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内部の敵
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2019年11月 7日 マスコミに載らない海外記事
Chris Hedges
2019年11月4日
Truthdig
我々の民主主義は危機に曝されてはいない。我々は民主主義国家で暮らしていない。我々の民主主義のイメージが大きな危険にあるのだ。闇の国家、つまり将官、銀行家、大企業支配主義者、ロビイスト、諜報機関幹部、官僚とテクノクラートたちはブランド回復に余念がない。ドナルド・トランプが、支離滅裂に自分に関するたわごとを話し、人種差別的暴力を刺激し、伝統的な同盟者である司法やマスコミや議会を侮辱し、つづりが間違った愚劣な発言をTwitter投稿し、超党派の国内政策、海外政策を衝動的に非難したり、破壊したりする状態では、自分が自由の擁護者だと吹聴するのは困難だ。だが、闇の国家から見て、トランプの最も許せない罪は、彼が撤退を監督する知的、組織的能力が欠如しているとは言え、帝国の果てしない戦争を批判していることだ。
アフガニスタンとイラクを侵略、占領した時に、闇の国家は、アメリカ史上最大の戦略上の大失敗を犯したのだ。あらゆる今はない諸帝国の特徴である、このような致命的な軍事上の大失敗は「マイクロ軍国主義」行為と呼ばれる。歴史的に、死につつある帝国は、彼らが崩壊するまで、徒労で、手に負えず、勝ち得ない紛争に、手持ち最後の経済的、政治的、軍事的資本を浪費するのだ。彼らは、こうしたマイクロ軍国主義行為で、かつての優位や失われた地位を取り戻そうと努める。大惨事には大惨事が続く。だが帝国の死の連鎖の設計者連中には手がつけられない。帝国の混乱と財政崩壊を拡大することしかできない愚かな将官と政治家連中は、自分たちを永続させることだけに成功している。誰も責任をとらない。卑屈なマスコミは、この幹部連中を、ほとんど宗教的崇拝で扱う。その多くが罷免されるか裁判にかけられるべきだった将官や政治家は引退すると、これらの戦争が連中にとって非常に儲かる兵器製造業者の取締役会で高給の席を与えられる。連中が引き起こした混乱を、彼らが大衆に分析説明するよう、媚びへつらうマスコミがお願いする。連中は品格や無私の奉仕や愛国心の手本として奉られるのだ。
ほぼ20年後、中東で我々の戦争を正当化するために使われたあらゆる目的とされるものがひっくり返された。アフガニスタンの侵略はアルカイダを消滅させるはずだった。それどころか、イラク、シリア、リビアとイエメンでの戦争で闇の国家が作った権力の空白を満たすため、アルカイダは移動した。アフガニスタンでの戦争は、今やアフガニスタンの大部分を支配し、我々がカブールで支えている腐敗した政権を脅かしているタリバーンとの戦争へと変身した。闇の国家は、9/11事件の攻撃に何の関係もなかったイラク侵略を画策した。闇の国家は自信を持って、欧米風民主主義国家を築き、地域でイランの影響力を弱めることができると予言した。それどころか、統一国家としてのイラクを破滅させ、民族的、宗教的な派閥の各派をお互いに敵対させたのだ。バグダッドで支配的なシーア派政府に密接に結びついているイランは、益々強くなった。闇の国家は、バッシャール・アサド大統領を打倒する取り組みで、シリア「穏健」反政府派を武装させたが、武器と支援で約5億ドルを与えたジハード戦士を制御することができないと悟ったとき、闇の国家は彼らを爆撃し、彼らと戦うため、クルド人反政府勢力を武装させ始めた。これらクルド人は後にトランプに裏切られることになる。「対テロ戦争」はアフガニスタン、イラク、シリアとリビアから、5年にわたる戦争後、世界最悪の災厄の一つをこうむっているイエメンまで伝染病のように広がった。この窮乏と死のためにかかった費用は5兆ドルから8兆ドルの間だ。人的犠牲は何十万人もの死者、負傷者をもたらし、市、町とインフラを破壊し、何百万人もの難民をうんだ。
野放しの軍国主義の愚かさを彼があえて指摘した時、トランプは政治的異端の罪を犯したのだ。彼はその報いを受けるはずだ。闇の国家は、彼を誰か、多分、道徳的、知的には彼と同じくらい空疎だが、何であれ言われた通りにするマイク・ペンスで置き換えるつもりなのだ。これがアメリカ大統領の役割だ。帝国の化身となり、帝国に人間性を与えるのだ。威厳と尊厳をもって、そうするのだ。国外で、テロリストと見なされた誰であれ、アメリカ国民さえ暗殺する権利を行政府に与えるよう、2001年の「テロリストに対する武力行使権限授与決議」を、もっともらしく解釈し直したバラク・オバマは、このゲームで卓越していた。
