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グローバリズムがしたのは、アメリカ経済の中国移転
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2019年8月28日 マスコミに載らない海外記事
2019年8月21日
Paul Craig Roberts
アメリカ経済における主な問題は、グローバリズムがそれを破壊してきたことだ。アメリカ雇用の海外移転は、アメリカの製造と産業能力、関連する革新、研究、開発、サプライチェーン、消費者購買力や国家や地方自治体の課税基盤を弱体化した。企業は、これらの長期費用を犠牲にして、短期利益を増やした。その結果、アメリカ経済は第三世界へと押しやられつつある。
関税は解決策ではない。トランプ政権は関税は中国が支払うと言うが、アップルやナイキ、リーバイや海外移転した企業の全てが関税免除を得なければ、関税は、アメリカ企業に海外生産されアメリカ消費者に売られる製品にかけられる。関税はアメリカ企業の利益を減らすか、より高い価格の製品を購入するアメリカ人が支払うかだ。関税はただ、アメリカ市場向けのアメリカ商品生産のための中国人雇用を減らすことで、中国を傷つけるに過ぎない。
経済マスコミは、アメリカ/中国「貿易戦争」の結果に関する暗鬱な予言に満ちている。貿易戦争などではない。貿易戦争というのは、ある国が、外国からのより安い製品輸入に対して関税障壁を設定し、自分たちの産業を守ろうとするものだ。だが中国からの輸入の2分の1かそれ以上が、アメリカ企業による輸入だ。トランプの関税、あるいはその大部分は、アメリカ企業か、アメリカ消費者が負担させられる。
トランプ政権や連邦準備銀行や、ワシントンの他のどこにも、状況を理解し、トランプ大統領に理解したことを伝えることができる経済学者が一人もいないことをいぶかしく思うべきなのだ。
ワシントンに遍在する経済的無知の結果の一つが、経済マスコミが「トランプ関税」がアメリカのみならず、世界全体を景気後退に陥れたという物語をでっち上げたことだ。どういうわけか、アップルコンピュータとiPhone、ナイキの靴、リーバイ・ジーンズに対する関税は世界を景気後退に陥れるか、もっと悪いことなのだ。これは途方もない経済的結論だが、アメリカでは思考能力は、おおかた消滅してしまったのだ。
経済マスコミにおける疑問は次のことだ。トランプ関税は、トランプ再選をだめにするアメリカ/世界不況を起こすだろうか? これは実に愚かな疑問だ。アメリカの製造/産業/エンジニアリング能力が外国に移転されるにつれ、アメリカは20年かそれ以上の間、不況なのだ。アメリカの不況は、世界ではアジア地域にとっては非常に良かった。中国が予想以上に早く世界強国になれたのは、労働経費を下げて生産することで、アメリカ人株主がキャピタル・ゲインを受け取れ、アメリカ経営者がボーナス給与を受け取れるようにするためだけに、中国にアメリカの雇用、資本、技術と事業ノウハウを移転したおかげだ。
どうやら新自由主義経済学者は、これは矛盾する表現だが、アメリカ企業が、アメリカ市場で売る商品やサービスを外国で生産すれば、その経済活動で恩恵を受けるのは、移転先の国であることを理解できないのだ。
海外生産は、ソ連が崩壊し、インドと中国が欧米に彼らの経済を開放して、本格的に始まった。グローバリズムは、アメリカ企業がアメリカの労働力を放棄することで、より多くの金をもうけられることを意味する。だが個別企業について言えることは、全体にとっても言えるわけではない。なぜだろう? 答えは、多くの企業がアメリカ市場のために、彼らの生産を海外移転する際、失業するか、より低賃金の仕事で雇用されるアメリカ人は、海外生産された商品を購入する力を失うためだ。
私は何年も、アメリカの雇用は、もはや中産階級の雇用ではないと報じてきた。仕事は付加価値と給料の点で、何年もの間下落している。この下落とともに、総需要も下落する。実際、何年にもわたり、アメリカ企業は、自社株の買い戻し以外、新しい生産設備に対する投資に、利益を使っていなかったという証明があるのだ。企業が投資ではなく、自社株を買い戻している時には、企業が生産増加に対する需要を見ていないことを経済学者の名に値する人物なら誰でも直ちに認識すべきなのだ。そのため、その過程で、彼らはボーナスのために、自社を略奪し、資本を希薄化する。これが実際に起きていることだという完全な認識があるが、それ経済成長とは全く一致しない。
労働力参加率も同様だ。通常、経済成長は、仕事につこうとして、人々が労働力に加わるから、労働力参加率の上昇をもたらす。だが好況とされている期間を通じて、得られる仕事がないので、労働参加率は低下している。
21世紀にアメリカは資本が希薄化され、生活水準が低下した。しばらく、この過程は負債拡大により継続したが、消費者収入は維持されず、消費者負債拡大は限度に達した。
F連邦準備制度理事会/財務省の「株価急落予防チーム」は、S&P先物を購入することで株式市場を維持できる。連邦準備制度理事会は金融資産価格を上げるため、より多くの金を注ぎ込める。だが雇用と雇用による経済活動は外国に移転されているので、お金は生産高を上げない。グローバリズムがしたのは、アメリカ経済の中国移転だった。
本当の統計分析は、公式宣伝とは対照的に、好景気に沸く経済という幸せな構図は統計上のペテンによってもたらされた錯覚であることを示している。インフレが過小評価され、名目GDPをデフレートすると、結果は、本当の生産増加として、より高い価格を数えることとなり、インフレが本当の経済成長になってしまう。失業は計算されない。もし人がこれまでの四週間で仕事を探さなければ、その人は公式に労働力の一部ではなく、その人の失業は数に入れられないのだ。政府が失業を計算する方法が実にとんでもないものなので、アメリカがゼロ失業率でなくとも、私は驚かない。
今敵として悪者にしている外国に、その経済を与えてしまっている時、国は一体どのように回復するのだろう? 企業のお仲間が短期的な富を懐に入れられるよう、敵に経済を与え、手足を縛られる以外全く能がない支配階級のこれ以上どんな好例があるだろう?
我々はこれをトランプのせいにすることはできない。彼は問題を引き継いだのであり、彼には問題を理解するのを手伝い、解決を見いだすことができる顧問はいないのだ。そのような顧問は、新自由主義経済学者中にはいない。私はトランプに手を貸すことができる四人の経済学者を思いつけるだけだが、その一人はロシア人だ。
結論は、アメリカは、60年前の第三世界に直接向かう道に固定されているということだ。トランプ大統領は、それについてどうすることもできない。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2019/08/21/what-globalism-did-was-to-transfer-the-us-economy-to-china/
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