連が消える一方、同じ共産党支配の中国は成長を遂げました。
「中国には自信があった。ソ連と違い、ものすごい勢いで学生を欧米や日本に留学させて海外の事情を勉強した。共産党の指導下でも新しい技術を全世界から取り入れ、経済を発展させた。愛国心も育った。ケ小平氏の成功で国を統一し、地方でも生活が向上して市民の不満を抑えた」
――同じ1989年の6月には天安門事件という試練がありました。
「ケ氏はこの時期、少し間違えた。ソ連のようにはならないと兵力でデモを鎮圧しようとして失敗した。事件で米国の対中世論は厳しくなった」
――中国経済が復調したのはなぜですか。
「国際的な制裁の影響を受けて低迷したが、第2次世界大戦の責任意識もあり、日本がいち早く制裁を緩めた。92年に当時の天皇陛下が訪中したころから持ち直し、93年は13%成長に達した。日本の援助は大きかった」
――中国は2001年に世界貿易機関(WTO)に加わりました。
「加盟は誤りだったという議論が米国内にあるが、違うと思う。当時の朱鎔基氏は国内の改革を多少は手掛けた。何もしなかったわけではない」
――中国が西側資本主義に近づくとの期待は裏切られたのでは。
「米欧とまったく同じとはいかない。日本でも韓国でも、近代化が進んだ国から勉強をするのは自然だ。だが公平・不公平に非常に厳しい米国人は満足しない」
――米国などの自由主義と中国の国家資本主義が衝突し始めています。
「14億人の人口、軍の拡大、アフリカや南米との長期的な関係作り。共産主義の中国に対し、米国には多大な恐怖感がある。80年代の日本への心配より格段に大きい。ワシントンでは反中の空気は超党派で非常に強い」
――7月に「中国は敵ではない」という共同寄稿をしましたね。
「反中という『ワシントン・コンセンサス』は米国の総意ではない。100人もの専門家や要人が署名した。米世論も中国と仲良くすべきだとの意見がまだ大多数だ」
――米中のデカップリング(分断)が始まったとの見方もあります。
「それは無理だ。交通と意思疎通の手段がこんなに発展したのに、分断はできない。中国政府は自国民に色々と宣伝しているが、多数の中国人が海外旅行や留学をしている。普通の国民の世論を抑えることはできない」
――習近平(シー・ジンピン)国家主席は強力な指導者でしょうか。
「厳しいのは確かだが強いかどうかは別だ。9000万人の共産党員が同じことを言うのは無理だ。米国人がみる中国より実際は非常に複雑だ」
――政権の脆弱さも見えてきそうですか。
「指導者はそう感じているだろう。日本も低成長で難しくなった。中国も2ケタ成長から6%、そして3〜4%になれば不満が強くなる。共産党も変わる可能性がある」
「ケ氏はうまくやったが、その後の習氏を含めた歴代首脳は外国にいい態度を取らず、中国は全世界に多くの敵を作っている」
――米中が協調できる余地はあるでしょうか。
「世界貿易の規則や環境保護など、違ったシステムでも協力の余地がある。よく考えて専門家を使えば悪くなりえない。トランプ大統領は取引はできても戦略がなく、大組織は動かせない。彼の後は、もう少し関係が良くなるチャンスがある」
(聞き手はワシントン支局長 菅野幹雄)
Ezra Vogel 1967〜2000年に米ハーバード大教授を務めた社会学者。戦後日本の高度成長期だった79年に日本型システムの強みを説いた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を著し、ベストセラーになった。
中国に関してもケ小平氏を本格的に研究した著作などで知られ、米国の東アジア研究の第一人者といわれる。今年、日中の歴史の歩みを詳細に記した「China and Japan」(邦題・日中関係史=日本経済新聞出版社から12月発刊予定)を出版した。
皇后さまもハーバード大留学中に参加された日米交流事業を運営するなど、日本の官界や経済界に幅広い人脈を持つ。89歳。
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