トランプを大統領の座から追放しても企業権力は脅かされないはずだ。プライバシーの権利や適法手続きを含め、我々の市民的自由は復活されまい。警察を非武装化したり、勤労階級の権利を擁護したりするまい。化石燃料産業や銀行業の利益は妨げまい。気候の緊急事態には対処するまい。令状なしの大衆の監視は中断されるまい。囚人特例引き渡しや、国家の敵と見なされた人々の世界中での拉致は終わるまい。武装無人飛行機による暗殺は止まるまい。親から子供を引き離し、子供たちを不潔な、過密状態で隔離することを止まるまい。巨大な政治力を有するひと握りの連中が富と権力を集中し、一般市民が益々窮乏化する状態は改善するまい。刑務所体制全体や、世界中にある拷問をするための施設、秘密軍事施設の拡大や、都市の荒廃地帯での貧しい非武装市民の射殺は続くだろう。最も重要なことは、一連の破綻国家をもたらし、納税者の何兆ドルも浪費した大惨事たる外国での戦争は、二大与党の、闇の国家の操り人形である指導者連中に熱狂的に受け入れられ、神聖で犯すことのできないままのはずだ。
リベラル・エリートの熱狂にもかかわらず、トランプ弾劾は、ほとんど見かけ倒しだ。あらゆる政治、政府体制は腐敗している。ガス産業での訓練や経験がないのに、ウクライナのガス企業ブリスマ・ホールディングスの理事会の一員であるおかげで、ハンター・バイデンは報道によれば月50,000ドルを支払われていた。以前、ジョー・バイデンがデラウェア選出上院議員だったとき、最大選挙運動貢献者の一つだったクレジットカード会社MBNAで、彼は働いていた。ハンター・バイデンは、彼がMBNAに雇われたのと同じ理由で、ブリスマ・ホールディングスに雇われた。長年、大企業権力と軍産複合体、要するに闇の国家の手先である、彼の父親は上院議員で、後に副大統領だった。ジョー・バイデンや、クリントン夫妻や民主党指導部は、彼らのライバル共和党を定義する合法化された贈収賄の権化だ。二大与党の企業候補者が事前に選ばれ、資金供給され、選出されるのだ。もし彼らが大企業の権益を守り、帝国の運営を司る闇の国家の要求に従わなければ、彼らは排除される。それを意味する単語さえある。primaryingだ。企業ロビイストが法律を書いているのだ。司法がそれを強制する。アメリカの政治制度には、ゴールドマン・サックス、シティグループ、AT&T、アマゾン、マイクロソフト、ウォルマート、アルファベット、Facebook、アップル、エクソン・モービル、ロッキード・マーティン、ユナイテッドヘルスグループやノースロップグラマンの権益に反対投票する方法はない。
我々アメリカ大衆は観客だ。聴衆だ。椅子取りゲームが止まった時、座れるのは誰だろう? トランプは権力を維持し続けることが可能だろうか? ペンスは新大統領になるだろうか? それとも、闇の国家は、バイデンや、ピート・ブティジェッジや、エイミー・クロブチャーやカメイラ・ハリスなどの新自由主義擁護の雇われ政治家を、ホワイトハウスに押し上げるのだろうか? マイケル・ブルームバーグや、ジョン・ケリー、シャーロッド・ブラウン、あるいは、そんなことがあってはたまらないが、ヒラリー・クリントンを担ぎだすのだろうか? もし闇の国家が失敗したらどうだろう? もし共和党、あるいはグレン・フォードがトランプの「白人男性の党」と呼ぶものの腐敗が非常に深刻で、アメリカ史上最も無能な大統領の政治的絶滅の支持を表明しなかったらどうだろう? バーニー・サンダースやエリザベス・ウォーレンが民主党指名されることの阻止を含む権力闘争は、何カ月も、素晴らしいテレビの見物と、何十億もの広告収入を生み出すだろう。
彼が当選した瞬間、闇の国家とトランプの戦争は始まった。今やいずれもニュースケーブル・テレビのお雇い解説者となった前CIA長官ジョン・ブレナンと前国家情報部長ジェームズ・クラッパーは、前FBI長官ジェームズ・コミーと共に、早速、トランプはモスクワの手先だと言って非難した。諜報機関は「小便ビデオ」に関するわいせつな話を漏洩し、ロシア諜報機関との「再三の接触」について恫喝し、報じた。ブレナンとクラッパーとコミーに、マイケル・ヘイドンやマイケル・モレルやアンドリュー・マッケーブを含む、他の元諜報関係高官連中が早々と合流した。彼らの攻撃は更に、ウィリアム・マクレイヴン、ジェームズ・マティス、H.R.マクマスター、ジョン・ケリー、ジェームズ・ストラブリディスやバリー・マキャフリーを含む、元軍幹部連中によって増幅された。
