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極めて怪しい米国のバグダディ容疑者の殺害発表とその根拠 トランプ騒乱の時代と中東、日本
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/264168
2019/11/02 日刊ゲンダイ
死亡した「イスラム国」(IS)最高指導者のバグダディ容疑者(C)ロイター/Al Furqan Media Network
米国のトランプ大統領は10月27日、米軍特殊部隊がIS(イスラム国)の最高指導者バグダディ容疑者を殺害したと発表した。トランプ大統領は、「バグダディが泣き叫んでいた。犬のように死んだ。臆病者のように死んだ」と述べ、さらに「異常で、邪悪なヤツだったが、今や消え去った。米国にとっては素晴らしい日になった」と語った。異常ぶりは国際秩序を踏みにじるトランプ氏にも感ずるが、彼はまるで西部劇のお尋ね者を殺害した保安官のようにその「成果」を誇った。
パレスチナ人の思想家エドワード・サイード(1935年〜2003年)は、その著書「オリエンタリズム」(1978年)の中で、ヨーロッパは歴史的にオリエント(東洋)を自らとはまったく対照的なものとして、後進性、敵対性、非合理性をもつ実体としてとらえている(=「オリエンタリズム」)と主張したが、バグダディ容疑者の殺害後のトランプ氏の発言には、イスラム世界を卑下する感情も表われていたかのようだった。
トランプ大統領の発表だと、ホワイトハウス地下の戦況分析室で、ペンス副大統領やエスパー国防長官などと、デルタフォースを主力とする作戦を見守っていた。ヘリコプターで潜伏先に到着した米軍は、建物の側面を爆破させて突入した。軍用犬に追われたバグダディ容疑者は、建物に通じたトンネルに逃げ込んだが、その中で3人の子供たちとともに自爆ベルトを爆破させて吹き飛んだ。遺体はバラバラになったものの、DNA鑑定で、バグダディ容疑者と特定されたという。バグダディ容疑者の2人の妻も死亡し、取り巻きの戦闘員たちも殺されたり拘束されたりして「現在、世界はより安全な場所になった」ことをトランプ大統領は強調した。
■ビンラディン殺害計画との共通点
さらに28日、米国の主要メディアは、バグダディ容疑者が米軍によって水葬に付されたと伝えた。これらの報道に接して、2011年5月のパキスタン・アボタバードにおけるアルカイダの最高指導者オサマ・ビンラディン容疑者の殺害作戦を思い起こさざるをえなかった。
ビンラディン殺害も彼の遺体の画像や映像も公開されず、またビンラディンの遺体が、バグダディ容疑者と同様に、イスラムではまったく認められていない水葬に直ちに付されてしまったことからきわめて不可解なことと思われた。イラク戦争の際にサダム・フセインの2人の息子、米軍に撃ち殺されたウダイとクサイの遺体やまた絞首刑に施されたフセインの遺体を公表した米国がビンラディンの遺体を公開しなかったことはまったく釈然としなかった。
その後、オサマ・ビンラディンは2006年に死んでいたとトルコ在住の元CIAのエージェントで、民族的にはチェチェン人のベルカン・ヤシャル氏はロシアのテレビ局、チャンネル1に語った。
ヤシャル氏によれば、サミ、アユーブ、マフムードという名前の3人のチェチェン人をはじめ7人がビンラディンの最期を看取ったという。ビンラディンは重病で、骨と皮だけの状態ともいえるほど衰弱していたという。3人のチェチェン人たちはビンラディンを埋葬する以前にその遺体を洗った。命日は2006年6月26日。米軍はビンラディンを殺害したのではなくて、彼の墓をアフガニスタン・パキスタン国境の近くで発見しただけだったという。米軍はこれらのチェチェン人たちを捕捉したが、最後に捕まったサミはオバマ大統領の殺害発表のほんの数日前に拘束され、彼がビンラディンの遺体が埋められた場所を伝えたのではないかとヤシャル氏は語った(参照元の英語サイト)。
イスラムでは人間の遺体を火葬にすることはない。最後の審判の日に復活する肉体がなければならないと考えるからだ。山梨県の石和町(現・笛吹市)で国籍不明の者が自殺した後、火葬にしたことがあった。後にイラン人と判明し、イラン大使館に通告したところ、イラン大使館は遺体の取り扱いについて外務省に抗議した。イスラムでは炎で焼かれることについては地獄のイメージもある。
