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社会が崩壊した米国には自国の企業を受け入れる能力がなくなっている
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2019.08.27 櫻井ジャーナル
カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリス、アメリカの7カ国とEUの首脳がフランスのヌーベル・アキテーヌにあるビアリッツで8月24日から26日にかけて会議を開いた。経済、外交、軍事などあらゆる分野で影響力が低下しつつあるアメリカとそのアメリカに従属する国々の集まりにしか見えない。 親分とも言えるアメリカの大統領、ドナルド・トランプはアメリカ企業に対して中国から出るように訴えたというが、似たことをバラク・オバマは2011年2月に言っている。当時、オバマは大統領だった。 オバマはサンフランシスコを拠点とするエレクトロ産業、いわゆるシリコン・バレーの幹部たちと食事をともにしていたのだが、その際、アップルのスティーブン・ジョブスに対して同社のiPhoneをアメリカで生産しないかともちかけたのである。同社はiPhoneだけでなく、iPadやほかの製品の大半を中国など国外で作っている。 しかし、ジョブスの返事はつれないものだった。アメリカへ戻ることはないと言われたのだ。アジアでは生産規模を柔軟に変更でき、供給ラインが充実、そして労働者の技術水準が高いという理由からだという。 新自由主義に支配されるようになった1970年代の後半からアメリカでは投機家が目先の私的な利益を増やすために製造業を解体して売り飛ばし、仕事は国外へ移動した。1980年に中国が新自由主義へ舵を切り、その中国を支配できると考えたのかもしれない。エリートの子どもがアメリカの大学へ留学するようになったこともアメリカの支配者を安心させたかもしれない。 アメリカの支配層はターゲット国に手先を作り上げるため、エリートの子どもを留学させてきた。アメリカに従えば地位とカネと快楽が約束されるとすり込むわけだ。そうした快楽には違法行為も含まれ、その行為は記録され、後に脅しの材料に使われる。 留学先になる大学の水準は維持されているかもしれないが、アメリカでは庶民が通う公的な学校は崩壊状態にある。思考力のある庶民は危険であり、忠誠心だけを養っておけば良いということ。そのための「道徳」である。 アメリカと同じように日本でも公教育が破壊されているが、その結果、生産現場で必要な中間レベルの技術を持つ人が消滅した。いや、日本でトップクラスと言われる大学を卒業した学生の水準低下もかなり前から指摘されている。 アメリカ企業が自国へ引き上げても企業を支える基盤が崩壊している。中国から高度な製品を生産する工場を移転させられる国は思い当たらない。教育システムが崩壊しただけでなく、職人の技術が継承されずに韓国や中国などへ流出した日本も無理だ。 |
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