マラー報告公表後、ロシア共謀論は偽物であることが分かった。だが、ウクライナ政府にバイデンを調査するよう圧力をかけたトランプの決定によって、闇の国家関係者連中は再度元気づけられた。今回トランプは、彼の敵である闇の国家に、彼の首をつるのに十分なロープを与えたように思われる。
トランプ弾劾は、アメリカ政治の新しい恐ろしい章だ。闇の国家は、その顔を曝した。闇の国家は、トランプの異義表明は言葉だけで、移り気で、効果がないが、異義表明は許さないと公開宣言したのだ。トランプを弾劾する取り組みは、アメリカ左翼に不吉なメッセージを送っている。闇の国家は単に、力を達成することから、2016年に、バーニー・サンダースや他のどの進歩的民主党員も権力の座につくのを阻止したように、阻止するだけでなく、帝国の維持管理と拡大を問題にしようと試みるどんな政治家も破滅させるという信号を送ったのだ。左翼に対する敵意は、トランプに対する敵意より遥かに顕著だ。しかも、左翼を破壊するための資源はほとんど無尽蔵だ。
政治哲学者シェルダン・ウォーリンは「Democracy Incorporated: Managed Democracy and the Specter of Inverted Totalitarianism 民主主義株式会社:管理された民主主義と逆さま全体主義の亡霊」という2008年の本で全てを見通していた。彼はこう書いた。
企業権力の政治的役割、ロビー産業による、政治、議員選出過程の腐敗、憲法による制限を犠牲にした行政権の拡大や、マスコミが促進した政治対話の退廃は、体制への付着物ではなく、体制の基本なのだ。たとえ民主党が過半数を達成したとしても、体制はそのまま変わるまい。もしそうした事情が生ずれば、現在の民主党提案の臆病さが徴候を示しているように、体制は、歓迎されない変化に対して、厳しい限界を設定するだろう。アメリカの体制の極めて称賛されている安定性と保守主義は、いかなる高尚な理想によるものではなく、全て腐敗に満ちていて、主に裕福な大企業寄付者からの寄付にどっぷり漬かっているという論破できない事実によっている。下院候補者や判事には、最小限百万ドルが必要で、徴兵されない連中が愛国心を称揚し、一般市民が軍に服務する時に、我々が今知っている政治が、その存在に欠くことができない悪を奇跡的にただしてくれると主張するのは不誠実な行動だ。 |
闇の国家に対しては、内部にも外部にも歯止めはない。権力の行使に対して、かつて市民に声と発言権を与えていた報道機関を含め民主的な組織は去勢されてしまった。闇の国家は、大企業による富と権力の集積を推進させ、アメリカ人の半数を貧困あるい、貧困に近い状態に押し込んだ社会の不均等を拡大し、我々から僅かに残った自由を剥奪し、軍や軍需産業の強欲な食欲を満たすだろう。連邦負債超過額がふくれ上がるにつれ、国家資源は浪費されるだろう。トランプ当選に貢献した権利を奪われ無視された一般市民のいらだちと停滞感は一層増すだろう。
これまで数日間、レバノンとチリであったように最後の審判の一瞬が来るだろう。社会不安は避けられない。どんな国民も、ここまで押しこめられはしない。改革はできず、権力保持の決意が強い闇の国家は、大衆反乱の脅威の下で、大企業ファシズムに変身するはずだ。瞬時でアメリカを警察国家に変えることができる自由に使える法律的、物理的手段を闇の国家は持っている。これがトランプを弾劾しようとしている闇の国家キャンペーンの背後にある本当の危険だ。言うことを聞かなければ、沈黙させるという露骨なメッセージだ。結局、トランプは問題ではない。我々が問題なのだ。闇の国家がトランプ排除に失敗すれば、闇の国家は、いやいやながらにせよ、人のいやがる仕事を実行させるため彼を利用するだろう。トランプは、もし権力の座への生き残りに成功すれば、閲兵式ができるだろう。トランプの有無にかかわらず、我々は専制政治を得るだろう。
Chris Hedgesは海外特派員として中米、中東、アフリカとバルカンでほぼ20年過ごした。50以上の国から報道し、15年間海外特派員としてクリスチャン・サイエンスモニター、National Public Radio、ダラス・モーニング・ニューズとニューヨーク・タイムズで働いた。
記事原文のurl:https://www.truthdig.com/articles/the-enemy-within/
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