パキスタンの内陸であるアボタバードで殺害したビンラディンをわざわざ水葬に付すというのはまったく解せないことだったが、同様にバグダディ容疑者が殺害されたとするシリア・イドリブ県も内陸に位置する。バラバラに吹き飛んだ遺体を水葬にすること自体も困難なことだろう。
2018年4月にFBIのジェームズ・コミー元長官がトランプ大統領は「生まれつきのウソつきで非道徳的なリーダー」「個人的なエゴで動く」と発言したことがあるが、「生まれつきのウソつき」がバグダディ容疑者の死ぬ直前の様子を語っても説得力がない。10月27日付のCNNはシリア駐留のロシア軍がバグダディ容疑者の暗殺作戦に疑念をもっていることを伝えている。ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は27日、シリア駐留のロシア軍の話として、バグダディ容疑者の殺害に関するシリア・イドリブ県での米軍の作戦は確認できなかったと発表した。同報道官によれば、トランプ大統領が発表するバグダディ容疑者殺害に協力した国も増え、ロシアもその協力国とされているが、この作戦にロシアが関わることがなかったことを明らかにしている。
またコナシェンコフ報道官はバグダディ容疑者の殺害は、イドリブ県でロシアやシリア政府軍がひたすら軍事的制圧を考える「シャーム解放委員会(旧ヌスラ戦線)」など「テロリスト」掃討作戦には何の重要性をもたないと語り、さらにトランプ大統領の説明には矛盾があるという指摘も行っている。
■米国防総省が公開した不可解な軍事作戦映像
米国防総省は30日、バグダディ容疑者殺害の軍事作戦の映像を公開したが、作戦が終了した後にミサイルで建物を破壊する様子が紹介されていた。しかし、どうしてバグダディ容疑者が死亡した後に建物を破壊する必要があったのか不明である。また、ケネス・マッケンジー米中央軍司令官は、トランプ大統領が、バグダディ容疑者の自爆を発表した際、容疑者が泣き叫んでいたと語ったが、それは確認できないとした。国防総省ですらもトランプ大統領の発言との食い違いを見せている。
バグダディ容疑者とビンラディン容疑者殺害作戦の相似性について述べたが、「ウソつき」のトランプ大統領の言うことはにわかに信じられない。本当にバグダディ容疑者は米軍によって殺されたのだろうか。はっきりしていることはバグダディ容疑者を殺害したところで、「イスラム過激派」の活動が弱体することは決してないことだ。2011年のビンラディンの死後、バグダディ容疑者らISは2014年6月に「イスラム国家」の設立を宣言した。バグダディ容疑者の殺害で世界がより安全になったと主張するトランプ大統領はまったく「めでたい」としか言いようがなく、それを信ずる人々は米国や国際社会でも決して多くはないことだろう。過激派の指導者を殺すという発想しかない米国はいつまで経ってもテロの脅威に向き合い続けることになるだろう。
宮田律 現代イスラム研究センター理事長
1955年、山梨県甲府市生まれ。83年、慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。「イラン〜世界の火薬庫」(光文社新書)、「物語 イランの歴史」(中公新書)、「イラン革命防衛隊」(武田ランダムハウスジャパン)などの著書がある。近著に「黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル: 「反イラン枢軸」の暗部」(平凡社新書)。
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— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2019年11月1日
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— 幸ちゃん (@Kotchian35) 2019年11月2日
バグダディ死亡に関してはトカナが捏造説を最初に掲載していたが、ゲンダイでもやっと取り上げたか。トランプの選挙対策以外の何物でもない。それでもアメリカでは盲信している支持者が多いという。
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